EDでの腹痛の評価:非造影CTは造影CTに比べ約30%精度が低い

何らかの理由でEDでの造影CT困難なことがある。非造影CTは、救急部門での急性腹痛の評価において、造影剤を使用したCTに比べて約30%の精度が低いことが示された。造影剤は、救急部門での腹部および骨盤のCT検査でよく使用されるが、ヨウ素造影剤に対する過敏症や重度の腎臓病、入手不可のために使用が控えられることがあり、造影剤が使用されない場合、どれだけ診断精度が低下し、診断が遅れたり誤った場合の結果が深刻になるかは明らかではなかったのである。


Shaish, Hiram, Justin Ream, Chenchan Huang, Jonathan Troost, Sonia Gaur, Ryan Chung, Sooah Kim, et al. “Diagnostic Accuracy of Unenhanced Computed Tomography for Evaluation of Acute Abdominal Pain in the Emergency Department.” JAMA Surgery, May 3, 2023, e231112. https://doi.org/10.1001/jamasurg.2023.1112.


キーポイント

【Question】 腹痛で救急外来を受診した患者における非造影CTの診断精度はどの程度か?
【結果】 この多施設共同診断精度試験では、痛みの原因の診断と対処可能な二次診断の特定において、非造影CTは造影CTよりも約30%ポイント精度が低かった。
【意味】 腹痛を訴える救急部の一般集団において、造影剤静脈内投与のリスクを回避するために非造影CTを使用することは、大きな診断ペナルティと関連していた。

要旨

【重要性】 腹痛でコンピュータ断層撮影(CT)を受ける患者において,合併症のリスクや入手の困難さから,造影剤の静脈内投与が差し控えられることがある。しかし、造影剤を使用しないことによるリスクは、まだ十分に検討されていない。
【目的】 急性腹痛の救急部(ED)患者において、同時刻の造影CTを参照基準とした非造影腹部・骨盤CTの診断精度を明らかにすること。
【デザイン、設定、参加者】 本研究は、2017年4月1日から2017年4月22日までに急性腹痛の評価のためにデュアルエナジー造影CTを受けた連続した成人ED患者201人の、施設審査委員会承認の多施設レトロスペクティブ診断精度研究である。盲検化された3名の放射線科医がこれらのスキャンを解釈し、多数決により参照基準を設定した。その後、静脈内および経口造影剤をデュアルエナジー法でデジタルサブトラクトした。3施設の6人の異なる盲検放射線科医(specialist faculty 3人、研修医3人)が、得られた非造影CT検査を解釈した。参加者は、デュアルエナジーCTを受けた腹痛を伴うED患者の連続したサンプルであった。
【被写体】 デュアルエナジーCTから派生した造影CTおよび仮想非造影CT。
【主な結果】 一次診断(すなわち、痛みの主な原因)および対処可能な二次診断(すなわち、管理を要する付随的所見)に対する非造影CTの診断精度。Gwetの評価者間一致係数を算出した。
【結果】 201名の患者(女性、108名、男性、93名)、平均年齢50.1歳(SD、20.9)、平均BMI25.5(SD、5.4)。
非造影CTの全体的な精度は70%(specialist faculty:68%~74%、研修医:69%~70%)であった。
一次診断の精度は、specialist facultyは研修医よりも高かったが(82% vs 76%;調整オッズ比[OR]、1.83;95%CI、1.26-2.67;P = .002)、対処可能な二次診断の精度は低かった(87% vs 90%;OR, 0.57;95%CI, 0.35-0.93;P < .001)
これは、specialist facultyによる一次診断の偽陰性(38% vs 62%; OR, 0.23; 95% CI, 0.13-0.41; P < .001)が少なく、二次診断の偽陽性(63% vs 37%; OR, 2.11, 95% CI, 1.26-3.54; P = .01)が多くなったためである。
偽陰性(19%)および偽陽性(14%)の結果は一般的であった。全体的な精度に関する相互の一致は中程度であった(Gwet一致係数、0.58)。
【結論】 EDでの腹痛の評価において、非造影CTは造影CTに比べ約30%精度が低かった。これは、腎障害や過敏反応の危険因子を持つ患者に造影剤を投与するリスクとバランスを取る必要がある。

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解説記事:非増強CTはEDの急性腹痛の診断に正確ですか? |今日のメドページ (medpagetoday.com)

この研究結果は、非造影CTが造影剤を使用したCTに比べて診断精度が低いことを示しており、造影剤の使用に関するリスクと利益の判断をより明確にすることが求められます。特に、診断精度の低下が大きいため、IV造影剤の使用とそれに伴うリスクを受け入れる傾向が強まるでしょう。今後の臨床現場では、造影剤の使用に関する判断がより慎重に行われることが期待されます。

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