慢性疼痛に伴ううつ:ケタミンがなぜ有効か? TIAM1-介在シナプス可塑性機序
非競合的N-methyl-d-aspartate受容体(NMDAR)拮抗薬であるケタミンは、痛みと共存する抑うつ症状の両方に有効な治療法として登場したが抗うつ作用の基礎となるメカニズムは完全には解明されていない。一方、 Rho GTPases(Rac1、RhoAなど)は、樹状突起スパインの形態形成やシナプス可塑性において、基盤となるアクチン細胞骨格の構成を制御することで重要な役割を担ってる。Rho GTPasesの時空間的な制御は、GDP/GTP交換を促進することでRho GTPasesを活性化するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)と、GTP加水分解を促進することでRho GTPasesを抑制するGTPase活性化タンパク質(GAP)によって行われている。Rac1 GEF T cell lymphoma invasion and metastasis 1 (Tiam1)が、シナプスNMDAR活性とRac1活性化および海馬ニューロンにおけるアクチン細胞骨格再構築を連関させる樹状突起スパインおよびシナプス形成の重要な制御因子であることが見いだされている。Tiam1はCaMKIIαと相互活性化シグナル複合体(RAKEC)を形成し、長期増強(LTP)時にCaMKIIαとRac1を安定的に活性化してスパインの形態を維持することも明らかにされた。本論文では、Tiam1がACCニューロンにおける不適応なシナプス可塑性の制御を通じて、慢性疼痛に共存するうつ病の病態生理に必須の因子であり、ケタミンがその標的となって持続的に抗うつ様作用をもたらすことを立証する論文。
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前帯状皮質について教えて下さい
T cell lymphoma invasion and metastasis 1(Tiam1)について教えて下さい