バイトの昼休憩に模造刀を砥ぐ

その年の夏休みのアルバイトは空港で使われるバゲージクレーム(手荷物ターンテーブル)に使われるシャフトを金属加工して作るバイトを見つけ、友人と働く事にした。

時給も良く、メシ付きで接客のようなコミュニケーションも無いから黙々と作業できるし、カネも貯まりやすいから文句なしな職場だった。

工場内のメンツは作業帽を被った痩せた工場長のおっちゃん、自分と友人よりも以前から働いてる自閉症気味のお兄ちゃんと4人の構成だった。

金属のパイプを設計図の通りのサイズで切り出して、両端にベアリングをはめられるように内側を削って隙間を作り、ベアリングをはめてから両端を挟み封入する。この作業を一日中ひたすらするもんだから両腕の筋肉は鍛えられて、気を付けの姿勢ができない程度まで筋肉が育った。

そんな筋トレバイトな毎日を過ごしていたので、この筋力を何か別の事にも活かしてみたいと話をしていたなかで模造刀を研いで日本刀もどきを作成し、木を切ってみようという話になり自宅にあった模造刀を工場へ持ち込んだ。

午前の仕事が終わり、工場長もお兄ちゃんも休憩室でウトウトしてるところを確認した上で友人と工場に戻り、ベルトサンダーの電源を入れ模造刀の刃先をあてると火花が出ながら刃先がシャープになっていく。

10分も掛からずに模造刀の刃先は鋭利になったので、試し斬りしてみようということになり、退勤後ブリーフを購入し、ブリーフ1枚あとは全裸、顔には顎の部分が割れた天狗の面を装備に公園で夜な夜な試し斬りをした夏だった。


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