ヒト膵ラ島:血糖値調整miRNA多数発見
2月9日付の米国科学アカデミー紀要に掲載されたこの新しい研究は、インスリンを分泌し血糖値を調節するヒト膵島で見つかった糖尿病に関連するmiRNAに関する最大の研究成果らしい
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microRNAs (miRNAs) ってなんですか？
microRNAs（miRNAs）は、RNA分子の一種であり、遺伝子発現を調節する役割を持つことが知られています。miRNAsは、核内で生成され、タンパク質の構造となっていないmRNA分子を特定の部分に結合して、その mRNA 分子の翻訳を抑制することができます。このような調節機構は、細胞の増殖や分化、生存などの様々な生理学的プロセスに関連しています。また、miRNAsは多発性疾患や癌などの病態にも関連していることが示されています。
miRNAのシード領域ってなんですか？
miRNA のシード領域とは、miRNA がターゲット mRNA に結合するために重要な領域を指します。この領域は miRNA の先頭から数ヌクレオチド分の部分に存在します。miRNA シード領域は、ターゲット mRNA の先頭から数ヌクレオチドにあたり、この部分と miRNA シード領域が完全一致する mRNA だけが、miRNA によって結合され、翻訳抑制されます。miRNA シード領域は、miRNA によるターゲット mRNA の選択や、miRNA の機能制御に関連しています。
differential expression analysisってなんですか？
Differential expression analysis は、異なる組織、細胞、時間、または環境条件下で遺伝子発現に差異が生じることを解析するための方法を指します。このアプローチは、遺伝子発現の変動が疾患や発生、代謝などの生理学的プロセスに影響を及ぼすことを解明するために用いられます。
Differential expression analysis は、主に、RNA-seq、microarray、qRT-PCRなどのオミックス技術を用いて実施されます。これらの技術により、細胞内のすべての遺伝子の発現量を測定することができます。その後、異なる条件間で遺伝子発現の変動を比較することにより、差異が存在する遺伝子を特定することができます。これらの結果は、生物学的メカニズムの解明や新しい治療法の開発に役立つことがあります。
この文の意味を解説してください;We characterized the genetic regulation of miRNA expression by decomposing the expression of highly heritable miRNAs into cis- and trans-acting genetic components and mapping cis-acting loci associated with miRNA expression [miRNA-expression quantitative trait loci (eQTLs)].
この文は、miRNAの発現の遺伝学的制御に関する研究結果を説明しています。研究者らは、遺伝的要因によるmiRNAの発現の制御を解明するために、高い遺伝性をもつmiRNAの発現を、「cis-acting」と「trans-acting」の遺伝学的要因に分解しました。さらに、miRNAの発現に関連する「cis-acting」の位置をマッピングし、miRNAの発現に関連する「miRNA-expression quantitative trait loci (eQTLs)」を特定しました。この研究により、miRNAの発現に関連する遺伝学的要因を解明することができました。
本来の対象論文
Taylor HJ, Hung YH, Narisu N, Erdos MR, Kanke M, Yan T, et al. Human pancreatic islet microRNAs implicated in diabetes and related traits by large-scale genetic analysis. Proc Natl Acad Sci USA. 2023 Feb 14;120(7):e2206797120. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2206797120
重要性：これまでの研究（主に動物モデル）で、microRNA（miRNA）が2型糖尿病（T2D）に重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、T2Dに関連する組織であるヒト膵島（HPI）におけるmiRNAの発現に関する知見は限られています。本発表では、HPIにおけるmiRNAの発現について、これまでで最大規模のシークエンスに基づく解析を行い、T2Dとの関連における膵島miRNAの発現を評価。また、膵島miRNAの発現を促進する遺伝的影響を同定し、遺伝性の高い膵島miRNAはトランス効果によって大きく制御されていることを示した。また、T2Dに関連する14のmiRNAと、糖化ヘモグロビンの多遺伝子スコアに関連する4つのmiRNAを同定した。本研究は、HPI miRNAの生物学に関する重要な洞察を提供し、T2Dの病態生理を研究するための将来の道筋を示すものである。
遺伝学的研究により、2型糖尿病（T2D）のリスクに関連する240以上の遺伝子座が同定されているが、これらの遺伝子座の多くは非コード領域にあり、その背後にある分子機構が隠されている。近年、ヒト膵島におけるmRNAの発現を調査することにより、正常な膵島機能とT2Dの病態生理の分子ドライバーに関する重要な知見が得られている。しかし、microRNA（miRNA）の発現を調査した同様の研究はまだ限られている。本発表では、ヒト膵島におけるmiRNAの発現について、これまでで最大のシークエンスに基づく解析となる63人のデータを紹介。遺伝性の高いmiRNAの発現をシス作用とトランス作用の遺伝的要素に分解し、miRNA発現に関連するシス作用の遺伝子座（miRNA発現量形質座（eQTL））をマッピングすることにより、miRNA発現の遺伝子制御を特徴付けた。
その結果、
i) 主にトランス作用型の遺伝的効果によって制御されている84の遺伝性miRNA
と
ii) 5つのmiRNA-eQTLを発見。
また、T2Dに関連するmiRNAを同定するために、いくつかの異なる戦略を用いた。まず、T2Dおよび複数の血糖値形質に関連する遺伝子座とmiRNA-eQTLを共焦点化し、血糖値および糖化ヘモグロビン（HbA1c）の遺伝子シグナルを共有するmiRNA、miR-1908を同定した。
次に、miRNAのシード領域と予測される標的部位を、T2Dや血糖値形質と関連する信頼できるセットSNPsと交差させ、シード領域の破壊により結合や機能が変化した可能性のあるmiRNAを32個発見した。
最後に、differential expression analysisを行い、T2Dの状態に関連する14のmiRNA（miR-187-3p, miR-21-5p, miR-668, miR-199b-5p）とHbA1cレベルの多遺伝子スコアに関連する4つのmiRNA（miR-216a, miR-25, miR-30a-3p, miR-30a-5p）が確認された。
Translated with DeepL