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3分でわかる!プロトタイピング論文解説。 ダークホースプロトタイピングで革新的なアウトプットを。- USING A "DARK HORSE" PROTOTYPE TO MANAGE INNOVATIVE TEAMS. -


プロトタイピング研究者三富:さまざまな研究者が研究結果をまとめている、論文。ただ、とっつきづらい、わかりづらい、読む気がしない、という方も多いのではないのでしょうか。そんな論文を、3分でわかるように要約してご紹介します。

今回は、2013年にスタンフォード大学のTyler Bushnellらがカンファレンス用に提出した論文"USING A "DARK HORSE" PROTOTYPE TO MANAGE INNOVATIVE TEAMS"を取り上げます。

■ダークホースプロトタイピングで革新的なアウトプットを

この論文では「ダークホースプロトタイピング」というプロトタイピング手法の要点を、スタンフォードME310設計エンジニアリングプログラムの実施例からまとめています。

ダークホースプロトタイピングというのは、実行可能でない、リスクが高すぎるために却下したアイデアや、まったく試したことがないアイデアのプロトタイプをつくってみる、というものです。

これにより、アイデアに関する予期せぬ気づきを得て、もっと大きく、より創造的に考えることを可能にし、革新的なアウトプットを生み出すことができます。

その、ダークホースプロトタイピングを実行する上でのポイントは3点です。

1.ダークホースプロトタイプの構築は、現在進めているアイデアとは別の方向性のものであるため、違和感を感じることがあることを理解しておく。

2.ダークホースプロトタイピングは、「逸脱」することが大事。逆にいうと、逸脱する元のアイデアのビジョンがある程度できている必要がある。

3.作成したプロトタイプを、客観的にユーザーがテストできるようにする。

■ダークホースプロトタイピングの実施例

ダークホースプロトタイピングの事例として、論文内で示しているものをご紹介します。
あるチームは、「次世代の映画/ブロードキャストシステムの設計」を行っていました。最初は視聴者側の視点でソリューションを検討しており、ある程度のニーズがあったものの、ダークホースプロトタイピングとして、逆のアプローチを試してみました。それが、「カメラのない映画セットプロトタイプ」です。これは、常に映像を記録することで、好きなショットを監督が選択できるというもので、技術的にはハードルが高かったものの、監督から好評を得ました。

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この例では、今まで視聴者側の視点に立っていたソリューションを、逆の監督者側の視点に立つプロトタイプをつくることで、新規性の高いアウトプットに結び付けています


以上のように、ダークホースプロトタイピングはソリューションの開発プロセスの初期のアイデアを構築している段階において、非常に効果的な働きをします。ぜひ、既存のアイデアのブラッシュアップの手を一度止めて、技術的にハードルが高く、リスクが高いと感じられるプロトタイプをつくってみてください。

■実践から見たダークホースプロトタイピング

UXデザイナー園田:実践者の目線からコメントします。そういった一見ハードルが高そうなものをプロトタイピングで試すのはとても効果的だと思います。なぜならば、一般的な目線での既知の可能性よりも、全く別の裏の視点から発想した未知の可能性ほうが、ローンチしたあとはビジネス上では優位に働く場合もあるからです。具体的に言うと市場に出したときに独自性を増す発想である可能性も出てくるからです。

そういった視点を持って、あえて外れてると思われる発想を低コストで試してみるのにプロトタイピングの考えはとても相性が良いと思います。

今まで、複数のサービスを立ち上げて来ましたが、独自性を生み出すのはとても苦労します。脳みそが千切れる程に考えても思いつかないときもあるし、ある日歩いていたら突然思いつく場合もある。

そんななか、ダークホースプロトタイピングは「独自性を生み出す」ための一つの手がかりになる手法と言えるのではないでしょうか。


■紹介論文

Bushnell, Tyler & Steber, Scott & Matta, Annika & Cutkosky, Mark & Leifer, Larry. (2013). USING A "DARK HORSE" PROTOTYPE TO MANAGE INNOVATIVE TEAMS. 10.13140/2.1.2361.7602.


Prototyping Lab TOKYO では事業の立ち上げなどでプロトタイピングを導入したい企業様の相談を無料で受け付けています。お気軽に相談ください。

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■メンバー
UXデザイナー・園田 励

テレビ番組や雑誌を立ち上げた後、2010年GrouponJapanに参画。UX等デザイン領域全般で創業期から事業安定まで携わる。2014年から株式会社イグニスで恋愛・婚活サービス「with」をPM・UXデザイナーとして立ち上げ、黒字化 。2019年には株式会社WARCに参画。デジタルプロダクト専門クリエイティブギルド、株式会社PRISMを創業。幼児用冷凍食品を扱うhomeal株式会社のCDOに就任。立ち上げては軌道にのると次に移りたくなる生粋の0→1職人。中国武術の使い手でもある。

株式会社PRISM / デジタルに特化したサービスデザインスタジオ ~ デザイン×ビジネスの両面でDXに実現力を。

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プロトタイピング研究者・三冨 敬太

2018年よりデザインファームTsukuru to Ugoku Design株式会社を創業。デザイン思考を活用したデジタルソリューションのデザイン、シティプロモーション推進業務などを展開。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科卒業、研究員(プロトタイピング)。アプリケーション「オトトトン」でグッドデザイン賞・キッズデザイン賞受賞、など。日本創造学会所属 株式会社ステッチ執行役員。サイゼリヤが好き。一番好きなメニューは柔らか青豆の温サラダと赤ワイン250mlデカンタとプロシュートと熟成ミラノサラミと白ワインの250mlデカンタ。

Tsukuru to Ugoku Design 株式会社



株式会社ステッチ




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