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ジョーカー(2019)

怪優ホアキン・フェニックスの真骨頂!
悪のカリスマ、ジョーカーの誕生をスリリングに描く

2019年に公開され、圧倒的な迫力で世界中の注目を集めた『ジョーカー』は、ぜひ観るべき映画です。

人気アメコミ『バットマン』の宿敵ジョーカーは、史上最恐かつ、最もセンセーショナルな悪役のひとりといえるでしょう。白塗りに、口が異様に引きつった不気味な風貌で、犯罪はつまらない世界を楽しませるジョークと笑う――。そんな歪んだ怪人ジョーカーに、ハリウッド実写版ではジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーら演技派俳優たちが扮し、圧倒的なヒールぶりを見せつけ、ジョーカーを悪のカリスマへと押し上げました。

本作は、原作のアメコミでは曖昧なジョーカーの誕生を描いたオリジナルストーリー。変幻自在の怪優ホアキン・フェニックスが、狂人ジョーカーへと変貌する主人公のアーサーを演じ、今まで以上に恐ろしく、素晴らしいジョーカーを生み出しました!

【ストーリー】
1980年代初頭のゴッサムシティは、格差社会が広がり、街も人々の心も荒廃の一途をたどっていました。そんな暗い世の中で、笑いを愛し、コメディアンを夢見るアーサーはピエロに扮して働き、病弱な母親ペニー(フランセス・コンロイ)の面倒をみている心優しい青年ですが、アーサーには、緊張すると所かまわず笑い出す疾患があり、人々から奇妙な目で見られることもしばしばでした。

物語前半は、社会から爪はじきにされたように細々と生きながらも、希望を見い出そうとするアーサーの切ない境遇が描かれます。しかし、派遣事務所の仲間から、図らずも拳銃を受け取ってしまったこと、そして、最悪の状況で笑いの発作に見舞われたことから、運命の歯車が狂っていきます。

監督・共同脚本は、『ハングオーバー』シリーズのトッド・フィリップス。一人の純粋な男が社会で徹底的に打ちのめされ、転落していく様をドラマチックに描き切っています。現実にも通じる問題を提起しつつ、ミステリータッチで、バットマンこと、ブルース・ウェインとの因縁もさりげなく盛り込まれたストーリーが実によくできていますが、やはり、ホアキンの存在なくして、この野心的な映画の成功はなかったでしょう。

アーサーの日常を追う形で進む展開は、ほぼホアキンの一人芝居のような印象ですが、見応え十分です。アーサーの悲哀と狂気を見事に体現したホアキンは、悲願のアカデミー主演男優賞を受賞しました。
もう一人の変幻自在の名優ロバート・デ・ニーロが共演し、わずかな出演シーンながら、ホアキンとインパクトのあるシーンを作り出しています。

不気味で不快な描写に度肝を抜かれますが、ジョーカーの哀しみに共感できる人は多いはず。現代社会への問題提起、そして、人々がより良く生きるための反面教師として、本作の果たす役割はとても大きいです。


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