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グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬はCOPD・2型糖尿病で心肺アウトカムおよび全死亡リスク低下


Yen, Fu-Shun, Chih-Cheng Hsu, James Cheng-Chung Wei, Fuu-Jen Tsai, Yuhan Huang, Teng-Shun YuとChii-Min Hwu. 「Glucagon-like Peptide-1 Receptor Agonists May Benefit Cardiopulmonary Outcomes in Patients with COPD」. Thorax, 2024年10月1日, thorax-2023-221040. https://doi.org/10.1136/thorax-2023-221040.

背景 臨床研究において、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)が心肺機能に有益な効果をもたらす可能性が示されている。本研究では、2型糖尿病(T2D)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者におけるGLP-1 RAの使用と非使用において、心肺アウトカムおよび死亡リスクを比較する縦断コホート研究を実施した。

方法 本研究は、台湾の国民健康保険研究データベースを用い、2008年1月1日から2019年12月31日までの間に、GLP-1 RA使用者および非使用者をマッチングさせた8,060名を対象とした。Cox比例ハザードモデルを使用し、GLP-1 RA使用者と非使用者の心肺アウトカムリスクを算出した。

結果 平均追跡期間は、GLP-1 RA使用者で2.51年、非使用者で2.46年であった。マッチングされたコホートにおいて、GLP-1 RA使用者は非使用者と比較して、死亡リスク(調整ハザード比(aHR)0.46、95%信頼区間(CI)0.38–0.56)、心血管イベント(aHR 0.73、95%CI 0.65–0.82)、非侵襲的陽圧換気(aHR 0.66、95%CI 0.47–0.93)、侵襲的機械換気(aHR 0.64、95%CI 0.51–0.8)、細菌性肺炎(aHR 0.76、95%CI 0.65–0.88)のリスクが有意に低かった。サブグループおよび薬剤使用期間に関する追加分析でも、GLP-1 RAは非使用者と比較して死亡、心血管イベント、換気サポート、細菌性肺炎のリスクが有意に低いことが示された。

結論 本全国的コホート研究により、T2DおよびCOPD患者においてGLP-1 RAは非使用者と比較して心肺アウトカムおよび全死亡リスクが低いことが示された。GLP-1 RAは、COPDを有する糖尿病患者の管理に役立つ可能性がある。


Perplexityに機序など聞いてみた

GLP-1受容体作動薬(GLP-1RAs)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および2型糖尿病(T2D)患者に有望な利益を示している。いくつかのメカニズムがこれらの肯定的な効果に寄与している。

抗炎症作用

GLP-1RAsは、COPD患者に有益な抗炎症作用を示している。

  • 肺の炎症を抑制し、COPDの進行における重要な要因を減少させる[2]。

  • 動物モデルでは、GLP-1RAsがLPS刺激による好酸球の活性化を抑制し、気道の炎症を軽減する可能性が示された[2]。

肺機能の改善

研究により、GLP-1RAsはCOPD患者の肺機能を改善することが示されている。

  • COPD患者において、GLP-1RAsは努力肺活量(FVC)の改善と関連している[1]。

  • GLP-1RAsの使用は、マウスモデルの閉塞性肺疾患において、炎症を抑制し肺機能を促進することが確認された[2]。

増悪リスクの低減

GLP-1RAsはCOPDの増悪リスク低減と関連している。

  • 他の糖尿病治療薬と比較して、GLP-1RA使用者はCOPD増悪の発生率が有意に低かった[1][3]。

  • 集団ベースの研究において、GLP-1RAsはスルホニル尿素薬と比較して重篤なCOPD増悪リスクを30%低減したと報告された[5]。

代謝効果

GLP-1RAsの代謝作用は、間接的にCOPD患者に利益をもたらす可能性がある。

  • GLP-1RAsは血糖値をコントロールし、T2DおよびCOPDを併発する患者にとって重要である[4]。

  • また、GLP-1RAsは体重減少を促進し、肥満や過体重のCOPD患者において呼吸機能を改善する可能性がある[4]。

作用メカニズムの可能性

正確な作用メカニズムは完全には理解されていないが、いくつかの仮説が存在する。

  • GLP-1受容体は肺に発現しており、呼吸器組織に直接的な影響を与える可能性がある[3]。

  • GLP-1RAsは、人の気管支過敏性を抑制する可能性があり、これはCOPDの特徴である[3]。

  • GLP-1RAsはインスリン感受性を改善し、全身性の炎症を減少させ、間接的に肺機能を改善する可能性がある[3]。

心血管の利益

GLP-1RAsは心血管系に利益をもたらし、特にCOPD患者にとって重要な可能性がある。

  • T2D患者において、GLP-1RAsは主要な心血管イベントのリスク低減と関連している[4]。

  • この心血管保護作用は、心血管リスクが高いCOPD患者に特に有益である可能性がある。

結論として、GLP-1RAsの炎症、肺機能、代謝コントロール、心血管健康への多面的な効果により、COPDおよびT2Dを併発する患者に対して有望な治療オプションとなり得る。しかし、これらの効果を完全に解明し確認するためには、さらなる研究、特にランダム化臨床試験が必要である。

Citations: [1] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37647574/ [2] https://dmsjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13098-023-01118-6 [3] https://diabetesjournals.org/care/article/44/6/1344/138680/Glucagon-Like-Peptide-1-Receptor-Agonists-and [4] https://www.healthline.com/health/type-2-diabetes/glp-1-receptor-agonists-treatment [5] https://www.bmj.com/content/379/bmj-2022-071380 [6] https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2819256 [7] https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0954611119302057 [8] https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.202303-0491OC

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