見出し画像

恋愛依存:愛着関連の問題、分離不安、適応的でない防衛機制に対処することが、情緒的依存の予防や治療に有効


以下、日本語訳です。


パートナーとの恋愛関係は、時に依存行動と類似した機能不全の特徴を示すことがあり、この現象はパートナーへの情緒的依存または「恋愛依存」として知られている。適切に対処されない場合、これらの行動は恋愛関係そのものだけでなく、感情的な幸福や全体的な健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。

その高い有病率から、パートナーへの情緒的依存は科学文献において関心を集めている。スペインを含む複数の国の研究では、学生や若年成人における有病率が有意に高いことが報告されている。

この問題の臨床的な重要性を踏まえ、イタリアのローマにあるリベラ・ウニヴェルシタ・マリア・サンティッシマ・アスンタ(LUMSA)とフィレンツェ大学の研究者らは、大学生の情緒的依存の潜在的な心理学的リスク要因を特定するための研究を実施した。この研究結果は、学術誌『Behavioral Sciences』に掲載された。


リスク要因

研究者らは、成人の愛着スタイル、分離不安、そして恋愛依存に関連する防衛機制といった要素の相互作用を調査した。

本研究には、平均年齢23歳の大学生332名が参加した。参加者は以下の調査票を用いたアンケートに回答した。

  • 恋愛依存尺度 – 短縮版(Love Addiction Inventory — Short Form)

  • 関係性質問票(Relationship Questionnaire)

  • 7領域依存尺度(Seven Domains Addiction Scale)の「分離不安」領域

  • 40項目防衛スタイル質問票(40-Item Defence Style Questionnaire)

分析の結果、「恐れ・回避型愛着(fearful attachment)」が、情緒的依存(恋愛依存)と有意に関連していることが明らかになった。この愛着スタイルは、自分自身と他者の両方を否定的に捉え、不安感や回避傾向が高いことを特徴とする(Horowitzによる定義)。

さらに、この関連性は 分離不安 および 神経症的・未熟な防衛機制 を介して媒介されていた。

研究者らは、情緒的依存は、内面的な感情状態を外部の対象によって調整する戦略として機能する可能性があると説明している。恐れ・回避型愛着を持つ個人は自己評価が低く、見捨てられることへの恐怖を抱きやすいため、感情の調整を外部に依存する傾向が強い。また、これらの個人は適応的でない防衛機制を用いて、痛みを伴う感情を抑圧したり回避したりすることがある


研究の意義

本研究は、若年成人におけるパートナーへの情緒的依存に関するさまざまな要因の相互作用を検討した初めての研究である。その結果、「恐れ・回避型愛着」が情緒的依存の重要なリスク要因であることが示された。

しかし、研究対象が大学生に限られていること参加者の80%が女性であったことから、より多様な集団を対象とした研究が必要であると著者らは指摘している。特に、男性における情緒的依存の分析は限定的であった。

こうした制約はあるものの、本研究の結果は「恋愛依存」に関する既存の研究に貢献し、その心理的メカニズムの理解を深めるものである。研究者らは、愛着関連の問題、分離不安、適応的でない防衛機制に対処することが、情緒的依存の予防や治療に有効である可能性があると結論づけている。


Topino, Eleonora, Marco Cacioppo, Shady Dell’AmicoとAlessio Gori. 「Risk Factors for Love Addiction in a Sample of Young Adult Students: A Multiple Mediation Model Exploring the Role of Adult Attachment, Separation Anxiety, and Defense Mechanisms」. Behavioral Sciences 14, no. 12 (2024年12月18日): 1222. https://doi.org/10.3390/bs14121222.

以下、日本語訳です。


特定の状況において、パートナーとの恋愛関係は個人の幸福や全体的な健康に悪影響を及ぼし、依存行動に類似した特徴を示すことがある。本現象の臨床的重要性と、思春期および若年成人における高い有病率を考慮し、本研究の目的は、大学生を対象に、恋愛依存のリスク要因とされる成人の愛着スタイル、分離不安、防衛機制との関連を検討することであった。

本研究には**332名の大学生(平均年齢=23歳、標準偏差=2.462)**が参加し、以下の調査票を用いたアンケートに回答した。

  • 恋愛依存尺度 – 短縮版(Love Addiction Inventory—Short Form)

