さようなら、どうかお元気で。

 LINEで100人以上居た友達を整理して、50人まで減らした。もっと後悔だとか、その友達との思い出がフラッシュバックしてノスタルジーに想いを馳せるかと思ったが特に何もなかった。

 減らそうと思えば、30人。いや、もっとかもしれない。今思えば友達と呼んでも良いのか分からない存在になっていたので、これで良かったのかもしれない。画面も見やすくなったのでスッキリした気持ちにはなった。

 削除した友達の中には小学生の頃から中学卒業までの9年間、学校で共に学び、共に遊んで、俗に言う青春を過ごした仲なのだが高校生になると自然と連絡を取ることは無くなって疎遠になった。それは友達か? と言われれば昔はそうだとはっきり言えたが、今はもう言えないだろう。

 高校のクラスには自分と同じ中学の出身はいなかったので、自分を知る人は誰一人いなかった。一から人間関係を築き、友達を作って過ごしている内に過去の友達の存在がどんどん薄れていった。過去の友達に出来たことは、その時の友達でも出来る。人が変わろうと、本質は変わらず、共に学校で学び、遊ぶだけの関係だったのだろう。自分もその友達も。卒業して縁が切れれば、それで終わり、定期的に連絡を取れば維持は出来るかもしれないが恋人だったり、家族が出来れば優先順位は自ずと変わっていく。友達から知り合いになり、やがて誰でもないただの他人に戻っていく。どうも、初めましての白紙の関係に戻るだけなのかもしれない。

 LINEの友達リストに蓄積されたかつての友達はもうセミの抜け殻のように、脆く伽藍堂のような気がした。皆、何処かに飛んでいってしまったのでは無いだろうか、その抜け殻だけを残して。

 名前が変わって誰だか分からない人、連絡先だけ聞いて一度も連絡する事が無かった人、かつてのバイト先の仕事仲間、入っていたサークルの同級生、そしてかつての友達たち。一つずつ思い出せるだけ、今まで会ってきた人々の顔や名前を照らし合わせながら削除していく。別に残したままでも良いが、もうこの先何年経っても連絡を取ることは無いと言う確信がある。

 

 かつての友達へ。さようなら、どうかお元気で。







 

 

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