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0382 - あっちこっち文庫のルールを決める

t= 3 d= 7

前回のつづき

本を通じて、磐田市内に新しい人の流れを作ることを目標とした「あっちこっち文庫」という仕組みをカタチにする際に、決めなければならない大きな課題は以下の3点。

1. 本はどうやって集めるの?
単純に「本を提供してくださーい」と声がけして集めると、処分したい本を引き取る廃品回収のような状況が起こってしまう可能性がある。あっちこっち文庫では、いらない本ではなく「オススメしたい本」が様々な人の手に渡っていく流れを作りたいと考えている。

2. どんな本をOKにするの?
オススメといっても、さすがにオールジャンルOKとはできない。例えば、読む人によってはものすごく不快を覚えるような強めのエロやグロ系。また、特定の宗教や商売など「自分のリアルな活動への勧誘」を目的としたような書籍も避けたい。純粋に読み物として本を楽しみながら、本好きが自然とゆるく繋がっていくことが理想だ。

3. どうやって本を管理するの?
ここが1番アタマを悩ませてくれた。提供して頂いた本をどうやって管理するのか。不特定多数の人が自由に本を持っていったり返却したりするような仕組みだと、どの本が今どこにあるのか、借りられているのか、どこかの本棚にあるのか等々をどうやって把握すればいいのか。現存するwebサービスやアプリでは「同じ場所で借りて返す」を前提としたものしか見当たらず。

上記3点について、企画メンバーで顔を合わせつつ、メッセンジャーでもやり取りしつつ、幾度となく「どうしようかね」と打ち合わせするも、なかなか良い落とし所が見当たらない日々がしばらく続いた。

転機は突然訪れた。

あっちこっち文庫に繋がる「本で交流したい」というきっかけを作ってくれた南里さんが夫婦で経営しているドリンク屋 drinks+ HOCHA HOCHAが、市内で開催される屋外の遊び場イベントに出店することになり、その会場内に「あっちこっち文庫コーナー」を作っていいよという素敵なお話を頂戴したのだ。とてもありがたい。

「いつまでに」「何をする」が決まれば、やるしかない。(と言いつつ、具体的に「何をする」が決まったのは前日の夜だが、そこは御愛嬌)

結果から伝えると、この日に「あっちこっち文庫」は(プレではあるが)無事にスタートさせることができた。

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ひとまず、提供する本は企画メンバー3人の持ち寄りでオススメの本を。その場で気になった本があれば自由に借りてOK。本には返却期限を設けず、読み終わったら、まずはの場所として市内の2箇所どちらかで返却してください、という仕組みにした。

この日は6冊の本が、気分の良い天気の下(晴れて)旅立った。いってらっしゃい。

さて、ここまで読んで、最初に挙げていた3つの大きな課題、特に3番目の「本をどう管理するか」についてどう解決させたのか、勘の良い方なら気づいたかもしれない。

・本は「管理しない」ことにした

誰がいつ何を借りたのか、それをどこに返却したのか、その動きについては一切関与しないことに決めた。どう管理するか、ではなく、そもそも管理しなければいいじゃん、というわけだ。

それだと返却しない人とかいるんじゃない、という至極当然なツッコミが入るかもしれないが、そこは借りる人のモラルに委ねることにした。古本として売ることを目的とされないよう「あっちこっち文庫のロゴはんこを本に押す」という対策だけ施させてもらっている。あとは自由だ。

もちろん、それだと本が汚されたり破れてしまったり、場合によっては紛失してしまうこともあるだろう。そのため、オススメ本については「提供」ではなく「寄贈」というカタチを取らせて頂くことにした。「手元に置いておかなくてもいいオススメしたい本」という絶妙なバランスの本だけ扱うようにすれば、提供する側もしてもらう側も気をつかう必要が無くなる。これまた借りる人のモラルに委ねることにした。

どんな本をOKにするかについては、寄贈してもらう際に1度だけチェックを設ければ良い。

ともあれ、どうしようかと悶々としていたポイントは全て「関わる人のモラルに委ねる」で解決することができた。

「もしこういう場合が起きたら」という視点でどう対策を講じるかを考えることって、言うなれば「疑心暗鬼」を前提としちゃってるわけで。そうではなく「性善説」で考えることで「あっちこっち文庫」の仕組みは定まった。

そんなんで上手くいくの?と思う人がいるかもしれないが「人を信用する」が前提となった仕組みは、浸透するまで少し時間はかかるかもしれないが、必ず定着できると信じている。

あっちこっち文庫はプレスタートを切ったばかり。これから寄贈本と本棚設置場所を市内に増やしていく。本を通じて、新しい人の流れと繋がりが生まれるよう、もう少しだけ頑張っていきたい。

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