  • 関係性質問票(Relationship Questionnaire)

  • 7領域依存尺度(Seven Domains Addiction Scale)の「分離不安」領域

  • 40項目防衛スタイル質問票(Forty Item Defense Style Questionnaire)

データ分析にはピアソンの相関分析を用い、さらに複数媒介モデルも実施した。

結果として、恐れ・回避型愛着(fearful attachment)が恋愛依存と有意に正の関連を示した。さらに、この関連は分離不安および神経症的・未熟な防衛機制を介して媒介されていることが明らかになった。

本研究の知見は、恋愛依存に関する既存の研究に貢献し、今後の研究や臨床実践において重要な示唆を提供するものである。

キーワード:成人の愛着、分離不安、防衛機制、恋愛依存


序文

初心者向け解説:恋愛依存と心理的要因についての研究

この研究では、「恋愛依存(Love Addiction)」がどのような心理的要因と関係しているのかを大学生を対象に調べました。難しい言葉をなるべく簡単にしながら、わかりやすく説明していきます。


1. 恋愛依存とは?

恋愛依存とは、恋愛に過度にのめり込み、パートナーに執着しすぎる状態を指します。たとえば、

  • 「この人がいないと生きていけない!」と極端に感じる

  • いつもパートナーのことを考えてしまい、他のことが手につかない

  • 相手が自分を好きかどうか不安で、過剰に連絡を取ってしまう

  • 相手がいなくなると不安や絶望感を強く感じる

こういった特徴があり、アルコールやギャンブル依存と似た性質を持っていることが研究で示されています。


2. 恋愛依存は誰にでも起こるの?

特に若者(思春期や大学生)に多いことがわかっています。アメリカ、カナダ、イラン、スペインなど、世界中の研究で報告されています。恋愛に夢中になるのは普通のことですが、「恋愛依存」は感情の浮き沈みが激しく、生活に支障が出るレベルであるため、注意が必要です。


3. 恋愛依存になりやすい人の特徴(リスク要因)

この研究では、恋愛依存に影響を与える3つの心理的要因に注目しました。

① 愛着スタイル(Attachment Style)

  • 人が他人とどのように関係を築くかを決める基本的な性格の傾向です。

  • これは幼い頃の親との関係が大きく影響していると考えられています。

愛着スタイルには、大きく4つのタイプがあります。

  1. 安全型:自分も他人も信じられる → 健康な恋愛ができる

  2. とらわれ型:自分に自信がないが、他人に依存しやすい

  3. 恐れ・回避型(←今回の研究で重要!):自分も他人も信用できない

  4. 拒否型:自分には自信があるが、他人に距離を置く

今回の研究では、「恐れ・回避型」の人が特に恋愛依存になりやすいことが分かりました。

なぜ?

  • 自己肯定感が低い(「私は愛される価値がない」と思いがち)

  • 見捨てられるのが怖い(「相手が去るかもしれない」と不安)

  • その結果、相手に過剰に依存することになりやすい


② 分離不安(Separation Anxiety)

  • 大切な人と離れることに強い不安を感じること

  • 本来、赤ちゃんが母親と離れると不安になるのは自然なことですが、大人になってもこの不安が強いと問題になることがあります。

  • 「恐れ・回避型」の人は、この分離不安が特に強いことがわかっています。

  • 「彼がちょっと返信をくれないだけで、不安でたまらない」

  • 「相手がいないと落ち着かなくて、常に一緒にいたい」

  • 結果として、恋愛依存に陥りやすい


③ 防衛機制(Defense Mechanisms)

  • ストレスや不安を無意識に処理する方法のこと。

  • 人は不安や恐怖を感じると、それを軽減するための「心理的な防御」を無意識に行います。

防衛機制には大きく3つの種類があります。

  1. 成熟した防衛機制(健全な方法):ユーモアや合理的な考え方で対処

  2. 神経症的防衛機制(やや問題あり):不安を押し込めたり、他人に八つ当たりする

  3. 未熟な防衛機制(問題が多い):現実をゆがめて考えたり、極端な行動をとる

今回の研究では、

  • 「恐れ・回避型」の人は、未熟な防衛機制を使うことが多い

  • その結果、恋愛依存が悪化することが示唆された

  • 否認:「この関係は問題ない、大丈夫!」(現実逃避)

