近視の反復低出力赤色光(RLRL):中国で普及傾向らしいが、長期的安全性懸念浮上
安全性懸念払拭される以前に、日本ではやらなければ良いが・・・。
Wang, Ya Xing, Ningli WangとTien Yin Wong. 「Red Light Therapy for Myopia—Current Regulatory Changes in China」. JAMA Ophthalmology, 2025年1月23日. https://doi.org/10.1001/jamaophthalmol.2024.5977.
近視は中国を含む世界的な公衆衛生問題である。中国では特に子どもや青少年の近視有病率が高い。
近視予防や進行抑制の方法は多岐にわたるが、反復低出力赤色光(RLRL)が注目され、議論を呼んでいる。
RLRLは、非薬物治療として網膜を赤色レーザー光(635-650 nm)に数分間曝露する治療法であり、中国で急速に普及している。
中国国家薬品監督管理局(NMPA)は最近、RLRLデバイスの製造・販売に関する規制を強化し、近視治療の将来に重要な影響を及ぼす可能性がある。
RLRL治療の発展と使用状況
RLRLはもともと弱視治療の代替法として30年以上使用されてきたが、近年では近視治療として再利用され、広がりを見せている。
中国で実施された複数のランダム化比較試験(RCT)により、RLRLが近視の進行抑制や眼軸長の短縮、脈絡膜の厚み増加に効果があることが示唆されている。
NMPAのデータによれば、2021年から2023年の間に約20社がRLRLデバイスの医療ライセンスを取得した。
安全性の懸念
RLRLの急速な普及に伴い、安全性に関する議論が活発化している。
一部で黄斑損傷の報告があり、形態的損傷は可逆的であったものの、潜在的な長期視覚障害のリスクが懸念されている。
一部地域では、医療機関以外の場所でもRLRL治療が行われており、医師の監督なしでの治療が問題視されている。
一部の商業用デバイスは、許容レーザー暴露レベルを超える可能性があり、光化学的・熱的損傷のリスクが指摘されている。
規制の変化と影響
NMPAは2023年半ばにRLRLデバイスをクラスIIIに再分類し、より厳格な規制監督を求めるようになった。
新しいガイドラインでは、霊長類を用いた安全性試験や長期病理学的評価を実施した後に臨床試験が開始されるべきとされている。
2024年7月以降、クラスIII登録証のないRLRLデバイスの製造や販売は禁じられる。
この規制変更により、商業RLRLデバイスの承認が少なくとも5年間中断される見通しである。
結論
RLRL治療をめぐる規制の進化は、医療イノベーション推進と患者安全確保のバランスの重要性を示している。
規制の強化と効果的な施行は、医療技術の発展を支える鍵である。
科学的には、RLRLの作用機序や潜在的な合併症の因果関係に関するさらなる研究が必要である。
世界的な連携と規制動向の共有が、近視治療の安全性と有効性向上に寄与する。
Cao, Kai, Lei Tian, Dong-Li Ma, Shi-Qiang Zhao, Ao Li, Zi-Bing JinとYing Jie. 「Daily Low-Level Red Light for Spherical Equivalent Error and Axial Length in Children With Myopia: A Randomized Clinical Trial」. JAMA Ophthalmology 142, no. 6 (2024年6月1日): 560. https://doi.org/10.1001/jamaophthalmol.2024.0801.