ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008)
美しくも哀しいヒューマンドラマ
数奇な運命をひたむきに生きる男の姿が深い感動を呼ぶ
幸せや不幸を経験するうちに、誰もが一度は考えるのではないでしょうか。「生きるとはどういうことなのか」。本作は、そんな根本的かつ難解な問題と真摯に向き合ったヒューマンドラマ。
80歳で生まれ、年を取るごとに若返るという数奇な運命を背負った男の生き様から、より良い人生を送るために大切なことが分かるはず。
勇敢な船乗りたちとの冒険、夢をあきらめない女性スイマーとの魅惑的な恋、自分を捨てた実父とのほろ苦い再会など、さまざまな人々の生き方を通し、人生を学んでいくベンジャミンの姿が描かれます。
その数奇な人生の核となるのは、幼なじみのデイジーとの出会いと別れ。正反対に年を重ねる2人が紡ぐラブストーリーは、夢のように美しくも哀しい……。
死と向き合う少年時代を乗り越えたベンジャミンには、若返りという、さらに過酷な未来が待ち受けます。生きる喜びと辛さを抱えながら、それでもひたむきに生きようとするベンジャミンの姿に深く心を動かされます。
F・スコット・フィッツジェラルドによる短編小説を、『セブン』『ファイトクラブ』のデヴィッド・フィンチャー監督が映画化。80年にわたるベンジャミンの生涯をじっくり描き、二度と戻らない時間の残酷さと大切さを繰り返し伝えたフィンチャー監督は、これまでの作風を一変させ、一瞬一瞬を大切に生きていこうと思わせる感動作を生み出しました。
ベンジャミンを演じるブラッド・プットは、抑制をきかせ、観る者の胸に迫る名演を見せています。幼くして人生を達観したベンジャミンが静かに語る人生訓も心に染みます。