  • 投影:「彼は私を裏切るに違いない!」(根拠のない疑い)


4. 研究の仮説

研究者は次のような仮説を立てました。

  1. 恐れ・回避型愛着は、恋愛依存と強く関係する(H1)

  2. 恐れ・回避型愛着の人は、分離不安が強い(H2a)

  3. 恐れ・回避型愛着の人は、未熟な防衛機制を使いやすい(H2b)

  4. 分離不安が強い人は、未熟な防衛機制を使いやすい(H3)

  5. 分離不安が強い人は、恋愛依存しやすい(H4a)

  6. 未熟な防衛機制を使う人は、恋愛依存しやすい(H4b)

  7. 分離不安と未熟な防衛機制が、恐れ・回避型愛着と恋愛依存の間をつなぐ(H5)

また、性別や年齢の影響も考慮しながら分析を行いました。


研究方法

2. 材料と方法(Materials and Methods)


2.1. 参加者と調査の進め方

  • 対象者:イタリアの大学生 332名(女性80%、男性20%)

  • 年齢:18〜33歳(平均23歳)

  • 参加条件

    1. 恋愛関係にあること

    2. 18歳以上であること

  • 募集方法

    • **「スノーボールサンプリング法」**を使用(知人から知人へ紹介する形で参加者を増やす方法)

    • オンライン(Google Forms)でアンケートを実施

    • 研究の目的を説明した後、参加者の同意を取得

  • 倫理的配慮

    • 研究は倫理委員会の承認を得て実施


2.2. 使用した測定方法(アンケート)

1. 恋愛依存の測定

  • 使用テスト:「恋愛依存尺度(LAI-SF)

  • 内容

    • 「ストレスを和らげるためにパートナーと一緒にいる」など6つの質問

    • 5段階評価(1=全くない〜5=とてもよく当てはまる)

  • 信頼性:α = 0.66(許容範囲内の信頼性)

2. 愛着スタイルの測定

  • 使用テスト:「関係性質問票(RQ)

  • 内容

    • 4つの愛着スタイル(安全型、恐れ・回避型、とらわれ型、拒否型)を評価

    • 「他人と親しくなるのが簡単で、頼ることも頼られることも快適だ」などの質問

    • 7段階評価(1=全く当てはまらない〜7=とても当てはまる)

  • 信頼性

    • 各スタイル1項目のみで測定するため、信頼性指標(α値)は計算できないが、

    • 過去の研究で高い再現性(テスト・再テスト信頼性)が確認されている

3. 分離不安の測定

  • 使用テスト:「7領域依存尺度(7DAS)」の「分離不安領域」

  • 内容

    • 「恋愛中に、いつも捨てられるのではないかと心配することがあるか?」 などの質問

    • 5段階評価(1=全くない〜7=いつもある)

  • 信頼性:α = 0.85(高い信頼性)

4. 防衛機制の測定

  • 使用テスト:「防衛スタイル質問票(DSQ-40)

  • 内容

    • 「私は傷ついたとき、攻撃的になることがある」 など40の質問

    • 9段階評価(1=全く当てはまらない〜9=とても当てはまる)

    • 3つの防衛スタイル(成熟、防衛神経症的、未熟な防衛)を評価

  • 信頼性

    • 成熟な防衛:α = 0.62(やや低い)

    • 神経症的防衛:α = 0.67(中程度)

    • 未熟な防衛:α = 0.77(良好)


2.3. データ分析(統計処理)

  • 統計ソフト:「SPSS v.21.0」を使用

  • 分析手順

    1. ピアソン相関分析(各変数間の関連性を調査)

    2. 複数媒介モデルの検証

      • 恋愛依存と有意な関連を持つ愛着スタイルのみを対象

      • 分離不安と防衛機制が恋愛依存にどのように影響するかを分析

    3. 交絡因子(影響を与える可能性のある要素)を考慮

      • 年齢・性別の影響を統制変数として設定(男性=1、女性=2)

    4. 「PROCESS 3.4」マクロプログラムを使用し、統計モデルを実装

    5. 統計の安定性を確認するために「ブートストラップ法(5000回のリサンプリング)」を使用

    6. 事後検定(Post hoc power analysis)

