初海外旅行で一人で台湾に行ったら色々濃すぎた話。第2話
6、台北の街を散歩。
2月7日、早朝。
パンイチペニーワイズとの鉢合わせを避けるために朝の7時にベッドを抜け出し、ロッカーから歯ブラシを取ってシャワールームへ。かなり広く、シャワーやトイレ、洗顔は全てここでやった。すでに同じように歯を磨いている人やシャワーを浴びてる人がいる。韓国人が多かった気がする。昨日はパンイチペニーワイズのせいで歯を磨くことも出来ず、念入りに磨いてから部屋に戻った。歯ブラシをロッカーに入れ、必要な物だけ持って台北の街を散策する。
独特の雰囲気がある街だった。全ての店の看板に見たことが無い漢字が並び、ゴミ箱が無いからなのかそこら中にゴミ袋が一つの場所にまとめられて置かれていた。ゴミの臭いがきつい訳でもなく、台湾の独特な匂いが街を包んでいた。昨日は夜でシャッターが閉まっていたから気付かなかったが、至るところに店がある。ドラックストアからコンビニ、日本の飲食店にスタバなどの日本にも馴染み深い店が多い。適当に歩いていると大きい通りに出た。遠くに見覚えのある建物が見え、そこを目指し歩いていく。
観光地としても紹介されている。「台湾総統府」である。気付いた人もいるかもしれないが、近代の日本の建築に雰囲気が似ている。この台湾総統府はかつて日本が台湾を統治していた時代に建てられた物で、現在は台湾の国家元首に使われている。台北に来たら必ず見ておきたかった場所なので嬉しかった。私が台湾に興味を持ったきっかけの一つとして、父方の祖父が台湾にいた頃の話を子供の頃に聞かされた事があったからだ。私と同じくらいの歳に祖父もこの建物を見たのだろうか。そう思うと、不思議と古い友人と再会した懐かしさのような感情がふつふつと湧き上がる。
台湾総統府を後にし、朝食を食べられる場所を探してウロウロしていた。一つの通りの店の前で、何やらおじさんが忙しいそうに手を動かしながら客と話していた。麺類専門の飲食店らしい。二階に上がったら何名かと聞かれて席に案内される。かなり地元の人たちで賑わっていた。私は壁に掛けてあるメニュー表を指差しながらThis one please!と言い牛肉麺を頼んだ。220元(880円)。昨日もコンビニで食べたが、美味しかったのでまた食べることにした。
しばらくすると牛肉麺と高菜が運ばれてきた。おじさんに500元(2000円)と書かれた紙幣を渡し、お釣りを貰う。牛肉がシチュー並みに煮込まれていて味が染みている。かなり肉が大きいが柔らかくてスープも意外とあっさりしていて美味しい。高菜も入れて食べると更に美味しさが増す。すぐに食べ終わり、店を後にした。
店を後にした後は日用品を買いにドラックストアへ。空港で飛行機内の液体の持ち込みは制限されているので全て置いてきてしまった。歯ブラシを新調したり、台湾のフェイスパック、洗顔品、髭剃りのジェルなどを持って店内をウロウロしてたら店員のお姉さんがカゴを持ってきてくれた。台湾の人は優しい。会計を済ませたら笑顔と日本語でありがとう!と言われたので、手を振りながら後にした。
暑い。外に出ると日差しが強かった。スマホの温度表を見ると27度ほど。暑いわけだ。コートとYシャツを脱ぎ、半袖になる。一旦ホテルに戻った後は服や洗顔品などを置いてまたすぐに街へ出かけた。
「西門駅」という東京でいう原宿のような場所に行ったら、また近代建築を改装したような建物が見つかった。これも日本統治時代に建てられたものだろうか。私は日本の近代建築や歴史、文化が大好きなのでこういう建物が多く残ってる台湾は魅力的に思えて仕方ない。中に入ると、カフェや雑貨屋だった。Tシャツ、イヤリングなどのアクセサリーが所狭しと並んでいた。何か買おうかと思ったが私は建物を見られただけで満足してしまい何も買わずに外に出た。
ネットの情報で「悠遊カード」という日本でいうSuicaやICOCAと同じICカードが売られているらしいのでコンビ二に買いに行った。店員に話しかける。
とも「IC card please」
店員「IC card? charge?」
とも「No, charge. IC card」
そう言うと、指差しでレジの横でぶら下がっているキャラ物の悠遊カードの中から選べるという。ドラえもんからサンリオのキャラの物しか無かったのでなんか恥ずかしくなり、No thank you!谢谢!と行って駅へ向かう。台湾は日本に比べるとかなりキャッシュレス化が進んでいる。買い物もクレカやこの悠遊カードで支払いを済ます人が結構いた。インフォメーションに行けばカードタイプのものが買える。並んで駅員から悠遊カードを確か100元(400円)で買う。しかし、このままでは使えないので悠遊カードをチャージする必要がある。チャージ専用の機械があったので、日本語設定にしてから100元をチャージし、日本人街がある中山駅へ。
