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ブックオフ従業員による架空買い取り、およびこれに伴う決算発表延期について、今後の株価への影響を考えてみる
こんにちは、プロ証券家のCNMです。
今回は、昨日ブックオフグループホールディングス株式会社(銘柄コード:9278。以下、「当社」とします。)が公表した適時開示情報「特別調査委員会の設置及び 2024 年5月期決算発表の延期に関するお知らせ」について、株価への影響を考察します。
※本記事は特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。一個人の考察の域を超えませんので、予めご理解ください。
概要
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![](https://assets.st-note.com/img/1719369625811-6aP6GiXkiG.png)
当社開示の趣旨
適時開示情報の冒頭は、以下のように記載されています。
当社は、本日開催の取締役会において、特別調査委員会の設置並びに2024年7月16日に予定しておりました2024年5月期の決算発表を延期することを決議いたしましたのでお知らせいたします。
まず、ご存知ない方のために説明すると、取締役会は、すべての取締役で組織され、業務執行の決定・監督、代表取締役の選定・解職を行う意思決定機関です。
難しいと思われた方は、「取締役会は業務執行の重要事項を担ってる」と思ってください。
次に、特別調査委員会について、こちらは「第三者委員会」などとも呼ばれますが、会社で不祥事が発覚した際に原因究明や再発防止策を講じるため、独立した第三者のみによって組織される委員会のことです。
不祥事を起こした会社が自ら調査すると信用に足らないため、公正な調査んため外部にお願いするのですね。ちなみに、内部を含めて行う場合は「内部調査委員会」というものが組織されます。
テーマ
さて、本発表のテーマは2つあり、先の引用に詰まっています。
特別調査委員会の設置
2024年5月期決算発表の延期
この中でも特に重要なのは、もちろん2つ目の「決算発表延期」です。
基本的に上場企業は決算発表を延期しません。
一般に「45日ルール」と呼ばれるルールにより、上場企業は決算期末後45日以内に、決算短信を作成・開示する義務があるからです。
このような義務があっても開示が遅れてしまう特殊なケースというのは発生してしまいます。
その場合、決算発表の延期が生じる主な理由を含めて、その旨を適時開示することになっています。(参考:日本取引所グループFAQ)
今回、この特殊なケースに該当したため、適時開示がなされたものと考えられます。
経緯
経緯について、開示内容にはこのように記載されています。
当社子会社が運営する複数店舗において、従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があることが発覚いたしました。(以下、「本事案」といいます。)。
当社は、本事案の実態解明を行い、再発防止策の策定を含め、株主はじめステークホルダーの皆様に対する説明責任を果たすために、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家による特別調査委員会を本日付けで設置することといたしました。
要点をまとめると、子会社の複数店舗で、下記3つの可能性があることが発覚したということになります。
従業員による架空買い取り
在庫の不適切な計上
これらによる現金の不正取得
ここからは個人的な推測になりますが、以下のような取引が実施されていたのではないかと考えられます。
客の持ち込んだ物を、従業員が無料で引き取る。
無料で引き取ったものを、従業員が会社に買い取らせる。
誰もが思いつきそうなことですが、コンプライアンス体制が整っていれば発生を抑えられる事案でもあります。
また、子会社の複数店舗で発生していたというのが、組織的なものなのか、別個人(あるいは店舗内の複数名)が各々で実施していたかは不明ですが、誰もが思いつきそうなことですので、後者の線が濃厚ではないかと思われます。
業績への影響
これは個人的な考えですが、業績に対しての影響は、大きすぎることはないのではないかと思われます。
以下、詳しく見ていきます。
当社の今後の予定
マイナス要因として最も大きいのは、以下の部分だと考えられます。
今後当社グループの国内外全店舗において、臨時の実地棚卸を実施する予定であります。これに伴い、店舗において臨時休業等が発生する見込みです。
全店舗で実地棚卸を実施するというのは、相当なコストがかかる上、その間は臨時休業で収入が得られませんから、業績への悪影響は避けられません。
架空買い取りによる影響
従業員の架空買い取りが業績に影響を及ぼす可能性もあります。ただし、こちらはあまり影響がないものと考えられます。
架空買い取りが先ほどの推測通りだと仮定すれば、会社は正規の価格で買い取れている可能性が高く、買取額が客ではなく従業員に渡っただけです。
会社としては損失を出していないはずですので、業績低下にはなりにくいと考えられます。
株価への影響
個人的に考慮すべきだと考える点は、以下の3点です。
コンプライアンス
業績
調査結果
コンプライアンス
コンプライアンスは、株主だけでなく、顧客も含めて多くのステークホルダーに対する信用に関わるため、最も重要な点です。
しかしながら、現時点では情報が少なすぎますので、今後の動向に注意する必要があります。
業績
先に述べた通り、業績に対する影響はそこまで大きくないのではないかと考えられます。
ただし、実地棚卸に係る臨時休業が国内外の全店舗で実施されますので、これに遅滞が発生すれば悪影響となります。
調査結果
調査は始まったばかりであり、現時点では情報が不確実ですので、こちらもコンプライアンスと同様に今後の動向に注意する必要があります。
株価動向
本日6/26は、前日終値1,568円に対して始値1,340円(△14.5%)で始まりました。
情報が少ない中で、かなり下げているように感じられます。先ほどから触れている通り、業績に対する影響は大きすぎないはずですので、コンプライアンスなど業績以外の要因によって、株価は下落したものと考えられます。
まとめ
現時点では情報が少なすぎますので、今後の調査次第で株価は大きく左右されると思われます。
特に、業績面においては、あまり影響がないことを投資家は分かっているはずですので、会社の信用次第で今後も株価が下落する可能性もありますし、大きく反発する可能性もあります。
内容の薄い記事になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
それでは。良い証券ライフを。