      • G*Power 3ソフトウェアを使用し、サンプルサイズ(332人)で十分な検定力(0.80以上)があるか確認


結果


1. 相関分析の結果(ピアソン相関分析)

  • 恋愛依存と関係があった要因(有意な相関)

    • 恐れ・回避型愛着(r = 0.247, p < 0.01)

    • 分離不安(r = 0.312, p < 0.01)

    • 神経症的防衛機制(r = 0.254, p < 0.01)

    • 未熟な防衛機制(r = 0.332, p < 0.01)

  • 恋愛依存と関係がなかった要因(有意ではない)

    • 安全型愛着(p = 0.088)

    • とらわれ型愛着(p = 0.061)

    • 拒否型愛着(p = 0.155)

🔹 ポイント:「恐れ・回避型愛着」「分離不安」「未熟な防衛機制」が特に恋愛依存と関連していた。


2. 複数媒介モデルの結果(恐れ・回避型愛着 → 恋愛依存)

  • 全体の影響(Total Effect)

    • 恐れ・回避型愛着恋愛依存(β = 0.25, p < 0.001)

  • 媒介要因の影響(間に入る要因)

    • 恐れ・回避型愛着分離不安(β = 0.43, p < 0.001)✅

    • 分離不安神経症的防衛機制(β = 0.15, p < 0.05)✅

    • 分離不安未熟な防衛機制(β = 0.32, p < 0.001)✅

    • 分離不安成熟した防衛機制(β = −0.08, p = 0.176)❌(関連なし)

    • 神経症的防衛機制恋愛依存(β = 0.15, p < 0.05)✅

    • 未熟な防衛機制恋愛依存(β = 0.21, p < 0.001)✅

  • 直接効果(恐れ・回避型愛着 → 恋愛依存の直接的な影響)

    • 直接の影響は有意ではなかった(β = 0.07, p = 0.132)❌

    • → これは、**「分離不安」と「防衛機制」を介することで恋愛依存が説明できる」**ということを示している。

🔹 ポイント

  • 恐れ・回避型愛着 → 分離不安 → 防衛機制(未熟&神経症的) → 恋愛依存という経路が成り立つ。

  • 恐れ・回避型愛着の影響は、分離不安や防衛機制を介して間接的に恋愛依存に影響を与える。


3. 性別の影響

  • 女性は「成熟した防衛機制」が少なく(β = −0.11, p < 0.05)、未熟な防衛機制も少なかった(β = −0.16, p < 0.01)。

  • つまり、男性の方が「未熟な防衛機制」を使いやすい傾向があった。

🔹 ポイント:「防衛機制」の使い方には性別差がある可能性がある。


4. 統計モデルの安定性(信頼性の確認)

  • ブートストラップ法(5000回のシミュレーション)で、統計的に安定していることを確認。

    • 全体の効果(Total Effect):有意(Boot-LLCI = 0.240; Boot-ULCI = 0.642)✅

    • 間接効果(Indirect Effect):有意(Boot-LLCI = 0.187; Boot-ULCI = 0.404)✅

  • **事後検定(Power Analysis)**で、モデルの統計的な力が十分(0.99)であることを確認。

🔹 ポイント:「この研究の結果は、統計的に信頼できる」と考えられる。


🔍 まとめ(初心者向けの理解ポイント)

恋愛依存と最も関係が深いのは「恐れ・回避型愛着」「分離不安」「未熟な防衛機制」
恐れ・回避型愛着は、分離不安や防衛機制を介して恋愛依存に影響する
直接の影響は弱く、間接的な影響(媒介効果)が重要
性別によって防衛機制の使い方に違いがある(男性の方が未熟な防衛を使いやすい)
統計的な信頼性が高く、結果は十分に安定している

この研究の結果は、「恋愛依存は、幼少期の愛着スタイルや感情のコントロール方法と深く関係している」ことを示しています!


