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肩関節の挙上制限に対する考えかた 理学療法士

今回は肩関節の挙上制限に対するアプローチの考え方の工夫をお伝えします。

肩関節は挙上運動に伴い、肩峰下を骨頭が通過することが必要となります。

その上で下記の文献を参考にしたいと思います。

肩甲骨を固定した肢位で上肢を挙上した際に大結節と肩峰が最も接近する挙上角度は前方挙上で68.2±4.5°であり、外転挙上が57.1±4.9°であった。

為沢一弘ほか:超音波画像診断装置を用いた肩峰下における大結節通過時の肩甲上腕関節角度の検討~腱板修復修復術後早期の安全な可動域拡大にむけて~ 理学療法学41(suppl.2)


思っていたよりも浅い角度で接触していたように感じた方もいるかもしれません。

そして、挙上制限のある対象者のほとんどは「上手く通過できない」ということが起こっており、その場合には上記の角度の手前で必ず制限が起こり、求心位が取れていないことが予測されます。

うまく通過できていない状態で挙上をしても170〜180°上がることは難しいと思います。

このことを考えると挙上30〜40°でしっかりと骨頭に関節内運動ができる自由度の確保がとても重要であると考えています。

そして、骨頭の関節内運動が起こるためには関節窩の追従機能が担保されていることが必要であります。

挙上制限に対しての治療はまず挙上角度の浅い位置で骨頭と関節窩の相対的位置変化をとれることが結果的に可動域拡大に繋がると考えいます。

また、肩峰骨頭間距離は脊柱アライメントにも影響されます。
つまり、脊柱の運動制限が通過できない理由になることが考えられます。

後弯姿勢に伴ってAHDが減少すること、後弯姿勢に伴って肩甲骨の上方回旋・内旋が生じる

野村勇輝ほか 体幹姿勢が肩甲骨位置と肩峰ー上腕骨頭間距離に与える影響 日本臨床スポーツ医学会誌 vol.27 no.2 2019

そのため、下垂位での肩甲骨運動制限も肩関節運動制限に関与するので、必ず評価が必要となります。

このことから、肩関節を肩甲上腕関節への対応だけで治療することがいかに難しいことか理解することができます。

挙上制限を挙上位で治療する以外にも攻略する糸口があることが伝わればうれしく思います。
また、よりよい方法やあご意見がありましたらコメントしていただければと思います。

※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。

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