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中等度以上COPD:FEV1適性検査頻度

安定してたらね。そんなもんでしょ。でも、rapid declinerが存在する。

Wilkinson, Jared D., Holly Wilhalme, Christopher B. Cooper, Igor Z. BarjaktarevicとDonald P. Tashkin. 「Duration and Frequency of Spirometry Needed to Accurately Reflect Annualized Change of FEV1 in Chronic Obstructive Pulmonary Disease」. Annals of the American Thoracic Society 21, no. 12 (2024年12月): 1706–14. https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.202401-099OC.

背景: 1秒量(FEV1)の低下傾斜は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の記述的研究や治療試験において、疾患進行速度を反映する指標として一般的に用いられている。しかし、真の傾斜を報告するために必要なスパイロメトリー検査の頻度と期間については明らかではない。

目的: 中等度から非常に重度のCOPD患者における年換算のFEV1変化率を正確に記述するために必要な最低限の検査頻度と追跡期間を明らかにすることを目的とした。

方法: チオトロピウム対プラセボを比較した4年間の「Understanding Potential Long-Term Impacts on Function with Tiotropium(UPLIFT)」試験に以前参加した4,412名の被験者を対象に、FEV1の年換算変化率の事後解析を行った。半年ごとの検査または年1回の検査を最大42か月間にわたり異なる期間でモデル化し、全てのモデルを42か月間の半年ごとのスパイロメトリーを基準として比較した。

結果: 42か月間の半年ごとの測定で得られた気管支拡張薬使用後のFEV1低下の年間速度(44.6 ml、95%信頼区間 [CI] = 42.5–46.6)は、同期間の年1回のスパイロメトリー(43.7 ml、95% CI = 41.3–46.1)や最初の2年間の半年ごとのスパイロメトリー(44.3 ml、95% CI = 41.1–47.5)と有意な差を認めなかった。24か月以上離れた2つの追跡値でも一貫して一致していた(43.3 ml、95% CI = 39.9–46.8)。2つ未満の追跡値または18か月未満の期間に基づくモデルでは、傾斜が相対的に過小評価される傾向が見られた。

結論: 中等度から非常に重度のCOPD患者の大規模なコホートにおいて、FEV1の年換算変化率は、42か月間の半年ごとの測定と比較して、18か月間の2回の年1回追跡測定で正確に表現されることが示された


慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、1秒量(FEV1)が急速に低下する「Rapid Decliners」と呼ばれる患者群が確かに存在する[1][7]。Rapid Declinersは、肺機能がより速い速度で低下することを特徴とするCOPD患者の特殊なサブグループとされている[7]。

Rapid Declinersの特徴

  • 一般的には、FEV1低下率の上位四分位数に属する患者として定義される[3][7]

  • 一部の研究では、FEV1低下が年間40 mL以上または60 mL以上の患者と定義されている[4]

  • しばしば若年患者であり、顕著な肺機能低下を伴う[6]

  • 年間約6.2%または100 mLのFEV1低下を経験することがある[7]

リスク因子

Rapid Declinersは以下の要因と関連している:

  • 男性[7]

  • 喫煙者(現在喫煙者)[7]

  • 血中好酸球数が150/μL未満[7]

  • 高い努力性肺活量(FVC)[7]

臨床的意義

Rapid Declinersは、次のような悪化した転帰を伴うことが多い:

  • 重症増悪の発生率が高い[7]

  • 予後が悪化する可能性[7]

  • 患者報告アウトカムのより迅速な悪化[3]

Rapid Declinersを早期に特定することは、COPD進行の適切な介入と管理において極めて重要である[7]。

引用文献:
[1] https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9807769/
[2] https://www.nature.com/articles/s41598-023-32205-3
[3] https://jkms.org/DOIx.php?id=10.3346%2Fjkms.2025.40.e32
[4] https://karger.com/res/article-abstract/101/12/1078/829131/Risk-Factors-of-Rapid-FEV1-Decline-in-a-Real-World?redirectedFrom=fulltext
[5] https://bktimes.net/data/board_notice/1670550121-78.pdf
[6] https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8559126/
[7] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36349793/
[8] https://www.dovepress.com/article/download/63503
[9] https://jkms.org/pdf/10.3346/jkms.2025.40.e32

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