ゆっくり苦しみをもって。
最近、エリックサティのジムノペディというピアノ独奏曲を聴いている。好きなアニメやゲームで使われているのを聴いて以来、寝る前にこの曲を聴くことが多くなった。ゆったりとした曲調に、もの哀しさと美しさを混ぜたような曲だと思う。
この曲を聴くと何故か自分が死んだらどうなるのか考えてしまう。別に難病を患って余命を告げられた訳でもないし、全てが嫌になって死んでしまおうかとも思っていない。月明かりしかない夜の砂浜を、ただあてもなく彷徨ってる気分になるのだ。人は美しいものを見た時に死を連想するという事を何処かで聞いたことがあるが、それなのだろうか。
人の寿命は80ほどだと言うが、それまで自分は生きているのだろうか。自分がどんな理由で死ぬのかは知らないが、いずれ終わりが来るのは知っている。どんな事にも。この身体も、大切な人も、大事な思いも電池が切れたロボットの様にいつか錆びついて朽ちていく。
ジムノペディの弾き方をサティは "ゆっくり苦しみをもって" と指示したらしい。私の人生もそのゆっくりした苦しみの中に消えて無くなるのだろうか。今日もそんな途方も無いことを考え、ジムノペディの旋律を聴きながらゆっくりと確かに来る苦しみをただ待つことしかできない。
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