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GLP-1受容体作動薬セマグルチドは味覚感度、脳反応性、舌味蕾発達関連遺伝子発現を変える可能性

GLP-1受容体欠損マウス(GLP-1R−/−)は、野生型マウスと比較して甘味(スクラロースとスクロース)に対する感受性が低く、旨味(MSG)に対する感受性が高いことが示されました。これにより、GLP-1シグナルが甘味と旨味の味覚応答を異なる方法で調節していることが示唆されます。

https://nyaspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/j.1749-6632.2009.03920.x


画像に基づいて、解説文の要約と説明を以下に示します。
### 要約 この図は、GLP-1R−/−マウスと野生型マウスの味覚応答の変化を示しています。
GLP-1R−/−マウス(破線、空の円)野生型マウス(実線、塗りつぶしの円)に比べて、特定の味刺激に対する反応が異なることを示しています。図中のグラフは、デナトニウムベンゾエート(DB)、クエン酸(CA)、塩化ナトリウム(NaCl)、スクラロース、スクロース、グルタミン酸ナトリウム(MSG)の6種類の味刺激に対するマウスの舐め反応比を示しています。
### 説明
#### パネルA: デナトニウムベンゾエート (DB) - GLP-1R−/−マウスと野生型マウスのDBに対する反応が比較されています。濃度が増加するにつれて、舐め反応比が減少します。
#### パネルB: クエン酸 (CA) - クエン酸に対する反応では、GLP-1R−/−マウスの反応が野生型マウスよりも鈍感であることが示されています。
#### パネルC: 塩化ナトリウム (NaCl) - 塩化ナトリウムに対する反応では、両グループの反応に大きな違いは見られません。
#### パネルD: スクラロース - スクラロースに対する反応では、GLP-1R−/−マウスの舐め反応比が野生型マウスに比べて低い濃度で急激に増加します。
#### パネルE: スクロース - スクロースに対する反応も、GLP-1R−/−マウスの反応が野生型マウスよりも鈍感であることが示されています。
#### パネルF: グルタミン酸ナトリウム (MSG) - MSGに対する反応は、100 µMアミロライドと1 mM IMPの存在下で評価されています。GLP-1R−/−マウスは野生型マウスと比較して反応が異なります。
### 解説
- これらのデータは、GLP-1受容体の欠失が味覚の感受性に影響を与えることを示しています。 - 味覚の舐め反応比は、味覚刺激濃度の関数としてプロットされています。
- 曲線は3または4パラメータのロジスティック関数を使用してフィッティングされています。 この研究は、GLP-1受容体が味覚認知にどのような役割を果たしているかを理解するための基礎データを提供しています。


以下は上記文章の箇条書き要約です:

  • GLP-1受容体作動薬セマグルチド(Ozempic, Wegovy)は味覚感度を高め、脳の反応を変え、舌の味蕾発達に関連する遺伝子の発現を変える可能性がある。

  • 肥満の人は味覚が鈍く、甘味や高カロリー食品への欲求が高いことがある。

  • 動物モデルではGLP-1が味覚感度に重要な役割を果たすことが示されていたが、人間でも同様の影響があるかは不明だった。

  • PCOSの女性30人を対象に、16週間にわたってセマグルチドまたはプラセボを投与する実験を行った。

  • 味覚感度はセマグルチド群で11.9ポイントから14.4ポイントに増加し、コントロール群との差は2.5ポイント(95% CI, 1.7 - 3.3)。

  • セマグルチド群では、高カロリーの刺激に対する脳の報酬系の活動が減少し、甘味刺激に対する角回の活動が増加。

  • 味蕾の発達、更新、分化に関連する遺伝子(EYA, PRMT8, CRLF1, CYP1B1)のmRNA発現に差異が認められた。

  • 味覚が改善されることで、満腹感や空腹感が変わる可能性が示唆された。

  • 研究には限界があり、特定の味覚しか評価されていない点や、日常の経験を反映していない可能性がある。追加の研究が必要。

  • セマグルチドが味覚に与える影響は、現時点では概念実証段階として解釈されるべき。

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