大学・専門学校の実習で何も得られない時代?! 2 私の実習指導

私が精神科社会復帰施設に入職して最初の夏休みでした。施設長から「実習指導をやってみたい?」といわれました。施設長がメインの実習指導なので私はサブとして実習指導にあたりました。

この施設は遠方からの実習生は施設の3階にある福祉アパートの一窒に泊まり込みで実習をします。ようは利用者さんさんと一緒に2週間から4週間を居住するわけです。メンタル的にも非常にハードな実習です。そこでどうサポートするかも大事な実習指導でした。

私は施設長のノウハウと社会福祉士の実習で得たことを生かしました。

実際に担当を持たせて私と一緒に退所支援をしていくこと、どんな制度があるかを実際に見せて年金事務所に利用者さんと一緒にいったり、買い物や外食に同行したり、附属の病院との連携としてデイケアに参加したりしてもらいました。さらに利用者さんが通っている作業所(今の就労支援B)に連れて行ったりと多彩な内容でした。実習生は満足して帰っていきました。

病院に転職してからは率先して実習指導者を受けました。病棟に入ってもらって患者様との時間をつくり、実際に患者様の理解をしてもらう。その中での疑問や困ったことを共有しました。担当制の病院のときは他の病棟を担当PSWにお願いをして1日をそのPSWに実習指導をしてもらいました。そこでいろいろなPSWの姿や患者様の姿を知ることができるのです。

病院実習の場合は病院PSWとしての最低限の知識もつけました。年金相談、福祉事務所との関係、家族調整、職場復帰調整、地域社会資源とのかかわりなど多岐にわたりました。その中でも病院内デイのカフェや作業所のやってる食堂に実習生を連れて行き息抜きをしてもらうようにも配慮しました。生き生きと働く姿をみて「精神科の醍醐味」を実感してもらいました。

こんなこともありました。

最初の病院で上司だったワーカーがやっていた実習がありました。模擬患者実習です。これは告知をして実際に模擬入院をしてもらうことです。さすがにおむつを1日替えないとか、身体拘束は体験してもらいませんが、実習生に可否を訊いてから保護室に1時間入ってもらう実習はしました。ちゃんと告知をして入室をしてもらいます。「私自ら隔離を希望します」と書面を取り、何か事故があってはいけないので「隔離中」は私が保護室の前で待機していました。約半数の実習生は疲れているので、ここぞとばかりに寝てしまいます。

この模擬患者体験のことを大学の実習指導者懇談会で話したら、あるPSWに「事故が起きたらどうするんだ!」「書面は取っているのか!」とつっかかれたこともありました。この模擬体験は私は病院に勤務してからどの病院でもやってきたことでした。こっちは本人ん希望や書面を取ったうえで「隔離中」も管理しているのだから問題はないといっても納得をしない様子でした。大学側はこの模擬体験に関して絶賛してくれました。揚げ足を取る「ベテラン」は同じ職場でも他の職場でもいるのだとわかりました。いかに突っ込まれないような安全で確実な実習指導をすることを知りました。

いろいろなPSWから実習のスタンスや実習方法を教わりました。

病床数が少なめの病院勤務のときは精神科訪問看護に同行訪問をしたりしました。ここの病院は事務長がPSWなので事務長も実習指導に参加してくれました。事務長も実習指導にスタンスを持っていた。大学を出て外資系企業勤務を経てPSWになった異色の経歴でした。PSWとして「福祉バカ」「精神科バカ」ではなく、非常に視野が広い方でした。

実習の終わった後にホテルディナーに実習生を連れて行くのです。今では禁止の大学や専門学校も多いのですが、当時は規制はありませんでした。

事務長は「PSWは病院の理事長先生や院長先生からドヤ街のおっちゃんとの食事をしなくてはいけないの。ホテルディナーなんてあまり行かれないでしょうから行きましょう」というスタンスでした。私は妙に納得をしました。PSWは病院の根幹を担うのですから病院の幹部クラスとも掛け合うことがあるのです。

実際に私も勤務してきた病院の院長やその仲間の医師と食事をしたことが何度もあります。そこで「はじめてですぅ」みたいな態度はできません。私はバブル期を経験しているのである意味高い店も当たり前の環境がありました。しかし、今の時代はそうではありません。

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