
単関節筋と2関節筋の役割とは? 理学療法士
今回は単関節筋と2関節筋の役割と臨床上での捉え方の私見についてまとめていきます。
単関節筋とは一つの関節を跨いで付着する筋肉であり、関節に近い部位に起始・停止も持つことで緊張した際に関節内の圧縮が起こり、安定性に寄与すると考えられています。
2関節筋は複数の関節を跨いで付着する筋肉であり、筋自体の長さを活かすことで大きな内的モーメントの生成ができ、強い力を発揮することが出来ると考えられています。
これらはどちらも重要な役割を持ちますが、それぞれが相互的に働かなければ痛みや動作障害に繋がることが考えられます。
単関節筋が機能せずに2関節筋が優位で働いた場合、2関節筋の起始・停止が関節から離れた部分に存在することから関節内は剪断ストレスがかかりやすく、疼痛やストレスに伴う筋スパズムが起こり可動性の低下に繋がることがあります。
逆に単関節筋のみが働いた場合は大きな力を得ることが出来ず、外的モーメントに対する内的モーメントが不足することで大きな動きや早い動き・抵抗運動など制限されます。
そのため、フォースカップルとして機能できる環境がとても重要となります。
上肢活動の研究報告では、挙上する前から棘上筋の筋活動が確認されたように運動の開始前~開始直後までに単関節筋が働けることが必要となり、そのためには関節内運動が出来ることや中枢部の安定性も必要となるため、単関節筋が機能できる環境であるかを考慮することが必要だと思います。
2関節筋は体幹部に起始を持つことも多く、肩甲帯や骨盤などの可動性と安定性がなければ筋の長さや中枢部の支点が得られず、力を十分に発揮できないため、骨付着部のアライメントや安定性を評価することも重要であると思います。
2関節筋の過剰な活動は筋損傷や腱炎、滑液包炎などに繋がることが多いため、筋緊張の評価や動作分析をしていくことも必要となります。
それぞれが機能する条件を理解することでエクササイズの環境設定もしやすくなると思うので、その上で重力環境や抵抗負荷量を調整することが重要であると思います。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。