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long COVIDへのBCG効果論文出現

後述NEJMの記事で話は終わってたと思っていたが・・・


Jalalizadeh, Mehrsa, Keini Buosi, Cristiane F. Giacomelli, Patricia A.F. Leme, Karen L. Ferrari, Franciele A.V. Dionato, Wandrey R.S. Brito, ほか. 「Therapeutic BCG Vaccine Protects against Long COVID: The BATTLE Randomized Clinical Trial」. Journal of Internal Medicine, 2024年11月19日, joim.20033. https://doi.org/10.1111/joim.20033.

背景

COVID-19回復期におけるカルメット・ゲラン桿菌(BCG)の注射は、安全であり、急性期における嗅覚および味覚障害の回復を促進した。

目的

軽症COVID-19患者におけるBCGワクチンの長期的効果を報告する(BATTLE試験の結果)。

方法

デザイン:二重盲検、プラセボ対照、無作為化(1:1)臨床試験
介入:BCG皮内ワクチンおよびプラセボ
患者:6か月追跡に参加した患者はBCG群157名、プラセボ群142名、12か月追跡に参加した患者はBCG群97名、プラセボ群95名
評価項目:Long COVID症状およびメカニズム解析

結果

BCGは6か月後に聴覚障害を軽減(オッズ比[OR] = 0.26)、12か月後には睡眠、集中力、記憶力、視覚の問題を軽減した(OR = 0.45, 0.36, 0.38, 0.36)。感度分析において、6か月および12か月追跡でLong COVID症状の軽減が確認された(p = 0.010および0.031)。
性別に基づくパラドキシカルな交差相互作用が観察され、BCGは女性において脱毛を増加させ、男性においては減少させた(6か月後p = 0.032)。
BCGによる免疫調節は、血中のFasリガンド発現の抑制および培養ヒトマクロファージにおけるIL6、IL10、インターフェロン誘導膜タンパク質3、およびアンジオテンシン変換酵素2の誘導増加を介して媒介される可能性がある。

結論

BATTLE試験の長期追跡結果から、COVID-19回復期にBCGを投与することでLong COVIDの発症を防ぐ効果が確認された。BCGへの反応は対象者により異なり、性別に基づくパラドキシカルな交差相互作用が含まれていた。
制限:過去のマイコバクテリア曝露について検証されていないこと、特に12か月後の追跡調査における追跡脱落が挙げられる。



Pittet, Laure F., Nicole L. Messina, Francesca Orsini, Cecilia L. Moore, Veronica Abruzzo, Simone Barry, Rhian Bonnici, ほか. 「Randomized Trial of BCG Vaccine to Protect against Covid-19 in Health Care Workers」. New England Journal of Medicine 388, no. 17 (2023年4月27日): 1582–96. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2212616.

背景

カルメット・ゲラン桿菌(BCG)ワクチンには、免疫調節の「オフターゲット効果」があり、これが新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を防ぐ可能性があると仮説が立てられている。

方法

この国際的な二重盲検プラセボ対照試験では、医療従事者を対象にBCG-デンマーク株ワクチンまたは生理食塩水プラセボを無作為に割り付け、12か月間追跡した。主な評価項目は、6か月時点での症候性Covid-19および重症Covid-19であり、主要解析では、試験開始時に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の陰性検査結果が確認された参加者に限定した修正版意図通り解析集団を用いた。

結果

合計3988名の参加者が無作為化され、Covid-19ワクチンの利用可能性のため予定されたサンプルサイズに達する前に募集が終了した。修正版意図通り解析集団には無作為化された参加者の84.9%が含まれ、BCG群は1703名、プラセボ群は1683名であった。6か月時点での症候性Covid-19の推定リスクは、BCG群で14.7%、プラセボ群で12.3%であった(リスク差2.4パーセントポイント、95%信頼区間[CI] −0.7〜5.5、P=0.13)。6か月時点での重症Covid-19のリスクは、BCG群で7.6%、プラセボ群で6.5%であった(リスク差1.1パーセントポイント、95% CI −1.2〜3.5、P=0.34)。重症Covid-19と定義された参加者の多くは入院はしていなかったが、少なくとも連続3日間は仕事ができなかった。補足および感度解析で、より寛容な打ち切りルールを使用した場合でも、リスク差は同様であったが、信頼区間は狭まった。Covid-19による入院は各群で5例ずつ発生し、そのうちプラセボ群で1例の死亡が確認された。BCG群とプラセボ群を比較した場合の全Covid-19エピソードのハザード比は1.23(95% CI 0.96〜1.59)であった。安全性に関する懸念は認められなかった。

結論

BCG-デンマーク株ワクチン接種は、医療従事者においてプラセボよりもCovid-19リスクを低下させる結果にはならなかった。(資金提供:ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほか;BRACE ClinicalTrials.gov番号、NCT04327206)

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