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愛さえあれば(2012)

人生は何度でもやり直せる! 愛すべきキャラクターが織りなす
ビタースイートな大人のロマンティックコメディ

デンマークの女流監督スサンネ・ビアが手がけた、突然“愛する人”を失った中年の男女が、再び真実の愛を見つけるまでを描いたロマンティックコメディ。

思うようにはうまく行かない人生だけど、“愛さえあれば”救われる――。人生の痛みをユーモアにまぶしたビタースイートな語り口で、大人の愛を謳い上げています。

【ストーリー】
デンマークの主婦イーダ(トリーネ・ディアホルム)は乳がんの治療もひと区切りつき、娘の結婚式を控え、明るい未来が見えた矢先、夫ライフ(キム・ボドニア)の浮気現場に遭遇します。驚くイーダに対し、ライフは悪びれもせず「君が病気になり悲しかった」と告げて、家を出てしまいます。
南イタリアのソレントでは、イーダの娘アストリッド(モリー・ブリキエスト・エゲリンド)が交際3ヶ月のパトリック(セバスチャン・イェセン)と彼の父が所有する別荘で結婚式の準備を始めます。
一方、夫に裏切られた失意のなか、一人ソレントへ向かったイーダは、コペンハーゲンの空港でパトリックの父フィリップ(ピアース・ブロスナン)と気まずい初対面を果たします。

物語の主な舞台は、海と緑、陽光に溢れたソレントでのハウス・ウェディング。明るく、おしゃれで、見ているだけでワクワクしてくるシチュエーションですが、そこに集まるのは、悩みが深かったり、ひと癖あったりする訳ありの人ばかり。ライフが愛人を式にともなって現れたことから、イーダはさらに傷つきますが、そのことが妻を亡くした悲しみから立ち直れないフィリップとの距離を静かに近づけていきます。

哀しみや苦しみを自然体で乗り越えようとするイーダや、能天気なライフなど、愛すべきキャラクターがこの作品の魅力。オランダのベテラン俳優たちと、単なるハンサム俳優からしっかり脱皮したピアース・ブロスナンの妙演が心から楽しめます。

『アフター・ウェディング』『悲しみが乾くまで』など、切なく、辛い現実を通し、愛の本質を静かに見つめてきたビア監督は、人間に備わる“愛の力”を信じている人なのでしょう。シリアスでもコミカルでも、ビア監督が紡ぐ愛の物語にますます興味を覚えた作品です。

青い空や海、さんさんと輝く太陽、豊かな自然に、かわいくておしゃれな街並みなど、開放感とキラキラ感溢れる南イタリアの風景も本当に素敵で、心が癒され、元気が湧いてきます。

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