居酒屋の大将の拾い癖

場所を詳しく記載すると店舗の詳細が分かってしまうので多少ぼかして書いていくが、当時自分が住んでいたのは都内の下町エリア。学生だった事もありアルバイトをしないと生活がきついって事で地元にいた頃にも働いた事のある個人経営タイプの炉端焼きでバイトをすることにした。

日本酒の種類が豊富で飲み比べなどができる個人経営の店舗だったが、今思い出しても(2000年頃)チェーン店でもないのにそれなりに繁盛店だったと記憶している。店舗の経営は創業した大将から二代目に継承されており、店の運営にも慣れてきた感じな40代の二代目とその奥さんが中心に店は回っていた。
二代目夫婦が結構人遣いが粗く、嫌だなぁと思いながらも居酒屋の仕事は慣れた業務なので比較的長く働けていた。そんな職場のなかで初代大将がいい雰囲気を出すジイさんだったのでよく話してた。

とある日、ジイさんが意気揚々と散歩から帰ってきて「道路で蟹味噌を拾った」とご機嫌だった。
その蟹味噌ってのはスーパーとかで果物や精肉を包む薄いビニール袋の中に入ってるんだが、どう見てもアレなんだよな。カウンターでそれを開けようとするジイさん、必死で止める二代目夫婦、ニンマリな自分。いい街だったな。

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