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訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーション
三崎賢治
JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION 第31巻・第6号(通巻369号)・2022年6月号 P527-532

Key  Words:訪問リハビリテーション、生活、地域、役割

【アブストラクト】

Ⅰ.訪問リハビリテーションとは

日本訪問リハビリテーション協会は「その人が自分らしく暮らすために、それぞれの地域に出向いて、リハビリテーションの立場から行われる支援である」として、「疾病や加齢等により国際生活機能分類でいう“健康状態“を害した人だけではなく、”健康状態“を損なう恐れのある者及びその家族や生活を共にする地域住民の全てを対象と捉え、その対象者が生活を営む圏域(地域)に出向き、リハビリテーションの立場から行われる支援の全ての総称を指すもの」と謳われている。

2020年の厚生労働統計によると介護予防、介護サービスの受給者数は約620万人であり、そのうちの20万人が訪問リハビリテーションを利用している。また在宅の障害児・者は約880万人おり、在宅療養者にとって訪問リハビリテーションの需要は高まっている。

訪問リハビリテーションの提供場所は実際の生活空間であり、その中で必要とされる動作や道具、導線、介助方法等を本人、家族、支援者と考え、指導することができる。

また事前にリハビリテーション計画書へ目的、頻度等を記載することで買い物や公共交通機関の利用、屋外リハビリテーションの実施が可能となる。訪問場所も住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、ケアハウス等も在宅扱いとなるため訪問が可能である。

Ⅱ.訪問リハビリテーションの対象と利用方法

訪問リハビリテーションの対象は乳幼児から高齢者まで対応し、病期別では退院直後から終末期までのあらゆる場面での在宅支援を行う。

訪問リハビリテーションの提供元には病院や診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーションがあり、それぞれ医療保険、介護保険、どちらかの公的保険を利用できる。しかし介護老人保健施設からの提供は介護保険のみ適用である。これらは医師の診察が必要であり、訪問リハビリテーション指示書もしくは訪問看護指示書が必要である。

また介護認定を受けている場合、原則介護保険での訪問リハビリテーションを受ける必要があるが、厚生労働大臣が定める疾病等に診断された場合に医療保険での利用も可能である。

Ⅲ.訪問リハビリテーションの実際

在宅では医学モデルではなく、生活モデルでの視点が重要であり、個人へのアプローチだけではなく、環境へも働きかけることでその人らしい生活の再建や生活の質の向上が得られる。個別性のあるアプローチができることが訪問リハビリテーションの強みとなる。

実際に介入する場所は利用者宅が多く、スタッフが自ら移動するため移動時間も考慮して予定を立てる必要がある。介護給付費分科会によると訪問リハビリテーションの1回の利用時間は40分が約8割で、頻度は1−2回/週が約9割であった。

入院・入所の様に高頻度での介入が困難であるため、目標達成には家族や支援者、時には通所事業所、学校、自治体等の連携が重要であるためマネジメントしていく必要がある。

Ⅳ.訪問リハビリテーションの課題

訪問リハビリテーションを効果的に提供するには事業所の体制整備とそこに従事するスタッフの資質向上が必要である。

そのために我が国では平成30年度の介護報酬改定で医師の指示を明確化し、訪問リハビリテーション事業所に専任常勤医師の配置を明記し、リハビリテーションマネジメント加算を創設した。

また令和3年度介護報酬改定ではLIFE(Longterm care  Information system  For Evidence)を導入し、科学的な裏付けされた高品質なサービスの提供推進を図っている。

また連携強化も進められており、テレビ会議や動画等のICTの導入によるサービス担当者会議等の効率化が実現されている。

【勉強となった点】

訪問リハビリテーションの提供者は高齢者印象が強かったが、乳幼児等への小児リハビリテーションや学童期へもリハビリテーションが行われている現状がわかり、数値からもこれからもニーズがある分野であることが理解できた。

そのためには多角的な視点や医療従事者としての知見や評価が重要であり、高い専門性を育成する必要があることと、事業所の整備が重要であることが今後の課題ではないでしょうか。

【最後に一言】

入院中のリハビリテーションの介入から今後を見据えて介入する必要があることは理解できており、毎日の臨床に励んでおられる先生方も多いことだと思います。同一施設や法人、事業所等で勤務されているセラピストの活躍や臨床での悩み、疑問などにも目を向ける機会ではないでしょうか。

自身の分野だけではなく、広くリハビリテーションを知ることが目の前の利用者の生活の質の向上へ導く一歩となるのではないでしょうか。

執筆:本多竜也

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