中山駅に着くと調べていたマッサージ店に向かう。台湾はマッサージ文化が強いらしく、至る所にマッサージ屋が立ち並んでいる。そのマッサージ屋に着くと、外にいた呼び込みのおばさんに日本語で話しかけられ店内へ。椅子に座らされ、コースの説明を受ける。60分コースがおすすめだよ!どうする?と日本語で言われたが45分の足裏マッサージ(600元)を受けることに。台湾では2月はまだお正月らしく値段がさらに50元(200円)ほどアップしていたが気にしない。半ズボンを受け取り、着替えてからマッサージを受ける。お湯に足を入れていると、担当の眼鏡をかけた青年が来た。タイマーを見せられ、45分です、OK?と言われたので頷く。特に感想は無いのだが、普通に気持ちよかった。脛から足裏を中心にローションを塗って揉みほぐしてもらった。昨日の疲れが和らぎ、足が軽くなった気がする。パンイチペニーワイズの無許可マッサージの100倍は気持ちよかった。
7、土林夜市へ!
外に出ると日が暮れかけていた。適当に散策した後にMRT(地下鉄)で目的地の「土林夜市」へ向かう。時間は18時くらい。駅に着くとかなりの人がいて混雑していた。しばらく歩くと、日本の夏祭りのような感じで屋台が数え切れないほど営業していた。
土林夜市は台北の夜市の中でもかなり規模が大きいらしく、Tシャツからぬいぐるみ、射的ゲーム、食べ物まで何でも揃っている。これが毎日行われているとは驚きだ。日本の祭りとは比べ物にならない。台湾は外食文化だ。あまり自炊はしないとネットで見たが、ここまでレベルが高い屋台が多いなら自炊なんてやらないだろうなと思った。それぐらいレベルが高い屋台が多かった。特に上の写真のエビ釣りは台湾ではポピュラーらしく、エビの釣り堀があるらしい。7回やって確か100元(400円)で釣ったエビはその場で焼いて貰って食べられる。味は普通のエビだったが、面白かった!
適当に買い歩いていたら喉が乾いたのでもう一つのポピュラーな飲み物、珍珠奶茶(タピオカミルクティー)を求めて探す。台湾にはその辺を適当に歩いていても珍珠奶茶が売っている。その種類は豊富で黒糖味のタピオカや色とりどりのタピオカが入ったものから、フルーツ味のタピオカティーなんてものもあるらしい。どんだけタピオカ好きなんだよと思うかも知れないが、タピオカティーの数の暴力には抗うことは出来ない。実際にかなり安く(45元くらい)買え、量も日本のLサイズくらいかそれ以上のサイズのカップで飲めるのでかなりお得。
次に適当に歩いていたら、行列が出来ている屋台を見つけた。そこに並んで待っていると前のカップルが日本語で会話していた。日本人もかなり多い。前の人と同じように指を3本立てて、This please!と言うと買えた。値段は忘れたが一個15元(60円)ほどだった気がする。
食べた瞬間に肉汁が溢れてくる。日本の肉まんをかなりジュシーにした感じ。食べ応えがあって美味しかった!台湾の料理はどれを選んでもハズレが無かった。ただし臭豆腐、テメーは駄目だ。臭すぎて買う気にもなれなかった。美味しいかは実際に行って食べて感想聞かせてください。
土林夜市を後にしてMRTに乗って帰る。ホテルに帰る途中に公園があったから寄ってみた。静かな公園で最初は不安だったが、普通に犬の散歩をしている人が多く、台湾の治安の良さを再確認させられた。遠くには「台北101」が聳え立っている。今回は行かなかったが、入場料を払えば展望台まで行けるらしい。私は前にも話したが、高所恐怖症なのでジェットコースターやら展望台などの高い場所には興味がない。でも、上から見る景色は勿論だが下から見上げたこの台北101も綺麗だと思う。「台北101、下から見るか?上から見るか?」 だ。
因みに、私の一番好きな邦画は「打ち上げ花火、下からみるか?横から見るか?」なので、夏になったら見よう。アニメ版は私は普通に楽しめたが、実写版が最高過ぎて霞んで見えた。
8、走れとも
ともは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のパンイチペニーワイズを除かなければならぬと決意した。ともには英語がわからぬ。ともは、京都の学生である。たまにギターを弾き、野良猫と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。昨日未明ともは日本を出発し、野を越え山越え、何里かはなれたこの台北市にやって来た。ともには金も、学も無い。彼女も居ない。(太宰治の小説が好きな人はごめんなさい)