Discussion

1. 恋愛依存の問題点と研究の目的

  • 恋愛依存とは、ネガティブな影響があっても恋愛関係を続けてしまう状態のこと。

  • 恋愛依存の悪影響として、うつ症状、恋愛満足度の低下、自傷行為、希死念慮(死を考えること) などがある。

  • この研究の目的:恋愛依存のリスク要因を調査し、愛着スタイル・分離不安・防衛機制 に焦点を当てて分析。


2. 愛着スタイルと恋愛依存の関係

  • 「恐れ・回避型愛着」 の人は、恋愛依存になりやすい(有意な関係があった)。

  • 「安全型」「とらわれ型」「拒否型」 の愛着スタイルと恋愛依存には関係がなかった。

  • 「恐れ・回避型愛着」 は、自分と他者に対する否定的な見方を持ち、不安感と回避傾向が強い

  • このタイプの人は、相手を理想化するのではなく、見捨てられる不安から関係を続けようとする 傾向がある。


3. 「恐れ・回避型愛着」と「分離不安・防衛機制・恋愛依存」の関連

  • 恐れ・回避型愛着の人は、以下と関係があった:

    1. 分離不安(H2a)

    2. 神経症的防衛機制・未熟な防衛機制(H2b)

    3. 成熟した防衛機制との関係はなかった(適応的な対処法をあまり使わない)。

  • 分離不安が強い人は、神経症的・未熟な防衛機制を使いやすい(H3)

  • 防衛機制とは?

    • 神経症的・未熟な防衛機制現実を歪めてストレスを回避する方法

    • 例:「相手が去るのは自分のせいではない」「相手は変わるはずだ」と考える


4. 分離不安・防衛機制と恋愛依存の関係

  • 分離不安と防衛機制は、恋愛依存と有意な関連があった(H4a & H4b)

  • 恋愛依存者の特徴

    • 相手に過剰な安心感を求める(何度も確認したくなる)

    • 別れることへの強い不安を持つ

  • 防衛機制と精神健康の関係:

    • 未熟な防衛機制を使うと、恋愛依存になりやすい

    • 適応的なストレス対処ができないと、恋愛に過度にのめり込むリスクがある


5. 分離不安・防衛機制が恋愛依存を「媒介」している

  • 恐れ・回避型愛着 → 分離不安 → 防衛機制 → 恋愛依存 の関係が証明された(H5)。

  • 恋愛依存は「感情の調整方法」として使われることが多い

    • 「自分は愛される価値がない」 と考える人は、相手に依存しやすい

    • 「見捨てられるのが怖い」 ため、恋愛に固執する

    • 健康なストレス対処ができないと、恋愛にのめり込むことで不安を解消しようとする


6. 性別・年齢の影響

  • 性別と恋愛依存には関係なし

  • 性別と防衛機制には関係があった

    • 女性の方が「成熟した防衛機制」も「未熟な防衛機制」も使う傾向がある

    • → 女性は適応的な対処もするが、未熟な防衛機制にも頼りやすい可能性


7. 研究の限界と今後の課題

  • 限界①:対象が大学生のみ(若者以外の影響は不明)。

    • → 臨床現場の患者を含めた研究が必要

  • 限界②:参加者の80%が女性 → 男女比を均等にした研究が望まれる

  • 限界③:家族背景の情報が少ない → 家庭環境(例:ひとり親家庭)を考慮すると理解が深まる

  • 限界④:横断研究(1回のデータ収集) → 長期的な研究(追跡調査)で因果関係を確認する必要がある

  • 限界⑤:自己申告のデータのみ → 行動観察や生理データを用いるとより正確な分析が可能


🔍 初学者向けのまとめ

恋愛依存は、「恐れ・回避型愛着」「分離不安」「未熟な防衛機制」と関係が深い
特に「見捨てられる不安」が強い人ほど、恋愛にのめり込みやすい
適応的なストレス対処ができないと、恋愛依存が悪化する
恋愛依存は「不安を和らげるための手段」として使われることが多い
男女で防衛機制の使い方が異なる可能性がある
より多様なサンプルと長期的な研究が必要



以上は論文解説だが、

一応、ChatGPT4に、この論文に基づく、心理的トラブル解決方法を聞いてみた

恋愛依存のリスク要因と関連するトラブル、およびその解決方法


1. 恋愛依存のリスク要因

恋愛依存は、恋愛関係に過度にのめり込み、相手に依存しすぎることで生じる問題です。以下の心理的要因が大きく影響するとされています。

① 愛着スタイル(Attachment Style)

  • 特に「恐れ・回避型愛着(Fearful Attachment)」の人が恋愛依存になりやすい。

    • 特徴:自分にも他人にも否定的な見方を持ち、強い不安と回避傾向がある。

    • 影響:「見捨てられるのが怖い」という理由で、相手に強く依存する。

② 分離不安(Separation Anxiety)

