見出し画像

PSWに必要な知識2

1 病棟担当マニュアル 患者様・ご家族に不安を与えないために

(1)入院
入院が決まったら書類一式(入院療養計画書・保証人関連書類・リース関連書類など)は必ず取る。

家族の同伴がない場合は、必ず家族にきていただく。保証人は必ず立ててもらう。(未納の防止)

生活保護の場合は福祉事務所の連絡をして「入院意見書」を送ってもらう。返送は迅速に!

家族連絡先は入院カルテの表紙に必ず書くこと。

福祉事務所の場合は事務所と担当ケースワーカー名を記載。

生活保護以外なら「限度額認定証」を家族にお願いする。

入院時に連絡をする部署
・病棟(入院時に診断に立ち会ってもらう)
・栄養科 ・薬局 ・医事課

リース関連書類に注意。

【内科療養病棟はウエルカムではない】
医療療養型病棟は「マルメ」つまり、高度医療や他の内科に外来受診をした場合は病院負担になる。そこで「合併症」がある場合は転院元の病院に悪化時のことをあらかじめ打ち合わせておく、また、IVH、気管切開の患者様は絶対に受けない。また、コロナはもちろんのこと緑膿菌、MRSAなどの受け入れは病棟に相談をする。医療レベルが低い患者様を受けるのがいい。

(2)精神科病棟
精神科の場合は、指定病院でないので「措置入院」はない。次の入院携帯で対応する。

応急入院はあまりないので割愛。

① 任意入院
必要書類
・任意入院同意書
・閉鎖病棟の場合は「閉鎖病棟同意書」
→本人の意思での入院なので本人署名は必須
転写になっているので複写はカルテ、原本はファイリングする。

② 医療保護入院
自傷他害の恐れがあり本人の同意が取れない場合は医療保護入院となる。
当日出勤している精神保健指定医を周知を。また、指定がいない場合は特定医師でも可能。その場合は別紙になるので注意。退院支援委員会(2024年度から必須)にも注意。

・家族あり→家族の同意書(必ず説明と同意を取る)
・家族なし→市町村長の同意(生活保護の場合は担当ケースワーカーに連絡)

医師には医療保護入院報告書を迅速に書いてもらう。その際に入院時のインテーク(初回面接)や他院からの資料を必ず渡す。また、複数回の入院の場合は過去の入院の診断書を渡すといい。

長期に渡るか渡らないかに関わらず入院日を把握しておく。月末に集計をするといい。また、医療保護入院は月別にしてリストを作るといい。

【入院のまとめ】
・入院時に支払いの可否を判断する。むずかしいようなら制度を活用。まずは「限度額認定証」から。

・支払いが危うい場合は福祉事務所に相談。定期面接のときに仲良くなっておくのが大事。

・保証人は必ずお願いする。

・年金でぎりぎりの方は未納に注意。


(1)退院時(ENT エント)
①通常退院
病棟に御用聞きにいったり、主治医から指示があって退院が決まったら退院日をを共有。同時に院長先生、医事課に連絡。
家族や福祉事務所にその日程と時間を連絡する。
充足率が高い時は待機していただいている患者様の入院調整に入る。

②死亡退院(STELBEN ステルベン ステる)
医師の指示に従って家族連絡をする。最期のときをできるだけ一緒に過ごしていただくのがベスト。
死亡連絡があった場合は病棟でご遺体は霊安室にお運びする。人手不足の場合はお手伝いをする。
併せて院長先生に報告、医事課に連絡。
葬儀社(大村葬儀社・東京福祉会)に連絡。ご家族が希望の葬儀社がある場合に注意。

寝台車が到着したら各病棟責任者を霊安室に招集して最後のお見送りをする。院長先生や総師長は必ず参加。

③ 死亡退院時注意事項
指定葬儀社以外で死亡診断書を「早く出せぇ!うりゃ!」と襟蔵をつかまれて持ち上げられても逆襲しないこと。

心臓マッサージ中に病棟から「お亡くなりになられなした」といわれて、迅速に死亡診断書を持っていて、心臓マッサージ中の主治医に「死亡診断書をお持ちしました」と持っていかない。必ず、お亡くなりになられたことを確認してから動く。

【まとめ】
未収金や精算に関しては退院決定時に家族に連絡。
退院決定は福祉事務所にも連絡。退院時同行ができれば尚よし。

(2)入院時に起きること
①退院請求
患者様が退院請求をしてきた場合は退院請求の方法を伝える。その場合は第三者委員が来院してその可否を決める。主治医に必ず相談をする。退院請求をされたからといって、絶対にキレずに患者様の話をきくこと。

②他院診察
内科・心療内科など当院にない診療科で歯科以外の場合か以下のようのする。

・主治医から診療情報提供書をもらう。
・患者様本人やご家族が希望している病院があればおききする。
・保険証・生活保護の場合は福祉事務所に連絡。土曜や時間外の場合はファックスしておくと休み明けに連絡がくる。
・診察時は原則ご家族や福祉事務所担当ケースワーカーの同伴をお願いする。
・必要に応じてナースやPSWが同行することもある(双方か一方の医師の指示がある場合)。
・介護タクシーやタクシーを利用する場合で生活保護受給の患者様のときには「移動の意見書」を福祉事務所に依頼する。

