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パーキンソン病患者の生活指導・環境整備と転倒予防

パーキンソン病患者の生活指導・環境整備と転倒予防
北野 晃祐 古川 晃大
理学療法ジャーナルVol.55 No.11 2021.11 p1207-1212

【文献の要点】

・パーキンソン病患者は、運動症状や非運動症状、病期が進むにつれて転倒のリスクが高まる。また、Hoehn and Yahr重症度分類(以下、H-Y分類)Ⅲ、Ⅳでは、その3割以上が骨折を経験している。住み慣れた自宅での生活を望む高齢者は多く、パーキンソン病患者は生活指導や環境整備での転倒予防が特に重要となる。

・一般的に転倒予防には、運動療法と生活指導、環境設備の両方からアプローチを行う。

・病期の進行に合わせたホームエクササイズを含めた生活指導、また福祉用具の導入から継続した転倒予防を行っていく。

【文献の基本構造】

 パーキンソン病患者は運動症状や非運動症状からも転倒リスクが高いこと、またH-Y分類Ⅲ、Ⅳでは3割以上が骨折を経験しており、転倒予防の重要性をはじめに述べている。そして、在宅生活を継続するための生活指導と環境整備について、H-Y分類ごとに説明している。

【生活指導と環境整備のポイント】

〇H-Y分類Ⅰ、Ⅱ

 積極的な運動療法が推奨され、ホームエクササイズ、運動習慣の定着が目標となる。転倒予防として、T字杖やノルディック杖の歩行補助具の導入も検討していく。

〇H-Y分類Ⅲ

 運動症状が顕著となり、バランスや歩行能力の低下がみられる。安定性の高い歩行補助具を検討するが、公共交通機関の利用が難しくなる、生活範囲の狭小化に繋がるケースもあるため注意が必要。

〇H-Y分類Ⅳ

 運動症状の重度化により、自立した歩行移動が困難となってくる。H-Y分類Ⅲと同様に歩行補助具などを利用した歩行移動が基本となるが、介助者の協力が必要となってくる場合もある。すくみ足が著明となり、日常生活において問題となりやすい。すくみ足に対する対応の例を図(写真)とともに説明している。また、介助者の介護負担も増大してくるため、介助者に対する介助方法の指導も重要となる。

〇H-Y分類Ⅴ

 日常生活全般においての介助量が増大し、車椅子での移動となる。長期臥床を防ぐために、移乗介助量の軽減が重要となる。介助量軽減のためトランスファーボードなどの福祉用具を検討する。離床の際には、起立性低血圧に注意し、対処法などを介助者に指導する。

【まとめ】

 パーキンソン病患者の3割以上が骨折を経験しているとあるが、転倒はそれ以上に起きていると考えられ、自宅生活に限らず、病院や施設でも同様にパーキンソン病患者の転倒予防は必要である。患者の身体機能や意思、介助する家族の考えなども配慮しながら、病期の進行に合わせた適切な対応を行っていきたい。

記事:ながちゃん

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