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モニターの表示を正常化させたというだけでは? 敗血症持続性頻拍へのLandiololランダム化研究(Landi-SEP)

要約
ランジオロールは、敗血症性ショックおよび持続性頻脈の患者において、昇圧薬の必要性を増加させることなく、24時間にわたり心拍数を減少・維持する。

方法
研究者らは、2018年から2022年にかけて、ヨーロッパ7カ国の20施設で、敗血症性ショックおよび持続性頻脈を持つ成人ICU患者196名を対象に、多施設共同、ランダム化、オープンラベル、対照試験を実施した。患者は、標準治療のみ(n = 98)またはランジオロール併用の標準治療(n = 98)を受けるように無作為に割り当てられた。主要評価項目は、治療開始24時間以内に昇圧薬の必要性を増加させることなく、心拍数を80〜94拍/分に維持する心拍数反応であった。副次的評価項目は、28日間の死亡率、有害事象、および研究期間中の昇圧薬使用の変化であった。

結果の概要
ランジオロール治療を受けた患者の39.8%で、昇圧薬の使用量を増やすことなく心拍数を低下・維持することができたのに対し、対照群では23.5%であった(P = .013)。目標とする心拍数の低下は、ランジオロール群の75.5%、対照群の42.9%で達成された(P < .001)。28日間の死亡率(P = .20)やICUおよび病院滞在期間には、両群間で有意な差はなかった。

実臨床での意義
「敗血症性ショックおよび持続性頻脈の患者において、高選択性かつ超短時間作用型のベータ1遮断薬であるランジオロールは、24時間以内に昇圧薬の必要性を増加させることなく心拍数を低下・維持するのに有効であった。有害事象や28日間の死亡率などの臨床的転帰において、標準治療単独と比較して差はなかった」と著者らは述べている。



Rehberg, Sebastian, Sandra Frank, Vladimír Černý, Radek Cihlář, Rainer Borgstedt, Gianni Biancofiore, Fabio Guarracino, ほか. 「Landiolol for heart rate control in patients with septic shock and persistent tachycardia. A multicenter randomized clinical trial (Landi-SEP)」. Intensive Care Medicine 50, no. 10 (2024年10月1日): 1622–34. https://doi.org/10.1007/s00134-024-07587-1.

目的
蘇生後の敗血症性ショック患者における過剰な頻脈は、血行動態を悪化させ、患者の予後を悪化させる可能性がある。我々は、滴定可能な高選択性かつ超短時間作用型β1遮断薬であるランジオロールを使用して、昇圧薬の必要性を増加させることなく心拍数(HR)を制御できるかどうかを検討した。

方法
このランダム化オープンラベル対照試験は、2018年から2022年にかけて、ヨーロッパ7カ国の20施設で実施され、敗血症性ショックおよび持続性頻脈を有する成人患者におけるランジオロールの有効性と安全性を検討した。患者は、ランジオロールを標準治療と併用する群(n = 99)または標準治療のみを行う群(n = 101)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、治療開始から24時間以内に昇圧薬の必要性を増加させることなく、心拍数を80~94拍/分の範囲内に維持する心拍数反応の達成であった。主要な副次評価項目は、28日間の死亡率および有害事象であった。

結果
196名の敗血症性ショック患者のうち、98名がランジオロール併用群、98名が標準治療群に割り付けられた。主要評価項目の達成率は、ランジオロール群で有意に高く(39.8%[39/98]対 23.5%[23/98])、群間差は16.5%(95%信頼区間 [CI]: 3.4–28.8%; p = 0.013)であった。副次評価項目および有害事象については、両群間で有意な差は認められなかった。

結論
超短時間作用型のβ遮断薬であるランジオロールは、敗血症性ショックおよび持続性頻脈を有する患者において、24時間以内に昇圧薬の必要性を増加させることなく心拍数を減少・維持するのに有効であった。有害事象や28日間の死亡率などの臨床転帰において、標準治療単独と比較して差はなかった。本試験の結果は、持続性頻脈を有する敗血症性ショック患者における厳格な心拍数低下(< 95拍/分)の治療戦略を支持するものではない。今後、心拍数制御から臨床的な利益を得られる敗血症性ショック患者の表現型を特定するためのさらなる研究が必要である。

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