脳卒中後リハビリテーション:短時間高強度インターバルトレーニング(HIIT):2倍のフィットネス向上、脳卒中関連入院リスク低減可能性
適切な器具を使用し、個々のニーズに応じた運動プランというのが前提になる
A New Exercise 'Evolution' for Stroke Survivors: Go Harder (medscape.com)
脳卒中後の患者に運動を促すことは、回復を助け、再発リスクを減らすために重要である。
最近の研究では、脳卒中後の患者は従来よりもハードな運動が可能であり、その結果、フィットネスの向上が期待できることが示されている。
カナダの研究では、HIIT(高強度インターバルトレーニング)が従来の中強度トレーニングよりも2倍のフィットネス向上をもたらし、脳卒中関連の入院リスクを低減させる可能性が示唆された。
HIITは、運動量が少なくても中強度のエアロビクスと同等以上の結果を得られる時間効率の良い方法として注目されている。
HIITの効果は、心肺機能の向上や神経可塑性の促進などが期待され、脳卒中後の患者にも安全かつ効果的である可能性が高い。
HIITの導入には、個々の患者に応じた段階的なアプローチが推奨される。
リスクを最小限に抑えるため、HIITは適切な器具を使用し、個々のニーズに応じた運動プランを作成することが重要である。
脳卒中後のフィットネスプログラムには、有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟性、バランスの4つの柱が含まれるべきである。
運動習慣を継続させるためには、支援体制や地域のプログラムの利用が効果的である。
Moncion, Kevin, Lynden Rodrigues, Bernat De Las Heras, Kenneth S. Noguchi, Elise Wiley, Janice J. Eng, Marilyn MacKay-Lyons, ほか. 「Cardiorespiratory Fitness Benefits of High-Intensity Interval Training After Stroke: A Randomized Controlled Trial」. Stroke 55, no. 9 (2024年9月): 2202–11. https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.124.046564.
背景:
短時間の高強度インターバルトレーニング(HIIT)が脳卒中後の心肺機能(V̇O2peak)の向上に与える効果に関する証拠は限られています。本研究では、脳卒中発症から6か月以上経過した個人に対して、12週間の短時間HIITと中強度連続トレーニング(MICT)がV̇O2peak、心血管リスク因子、および移動能力に与える影響を比較することを目的としました。
方法:
この研究は、多施設で行われた12週間のランダム化比較試験(NCT03614585)であり、8週間のフォローアップが含まれています。参加者は、3回/週のHIIT(10回×1分、心拍予備能の80%~100%、1分間の心拍予備能30%を挟む[19分])またはMICT(20~30分間、心拍予備能の40%~60%)にランダムに割り付けられました。試験の二次的アウトカムには、V̇O2peak、心血管リスク因子(頸動脈-大腿動脈脈波速度、血圧、ウエスト・ヒップ比)、および移動能力(6分間歩行テスト、10メートル歩行速度)が含まれており、報告されています。線形混合モデル解析を用いて、グループ間および研究時点の相互作用を評価し、グループ間の差異を検討しました。
結果:
305人の潜在的な参加者のうち、82人が同意し(平均[標準偏差]年齢64.9[9.3]歳、女性32人[39%]、脳卒中後1.8[1.2]年)、HIIT群(n=42、ベースラインV̇O2peak 17.3[5.9]mL/kg·分)またはMICT群(n=40、ベースラインV̇O2peak 17.2[6.0]mL/kg·分)にランダムに割り付けられました。参加者は82%の訪問に出席しました(n=2417/2952)。試験期間中に有害事象は発生しませんでした。
V̇O2peakについて、12週間目における有意なグループ×研究時点の相互作用が見られました(χ2=8.46;P=0.015)。
12週間後、HIIT群のV̇O2peakの増加(Δ3.52 mL/kg·分[95%CI, 2.47–4.57];P<0.001)は、MICT群(Δ1.71 mL/kg·分[95%CI, 0.55–2.86];P=0.001)よりも大きかった(平均差1.81[95%CI, 0.58–3.04];P=0.004)。
8週間のフォローアップでは、V̇O2peakのグループ間に有意な差は見られませんでした(平均差1.08[95%CI, -0.26~2.42];P=0.11)。
心血管リスク因子や移動能力に関しては、グループ×研究時点の相互作用は見られませんでした。
結論:
短時間のHIITは、12週間後にV̇O2peakを向上させるためのMICTに対する効果的な代替手段となる可能性があります。
登録:
URL: https://clinicaltrials.gov; ユニーク識別子: NCT03614585.