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母の許に引き取られ、父と一つ上の姉と三人で暮らした家から出ることになった。 胸から抜け落ちる感情と、新たに湧き上がる感情とが渦を巻く。 姉が心配であった。 家を出たとはいえ母と暮らす町は隣町。 会おうと思えばいつでも会うことが叶う距離ではあるのだけれど、心の中から父への想いは日毎薄れてきている。 本当ならば今も一緒に暮らしているはずだった姉は、父が一人になると可哀想だからと父の許に残った。 父は仕事から帰ると酒を飲み始め、酔ってくると二人を部屋から呼び出して怒鳴り始める。