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重度頭部外傷ショックにおいて、GCSの有用性は限定的



Iyanna, Nidhi, Jack K. Donohue, John M. Lorence, Francis X. Guyette, Elizabeth Gimbel, Joshua B. Brown, Brian J. Daley, ほか. 「Early Glasgow Coma Scale Score and Prediction of Traumatic Brain Injury: A Secondary Analysis of Three Harmonized Prehospital Randomized Clinical Trials」. Prehospital Emergency Care, 2024年8月6日, 1–9. https://doi.org/10.1080/10903127.2024.2381048.

目的
出血性ショック患者における外傷性脳損傷(TBI)の放射線診断を病院前で予測することは、早期の治療介入を促進する可能性があります。しかし、TBIの識別はしばしば困難であり、病院前で利用できるツールは限られています。グラスゴー昏睡スケール(GCS)スコアは、外傷後の意識障害の程度を評価するために頻繁に使用されますが、重度の外傷とショックを伴う患者において、病院前の早期段階でTBIを予測するためのGCSスコアの有用性は十分に理解されていません

方法
本研究では、3つのランダム化病院前臨床試験から得られたデータを用いた事後解析を行いました。これらの試験は、Prehospital Air Medical Plasma trial(PAMPER)、Study of Tranexamic Acid During Air Medical and Ground Prehospital Transport trial(STAAMP)、およびPragmatic Prehospital Type O Whole Blood Early Resuscitation(PPOWER)試験です。患者はTBIの有無に基づいて2つのコホートに二分され、その後、病院前のGCSスコアに基づいて3つのグループにさらに層別化されました:GCS 3、GCS 4–12、GCS 13–15。病院前のGCSスコアとTBIの臨床記録との関連を評価しました。

結果
合計1,490人の登録患者がこの分析に含まれました。GCSが3の患者の59.5%、GCSが4–12の患者の42.4%、およびGCSが13–15の患者の11.8%でTBIが記録されました。
病院前のGCSスコアのTBI診断に対する陽性的中率(PPV)は低く、GCSが3の患者では60%のPPVしかありません。
低血圧と病院前の挿管は、低い病院前のGCSの独立した予測因子です。病院前のGCSの低下は、TBIの診断にかかわらず、時間とともに死亡率の増加と強く関連しています。

結論
病院前のケア段階でTBIの存在を正確に予測する能力は重要です。重度の外傷とショックを伴う患者において、病院前の早期段階でTBIを予測するためのGCSスコアの有用性は限られています。正確な早期診断を促進するためには、新しいスコアリングシステムと改良された技術の利用が必要です。


提供されたソースは、出血性ショックのリスクのある患者における外傷性脳損傷(TBI)の病院前予測において、GCSの有用性が限られていることを示唆しています。ソースで強調されているように、GCSスコアは意識レベルのみを評価し、脳幹機能を包括的に評価していないため、TBIの予測における有効性は制限される可能性があります。

ソースの図2は、GCSスコア別に層別化したTBIの分布を示しており、GCSスコア3の患者のうちTBIと診断されたのは59.5%、GCSスコア4~12の患者では42.4%、GCSスコア13~15の患者では11.8%でした。これらの数値は、特にGCSスコアが低い場合でも、TBIの存在を正確に予測する上でのGCSスコアの限界を示しています。


さらに、ソースでは、この研究におけるGCSスコアの分布は、GCSスコア3または13~15の患者が大多数を占める二峰性の傾向を示したと述べています。このパターンは、GCSを使用する人が、GCSの両端にいる患者の意識レベルを分類するのは簡単だと感じているのに対し、GCSスコアの中間範囲を区別するのは難しいと感じていることを示唆している可能性があります。

ソースの表3は、さまざまなGCSカットオフ値におけるTBIの診断に対する病院前GCSの受信者動作特性(ROC)曲線と予測能力を示しています。GCSスコア3のTBI診断の陽性適中率(PPV)はわずか59.5%と最も低く、感度も最も低いことがわかりました。


これらの調査結果は、GCSスコアは意識レベルに関する有用な情報を提供するものの、外傷性ショックの状況におけるTBIの存在を単独で予測するものではないことを示唆しています。出血性ショックのある患者におけるTBIを診断するには、GCSスコアを補完する追加の臨床指標や診断ツールを検討する必要があります。



ソースは、外傷性脳損傷 (TBI) の診断におけるグラスゴー昏睡スケール (GCS) の限界と、その診断精度を向上させる可能性のある改善点について論じています。

ソースによると、GCS は、特に出血性ショックのリスクのある患者における、病院前の環境での TBI 予測における有効性が限られています。 この限界は、GCS スコアが意識レベルのみを評価し、脳幹機能を包括的に評価していないという事実に起因する可能性があります。 さらに、GCS スコアは、低血圧、低酸素症、薬物使用、発作活動など、TBI 以外のさまざまな要因の影響を受ける可能性があり、これらの要因により、病院前挿管が必要となり、GCS スコアが低くなる可能性があります。

ソースでは、GCS を改善して TBI の診断精度を高めることができる、いくつかの潜在的な方法が示唆されています。

瞳孔反射を組み込む: ソースでは、GCS 瞳孔スコア (GCS-P) の使用が提案されています。GCS-P は、瞳孔反射と GCS スコアを組み合わせて、TBI の単一の予測因子にします。 瞳孔反射を GCS 評価に追加すると、患者の臨床状態の重症度と予後に関する、より有益なデータが得られることが示されています。

補助的な診断モダリティの使用: ソースでは、病院前環境における TBI を評価するための追加の手段として、超音波画像診断 (経頭蓋ドップラー、頭蓋超音波、視神経鞘測定など) や近赤外分光法などのモダリティが提案されています。 超音波エラストグラフィーは脳組織の病理学的変化を評価でき、 造影超音波は灌流異常の評価に役立ちます。 近赤外分光法は非侵襲的であり、病院前の環境で迅速に適用して、TBI の診断に使用できます。 ただし、これらのモダリティの病院前環境における実現可能性と有効性については、さらなる調査が必要です。

バイオマーカー測定: ソースでは、TBI を診断するために脳損傷特異的バイオマーカー測定を使用できることが示唆されています。 現時点では、ポイントオブケアでのバイオマーカー測定が、TBI の病院前特定を改善するための最も実現可能な方法と考えられます。

GCS スコアリングの精度を向上させる: ソースでは、GCS スコアリングには中程度のばらつきがあることが認識されています。 緊急医療提供者に対する GCS スコアリングに関するトレーニングと教育を改善することで、その精度を高め、TBI の診断における信頼性を高めることができます。

結論として、ソースは、GCS が TBI の評価のための貴重なツールであり続ける一方で、特に病院前の環境では限界があることを示唆しています。GCS に瞳孔反射を組み込み、補助的な診断法を使用し、バイオマーカー測定を利用し、GCS スコアリングの精度を向上させることで、その診断精度を高め、TBI を持つ個人の転帰を改善できます。しかし、これらの潜在的な改善を完全に検証し、病院前の環境で実現可能な効果的な戦略に統合するには、さらなる調査が必要です。

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