0082 - これまた読んでとても良かったと感じる本
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またまた「あー、読んで本当に良かったなー」と感じる本に出会った。
手に取ったきっかけは、清水ミチコさんのこのツイート。
どんな本なのかは、ここの『商品の説明』を見てもらうのが早くて分かりやすい。よくある自己啓発系の本ではない。治らないがんになり余命あと数年の著者が、がん患者や患者の関係者に取材して見えたこと考えたことが綴られている。
※上記商品ページより目次拝借
1章 そしてぼくは、旅に出た。
2章 ぼくたちが求めている自由 ~Kさんへの取材を通じて~
3章 ほんとうの自立とはなにか ~Mさんへの取材を通じて~
4章 逃げ場を失わないために ~Tさんへの取材を通じて~
5章 家族のかたちを選びなおす
6章 ぼくが最後に選ぶもの
2章から4章にかけての取材内容は、読むのがしんどくなるような重めなエピソードだが、知るか知らないかだったら圧倒的に『知ってよかった』と思える内容。相手のことを想う励ましの言葉も、実は自分の価値観を押し付けているだけで時に鋭利な刃物のように心をエグることもある。場合によっては「誰も理解してくれないんだ」という絶望に繋げてしまい自死を招くきっかけになってしまうこともある。
また新たに『こういう人と状況も世の中には存在するんだな』と知ることができ、考え方の幅は確実に広がった。
個人的に特に感銘を受けたのは、第5章の途中に出てきたNASAによる家族サポートの仕組み。NASAでは宇宙飛行士に選ばれた家族のサポート(ケア)を徹底しているそうだが、その『家族』と解釈する範囲を大きく2つ『直系家族』と『拡大家族』に分類している。直系家族のほうが濃いサポートを受けられる。
ちょっとだけネタバレになってしまい申し訳ないが、ここで問題です。以下の中で(宇宙飛行士から見て)NASA基準で『直系家族』に当てはまる人を全て答えてください。
・祖父母
・両親
・兄弟
・従姉妹
・伯父、伯母
・配偶者(夫・妻)
・子ども
・子どもの配偶者
知り合い数名にこの問題を出してみたところ、全員が『両親』『兄弟』『配偶者』『子ども』の4項目を選んだ。いわゆる『一親等』と呼ばれる範囲に、直接的な血の繋がりを持つ兄弟を付け加えた範囲。大抵の人はこれに近い答えになるのではなかろうか。
正解は『配偶者』『子ども』『子どもの配偶者』の3つ。NASAでは、両親や兄弟は『拡大家族』に分類する。
直系家族になる3項目の基準はとても分かりやすい。『自分で選んだ家族』ということ。親や兄弟は選べない。でもパートナーは選ぶことができる。自分が選んだ配偶者、子ども。その子どもが選んだ配偶者。家族は『親子』の単位で始まるのではなく『夫婦』の単位から始まるものという考え方。集団よりも完全に個の存在を優先する。これは日本人特有の価値観とは大きく異なる。NASAの話の流れは『あとがき』に書かれたここの言葉に全てが集約されている。
友人を選び、恋人を選び、結婚相手を選ぶ。
自分によい影響を与える人の存在は、自分で選ぶことができるのだ。
おいおい、ネタバレやめてくれと思うかもしれないが安心してほしい。内容の『重くて濃い部分』には全く触れていない。今日ここで紹介したのは、本から受ける印象(学べること)の数パーセントにも満たない。繰り返すが、読んだら心が軽くなって勇気も湧いたしハッピーでラッキーでわっほーい!といった安易な自己啓発系のような生易しい本ではない。断じてない。
少しでも気になった方は、清水ミチコさんの言う通り『素晴らしい一冊』なのでぜひご一読を。