閑話休題。
何故このような状況になっているかというと少し時間を遡る事になる。
ホテルに帰り、貴重品をロッカーに入れ、シャワーを浴びるために着替えや今日買った洗顔品を取り出してシャワールームへ向かう。台湾には日本の洗顔品や化粧水は日本と同じくらいかそれ以上の値段で売られている。かなり人気があるらしい。今日の話には出ていなかったが、昼間に日本にいた頃にダイソーで化粧水を100円で買ったことを思い出し、ダイソーに向かった。見つけて入ったら100円均一ではなかった。200円くらいした。ダイソーの概念がぶっ壊れそうになったが、ここは異国の土地である。剛には郷に従えと言う奴だろう。まあ、結局何も買わずにドラッグストアでまとめて買ったのだけど。
シャワーを浴びた後は歯を磨いてから着替えて、ベッドでスマホを充電していた。台湾は日本と同じワット数なので変圧器を買う必要はない。読書灯の光を付け、明日はどこに行こうかと胸を踊らしていたのだが、この胸の高鳴りは怒りへと変わることになる。そう、奴が襲来したのだ。
パンイチ「你好!」
エヴァンゲリオンの使徒が襲来した時の警告音が頭に鳴り響く。
パターン青!!パンイチです!!
ゲンドウのようにエヴァに乗らないなら帰れ!!と言いたかったが、とりあえず話は聞いてやることにした。
とも「What?」
パンイチ「Present for you!!!」
そう言うとパンイチが取り出しのは、なんとポケモンのガーディのぬいぐるみである。別にポケモンが好きな訳でも、ガーディが好きな訳でもないが、もしかしたら昨日の件について詫びの品として私のために買ってきてくれたのかと思って受け取ることにした。(あとでどこに捨ててやろうかと思っていたのはここだけの話)
とも「アリガト…」
そう言ってカーテンを閉めようとしたらパンイチは言うのだ。
パンイチ「マッサ!!!!!!!!!」
満面の笑みで手をくねくねさせて勢いよく言ってきた。ここで堪忍袋の緒がブチ切れた。パンイチはあろうことか、昨日の無許可マッサージの件を謝罪するどころか私にまたマッサージさせろと言ってきたのだ。何より腹が立つのは、好きでもねぇポケモンのぬいぐるみごときで、俺の機嫌が取れると思ってるその姿勢が気に食わねぇ。イライラが頂点に達した。
なんだこいつ???
日本人だからこんなになめられてんの????
ぶっ○しても良いですか?????
なんでガーディでイケると思ったん?????????
頭の中に様々な疑問が交差し、私は貰ったガーディの頭を握り潰す勢いで掴み上げ、パンイチに向かって投げつけて言った。
とも「Don`t talk to me!!
Do you understand????????」
こんなに怒鳴ったのは、中学生の頃に友達の飼い犬のコーギーに足を思いっきり噛まれて、突発的にこのクソ犬!!!!!!と怒鳴った以来である。普段は温厚なので安心してください。それにしても英語が話せない自分がここまで英語で怒鳴ることが出来て自分でも驚いている。きっと、ジョジョ第三部でDIOの刺客のラバーソールが承太郎にこの言葉を使って煽りまくっていたのを覚えていたのだろう。スタンドが使えるなら、こいつの眉間にスタープラチナの拳を叩き込んでオラオラ!!!!言いたかったが、生憎私はスタンド使いではない。
やれやれだぜ。
怒鳴り散らすと、パンイチは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていたが、落ちたガーディのぬいぐるみを拾い上げ一言OK…。と言ってベッドに戻っていった。遅い時間にこんなに大声で怒鳴ってしまって同じ部屋の人には申し訳なかったが、右端のベッドで起きてた髭面の白人男性がstay cool…。と言っていたのを私は聞いていた。頭を冷やせと言う意味なのかカッコいい!と言ってくれたのかは分からないが、これがCool Japanだ。とりあえず、言いたいことは言えたのでスッキリした。本当はすぐにでも部屋を変えたかったが、キャンセル料で4000円近く取られるのでアホらしくなって我慢する事にした。あまり寝れなかったが布団に潜り、スマホで明日の情報収集をしてから眠った。
2日目終了
次回「台日交流!」
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