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間質性肺炎動物モデル:うさぎ vs ラット


Solopov, Pavel A., Ruben Manuel Luciano Colunga Biancatelli, Tierney Day, Christiana DimitropoulouとJohn D. Catravas. 「A novel Non-rodent animal model of hydrochloric acid-induced acute and chronic lung injury」. Respiratory Research 25, no. 1 (2024年10月29日): 390. https://doi.org/10.1186/s12931-024-03022-7.

  • 肺線維症は進行性の肺組織の瘢痕化により肺機能が低下する疾患である。

  • この疾患の病態生理学的メカニズムは未解明であり、効果的な治療法の開発が困難である。

  • 動物モデルは疾患の進行と治療法の研究に有用であり、特に新たな塩酸誘発ウサギモデルが注目されている。

  • ウサギは人間に近い解剖学的、生理学的、遺伝的類似性を持ち、肺や心血管系、代謝疾患の研究に適している。

  • ウサギモデルは手術や詳細な生理学的モニタリングが容易であり、ヒトの気道疾患の研究や吸入療法の評価に適している。

  • ウサギは免疫応答も人間に類似しており、炎症反応や肺の線維化に対する薬剤の有効性や安全性の評価に役立つ。

  • HCl投与によるウサギの気管支肺胞洗浄液(BALF)分析で、急性肺傷害後の免疫細胞の動態やタンパク質濃度が明らかにされた。

  • 肺線維症患者はECMの過剰発現と瘢痕組織の形成が特徴であり、ウサギモデルでも線維化の進行が観察されている。

  • ウサギモデルでは、マクロファージの活性化マーカーであるCD163の発現が顕著であり、これがヒトとウサギモデルとの相似性を高める要因となっている。

  • HSP90の役割が線維芽細胞の活性化に寄与していることが示されており、HCl曝露によるHSP90の過剰発現も確認されている。

  • 呼吸機能障害は肺線維症の主要な臨床症状であり、ウサギモデルでもPVループの変化や気道の過敏性が観察された。

  • 肺線維症は性差があり、男性での発症が多く、ウサギモデルでも雌の方が線維化が軽度であることが確認された。

  • このモデルは、HClによる直接的な肺傷害を通じて、ヒト肺線維症の炎症反応や線維芽細胞の増殖、ECM沈着などの主要な側面を再現している。

  • 60日以上の観察期間を設け、ヒストロジー、機能、細胞、遺伝子および分子の多角的アプローチを用いることで、より人間に適した抗線維化薬の評価が可能である。


NotebookLMによる

この論文では、塩酸吸入によるヒトの肺疾患の研究には、ラットよりもウサギの動物モデルの方が適していると述べています。

その理由はいくつかあります。

  • 系統発生的にウサギはげっ歯類よりもヒトに近いため、解剖学的、生理学的、遺伝的、生化学的に類似点が多く見られます。

  • ウサギはげっ歯類よりも体が大きいため、外科的介入、気管内投与、詳細な生理学的モニタリングがより容易です。

  • ウサギの気管支の分岐パターンや気道受容体の分布は、ヒトとより類似しているため、気道疾患の研究や吸入療法の有効性評価のためのより適切なモデルとなります。

  • ウサギは、特に抗体産生、免疫細胞プロファイル、感染因子や炎症メディエーターに対する反応の点で、ヒトとより類似した免疫反応を示すことが多いため、肺疾患の病因と進行、そして治療薬の潜在的な有効性と安全性について、より正確な洞察を得ることができます。

  • ウサギにおける疾患の進行および組織修復のメカニズムは、特に線維性肺疾患の場合、ヒトのそれと非常によく似ています。 実際、この論文の病理組織学的データは、 ウサギは損傷後、より顕著で臨床的に関連性の高い線維性反応を自然に発症することを示しており、これは抗線維化療法の有効性を研究する上で重要と考えられます。

  • ウサギにおける薬物の薬物動態および薬力学的プロファイルは、小型げっ歯類と比較してヒトのそれとより類似しているため、ヒトにおける薬物投与量、有効性、副作用プロファイルをより正確に予測することができます。

ただし、ウサギモデルにもいくつかの制限があります。

  • ヒトとは異なり、ウサギには呼吸細気管支がないため、気腫や線維症の発症に寄与する可能性のある要素が欠けています。

  • ウサギのモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は、生物医学研究、特に免疫学的検査において分析ツールとして広く利用されていますが、他の種からの適切な市販抗体が不足しているため、ウサギにおける in vitro および in vivo の研究がより複雑になっています。

  • 気管内注入は、塩酸ガスの吸入を完全に再現するものではありませんが、HClによって引き起こされる肺実質への損傷を効果的に示すことができます。 吸入とは異なり、この方法は気管に影響を与えないため、より正確で安全な手順となります。

結論として、この論文では、ウサギは塩酸吸入による肺疾患の研究において、ラットよりもヒトに近いモデルであると主張しています。 ウサギモデルは、ヒトの肺の構造、免疫反応、疾患の進行に類似しており、薬物試験にも適しています。 ただし、呼吸細気管支の欠如や、市販抗体の入手が難しいなどの制限事項も存在します。

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