  • 愛着不安が強い人は、相手と離れることへの強い恐怖を抱く。

    • 特徴:「相手がいないと落ち着かない」「常に一緒にいたい」

    • 影響:依存的な行動をとりやすく、相手を束縛することがある。

③ 防衛機制(Defense Mechanisms)

  • 適切なストレス対処ができないと、未熟な防衛機制を使い、恋愛依存に陥りやすい。

    • 未熟な防衛機制(例):

      • 否認:「この関係は問題ない」と現実を無視する。

      • 投影:「相手が浮気するに違いない」と根拠のない疑いを持つ。

    • 神経症的防衛機制(例):

      • 過度な自己犠牲:「相手のためなら何でもする」と自分を犠牲にする。

      • 合理化:「愛があれば苦しみも受け入れられる」と問題を正当化する。


2. 恋愛依存によるトラブルと影響

恋愛依存は、本人だけでなく、相手や周囲の人にも悪影響を及ぼします。

① 精神的な問題

  • うつ症状:「相手に拒絶されると生きる気力を失う」

  • 不安障害:「常に相手の気持ちを確かめないと不安になる」

  • 自己肯定感の低下:「自分には価値がない」と感じる

② 人間関係の悪化

  • 恋人との関係の崩壊:「束縛が激しく、相手が疲れてしまう」

  • 友人や家族との関係が希薄になる:「恋愛に依存しすぎて他の人間関係を疎かにする」

③ 自己犠牲の増加

  • 「相手に嫌われたくない」という理由で無理をする

    • 例:相手に合わせて仕事を辞める、生活スタイルを変える

④ 極端な行動

  • ストーカー行為や執着行動:「相手の行動を常に監視する」

  • 自傷行為や希死念慮:「相手がいなくなったら生きていけない」と考える


3. 恋愛依存の解決方法

恋愛依存から抜け出すには、自分の心理的な問題を理解し、適切な対処法を身につけることが重要です。

① 自分の愛着スタイルを理解する

  • 「恐れ・回避型愛着」など、自分の恋愛のパターンを知る

    • 方法:愛着スタイル診断を受ける(心理テスト、カウンセリング)

    • 目的:自分の思考や行動の傾向を把握し、改善ポイントを見つける

② 分離不安を克服する

  • 「相手がいなくても大丈夫」という感覚を持つことが重要

    • 方法

      • 友人や家族との関係を深める

      • 趣味や仕事に没頭し、恋愛以外の楽しみを見つける

      • マインドフルネス瞑想やリラクゼーションを活用する(不安を落ち着ける)

③ 健康的な防衛機制を身につける

  • 未熟な防衛機制を避け、適応的なストレス対処法を学ぶ

      • 感情日記をつける:「自分がどんな感情を抱いているのか記録し、客観的に見る」

      • 認知行動療法(CBT):「歪んだ考えを修正し、健全な思考習慣をつける」

④ 適切なサポートを受ける

  • 心理カウンセリングやセラピーを活用する

    • 専門家に相談することで、自分の依存傾向を客観的に理解できる

    • 恋愛依存専門のセラピー(例:認知行動療法)を受けると効果的

⑤ 健康的な恋愛観を育てる

  • 恋愛=人生のすべてではないと認識する

    • 相手に依存しすぎず、対等な関係を築くことが大切

    • 「自分の幸せは、自分自身で作るもの」と考え方を変える


🔍 まとめ

恋愛依存は、「恐れ・回避型愛着」「分離不安」「未熟な防衛機制」によって引き起こされる
恋愛依存により、精神的な問題・人間関係の悪化・極端な行動が生じる可能性がある
解決策として、「愛着スタイルの理解」「分離不安の克服」「適切な防衛機制の習得」が有効
心理カウンセリングや認知行動療法を活用すると、健康的な恋愛観を持てるようになる


💡 ワンポイントアドバイス

  • 恋愛は「人生の一部」であって、「すべて」ではない。

  • 自分を大切にすることで、相手との関係もより良くなる!

  • まずは、自分の気持ちを大切にし、依存しない恋愛を目指そう!

いいなと思ったら応援しよう!