左室駆出率:患者の特徴や臨床転帰の変曲点に閾値のエビデンスがあるかどうか


ご指摘の研究では、心不全(HF)患者において、左室駆出率(LVEF)の閾値が40%から50%程度になると、患者特性のパターンが変化し、LVEFの値が高い場合に比べてイベント発生率が上昇し始めることが明らかになった。この知見は、軽度の駆出率が低下したHFを予後に基づいて定義する現在のLVEFの上限閾値を支持する証拠となる

In heart failure, a left ventricular ejection fraction of 50% held up as the biological thresholdopens in a new tab or window separating two distinct patient populations with different prognoses. (Circulation)

Kondo, Toru, Pooja Dewan, Inder S Anand, Akshay S Desai, Milton Packer, Michael R Zile, Marc A Pfeffer, et al. “Clinical Characteristics and Outcomes in Patients With Heart Failure: Are There Thresholds and Inflection Points in Left Ventricular Ejectio n Fraction and Thresholds Justifying a Clinical Classification?” Circulation, June 27, 2023, 10.1161/CIRCULATIONAHA.122.063642 . .

背景
最近のガイドラインでは、左室駆出率(LVEF)に基づく心不全(HF)の分類が提案されているが、選択された区分が生物学的に合理的であったかどうかは依然として不明である。LVEFの全範囲に及ぶ患者を用いて、患者の特徴や臨床転帰の変曲点(inflection points)にLVEFの閾値のエビデンスがあるかどうかを検討した。

方法
患者レベルの情報を用いて、駆出率が低下した患者と維持された患者を含む6つのランダム化比較HF試験に登録された33 699人の参加者の統合データセットを作成した。全死亡(および特定の死因)およびHF入院の発生率とLVEFとの関係をポアソン回帰モデルを用いて評価した。

結果
LVEFが増加するにつれて、年齢、女性の割合、肥満度、収縮期血圧、心房細動と糖尿病の有病率は増加したが、虚血性病態、推定糸球体濾過量、NT-proBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)は減少した。
LVEFが50%を超えると、年齢と女性の割合は増加し続け、虚血性病態とNT-proBNPは減少したが、他の特徴は有意な変化はなかった。ほとんどの臨床転帰(非心血管死を除く)の発生率はLVEFが増加するにつれて減少し、LVEFの変曲点は全死亡と心血管死で約50%、ポンプ不全死で約40%、HF入院で約35%であった。
これらの閾値より高くなると、発生率はほとんど低下しなかった。
LVEFと死亡の間にJ字型の関係を示す証拠はなく、LVEFが正常("suppranormal")以上の患者で転帰が悪いことを示す証拠はなかった。
同様に、心エコーデータのある患者のサブセットでは、アミロイドーシスを示唆する高正常LVEFの患者には構造的な差はみられず、NT-proBNP値はこの結論と一致していた。

結論
HF患者において、患者特性のパターンが変化し、イベント発生率がより高いLVEF値と比較して増加し始めるLVEF閾値が約40%から50%であった。われわれの知見は、軽度の駆出率低下を有するHFを予後に基づいて定義する現在のLVEF上限閾値を支持するエビデンスを提供するものである。

Translated with DeepL

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?