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今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006)

歌とユーモアと希望にあふれた
ロバート・アルトマン監督最後の群像劇

30年以上続く、ラジオの公開ライブショウ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最終回の日。会場となるフィッツジェラルド劇場では、ステージで、楽屋で、ラジオショウをこよなく愛する人々のさまざまな思いが交錯します。

名匠ロバート・アルトマン監督の遺作は、偶然にも「最後」にのぞむ人々の姿を追った群像劇。過去の日々を振り返ったり、達成感でほっとしたり、心に溜め込んだうっぷんを晴らしたり……。

「最後」の日なら起こり得る事件を通して、歌とともに生きる人々の心の機微を鮮やかに描き出した、ちょっと物悲しさも感じさせるトラジコメディーです。

【ストーリー】
「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最終ステージで、ミュージシャンたちはリストラ同然でステージを去ることになっています。時代を止めたようにカントリーソングやカウボーイソングを歌い続ける彼らに次のステージはあるのでしょうか?

全米に実在する同名番組の司会者、ギャリソン・キーラーが脚本を執筆、映画製作時にも続いていた人気番組を「最終回」にしてしまったことから分かるように、全編に遊び心と粋な感覚、そして希望があふれています。時代の波に流されて消え行く古き良きものを優しく見つめ、光を当てた佳作。

メリル・ストリープやジョン・C・ライリーなど、ゲストミュージシャンに扮した俳優たちが実際に歌うラジオショウのステージも素晴らしいです。

ぜひフィッツジェラルド劇場のラストステージを堪能してほしいです。

なお、実際の「プレイリー・ホーム・コンパニオン」は2016年、司会のギャリソン・キーラーの変更に伴い、42年間の放送を終了。司会をアメリカ人シンガーのクリス・シーリー、番組名を「Live from Here」に変え、ラジオ&ネット番組として2020年まで続いていたようです。

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