BMJクリスマス:北極圏での緊急医療サービス提供におけるホッキョクグマの輸送方法とその他の独特な取り組み
オチがあまりないのだが・・・
Harring, Astrid K V, Siri Idland, Mari Mowe Martinsen, Ingelin Skjørland-BolkesjøとTrine M Jørgensen. 「How to Transport a Polar Bear, and Other Idiosyncrasies in Providing Emergency Medical Services in the Arctic」. BMJ, 2024年12月18日, q2417. https://doi.org/10.1136/bmj.q2417.
スバールバル諸島の医療と救助に関する要点
地理と人口
スバールバル諸島はノルウェー本土の北600マイル、北極圏に位置し、面積は6万平方キロメートル以上。
人口は2596人で、ロングイェールビーンが「首都」とされる。
医療体制
ロングイェールビーンには小規模な病院があり、一次・緊急医療を提供。
病院スタッフは24名で、医師3名、外科医1名以上が含まれる。
消防署には1台の担架付き救急車が配備されている。
救助活動
捜索救助用ヘリコプター2機がヘリコプター緊急医療サービス(HEMS)を提供。
ヘリクルーには医療救助技師が含まれ、1機には麻酔医も搭乗。
ヘリコプターは本土のHEMS基地と同様の機器を備え、年間80件以上のミッションを遂行。
厳しい環境条件
気温が−30℃から+5℃まで変動し、バッテリー寿命の短縮や酸素マスクの崩壊が発生。
気管挿管チューブの接続部は脱落防止のため固定が必要。
交通事情
凍結道路での交通事故は報告されていない。
ノルウェーの登録スノーモービルの半数以上がスバールバルに存在。
スノーモービル事故の多くは未熟な運転者や飲酒が原因。
ホッキョクグマとの共存
バレンツ海地域に約3000頭、スバールバルには約300頭が生息。
過去50年間でホッキョクグマによる死亡事故は6件、負傷者も発生。
ロングイェールビーンの外では、住民はライフルと信号銃を携行義務あり。
ホッキョクグマの対策
気候変動により海氷が減少し、ホッキョクグマが人口密集地に迷い込むことがある。
ヘリコプターで追い込みや移送を実施。
鎮静剤(タイルタミン、ゾラゼパム、必要に応じてメデトミジン)を使用。
鎮静後、担架に乗せてヘリコプターで運搬。筋弛緩剤と気圧変化を考慮し、下半身をプラスチックで覆う。
その他のポイント
居住者は移動可能な血液銀行としても機能。
ホッキョクグマの解剖が必要な場合は、死体をヘリコプターで吊り下げて運搬。