基本は連携病院など地域の病院。受け入れない場合は探しまくる。地域連携で急性期病院からの転院患者様の場合は転院元に相談をしてもいい。
その際に入院時に持参してきている「退院証明書」をコピーして診察時に持参していただく。

④ 緊急時(東京都の場合)
重篤な合併症やTB(結核)の場合は東京都のルートに乗せる。その場合は東京都が決めてくれる。対応が遅かったら「まだですか電話」も辞さない。最悪は、病院を決めてから救急車対応。その場合はナースか主治医が同行することになる。東京都の合併症ルートの場合は2次救急(救急サービスセンターに連絡)か緊急の場合は119番通報となる。TBは指定病院なので必ず行政に相談する。合併症ルートは、東京都への連絡→情報の提供→受け入れ調整(都)→決定となる。この際に情報提供の方法は東京都にしたがうこと。家族(キーパースン)や福祉事務所への連絡をすること。

【外来診察まとめ】
診療情報提供書
前医の退院証明書(ある場合)
保険証(生保の場合は福祉事務所に連絡をして受診先を伝える。受診先で書類は手配済であることを伝えておく。

⑤ 家族へのお小遣いのお願い
医事課から「お小遣い額が減っている」連絡がきたらご家族に連絡をお願いして入金していただく。

2 入院数を充足させるために 病棟稼働率の把握をする。目標は97%

・「昔とは違う」というあきらめはやめよう!

・当病院には医療療養型病棟があるためニーズはあると思われる。

・精神科病棟は高齢者の場合は認知症の方の対応ができる。精神科は専門治療ができることと、認知症以外の薬が使えるため改善する可能性がある。内科系病棟や高齢者施設でパワー系や徘徊が収まらない患者様を受ける。そして安定したら施設や受け入れを渋ったら当院の医療療養病棟に移動していただく。

・クリニックや他の精神科を有する病院との連携を再構築する。だめなら再度クリニックや病院に営業をかける。

・認知症病棟の場合は高齢者施設に営業をかける。パワー系、徘徊系の対応可能!

・ダルクとの関係をつくる。アルコールの後遺症や覚せい剤後遺症の急性期治療。

・山間部の病院で長期入院になっている方に転院をしていただき地域生活につなげる。板橋区内に限らず台東区、豊島区、練馬区などにもアプローチすること。

・ファックス送信やネットでの情報提供の継続。

3 未収金を防ぐためにPSWができること
・入院前が望ましいが、「限度額認定証」を役所で取ってもらう。
・福祉事務所には必ず確認をする。
・生活状況が危うい人。例えば保護された路上生活者などは迅速に福祉事務所に申請をする。時間外でも連絡できる(入院時から生保適応にする方法)を確立しておく。例えば、「生活困窮で生活保護が必要なので相談します」的なファックス。休み明けに申請。

未収になりやすいケース
・年金でギリギリ生活をしていて家族もいるがギリギリの場合。→生活保護で医療扶助だけでもお願いする。
・年金が担保になっている場合。→年金担保ローンは違法なので家族などに法テラスへの相談を勧める。←この場合は不良債権になる可能性が高い。
・家族が年金を使っているので払えない場合。→家族の警告をする。そして本人同行で銀行にいき、通帳の停止と再発行、キャッシュカード、印鑑の交換をする。手数料がかかるが本人にお小遣いがなくなることを伝える。
請求書を送ったら自己破産をしてしまった。←入院時に保証人を立てていただく。自己破産をする前に保証人に請求をする。

未収金は回収できなくなる場合が非常に多いので絶対に未然に防ぐ。取り立てをし過ぎてもいけないし、できるだけの制度を駆使していくこと。

4 退院先探し
安定期の患者様を地域生活につなぐ方向性は以下の通り。

① 生活保護受給者のアパート探し
区によってはSSSなどの施設に入所してからアパートというところもある。その場合は福祉事務所にお願いする。仲良くかかわれる不動産屋さんをつくっておく。退院前訪問指導。退院後は訪問看護を実施する。

② 障害者福祉サービスの利用
支援相談員などを活用して就労支援を合わせてグループホームなどを探す。自立度が高く、服薬管理などができる患者様。施設見学などは退院前訪問指導、退院後は訪問看護を実施する。やんわりと地域の元気な社会福祉法人とかかわっておく。

③ 高齢者
患者様本人の意思をくんでご家族や福祉事務所と調整して高齢者施設を探す。入院後で安定してきたら介護保険申請と特養を申し込んでおくといい。できるケアマネや介護会社と組んでおく。

④ クリニックからの患者様
速やかにお戻しする。再度の入院の際に関係がよくなる。

⑤ 外来患者様
デイケア、訪問看護でフォロー。

こんな感じです。

まずは慣れること、処遇困難はみんなで考えることです。

精神科で一緒に働いた人間は、そのつながりが後あとになって活きてきます。


いいなと思ったら応援しよう!