骨折後のリハビリの注意点とは 理学療法士
今回は骨折後のリハビリテーションを進めるうえで把握すべき点についてまとめていきます。
骨折後の治療としては保存治療か観血的治療に分かれます。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、症状に応じた治療選択が必要になります。
リハビリテーションにおいて、進めるうえで重要となるポイントは
・骨折部は関節内か関節外か把握すること
・骨折部に筋や靭帯の付着部はあるかの確認すること
・骨折部のおおよその治癒期間を想定すること
・術後、固定具が関節運動や組織の滑走性に影響し可動域制限に関連する可能性を考慮すること
などが挙げられます。
骨折部は関節内か関節外か把握すること
すべての骨には頚体角や後捻角など捻じれや傾きがあり、ブロックや積み木のようにまっすぐできれいに組み立てられるような構造はしていません。
そのため、骨折によって起こった少しの捻じれの変化や傾きの変化は整復・矯正しても完全な元通りにはならないことが多いように感じています。
そのような構造体自体の変化できれいな骨運動が起こらず、隣接関節が過剰に動き、メカニカルストレスがかかることや当該関節の可動域制限などに関連することが予測されます。
さらに、骨折部が関節内にかかることで滑りや転がり運動が適切に起こらず、その関節運動制限の大きな要因となるため、予後予測の観点としても把握が重要であると考えています。
骨折部に筋や靭帯の付着部はあるかの確認すること
骨折部位が筋の付着部である場合、早期から筋収縮をいれることで骨膜にメカニカルストレスがかかり、疼痛の要因となることや骨の変形癒合に関わることが考えられます。
そのため、治癒過程を把握したうえで漸進的なアプローチが必要となります。
また、靭帯付着部では関節動揺性に関連するため、骨癒合し靭帯周囲の循環改善後に不安定性の評価をすることが必要であると思います。
基本的には不安定性が予測される場合は手術適応となることが多いと思います。
骨折部のおおよその治癒期間を想定すること
癒合期間を把握して、自動運動のタイミングや荷重量の調整を行わないことで骨の変形癒合やそれに伴う筋の長さの変化で筋張力が低下することがあります。
保存療法の場合はより、慎重なプログラム管理が必要となります。
また、骨粗鬆症の有無や年齢、骨折の種類・程度によっては教科書に記載している期間と前後するため、医師と連携を図りながら運動負荷調整が必要となります。
術後、固定具が関節運動や組織の滑走性に影響し可動域制限に関連する可能性を考慮すること
固定具自体が関節内にかかることや骨運動の阻害をすることはよくあるため、抜釘等のメリットを対象者に説明しておくことが必要となります。
また、固定具と筋や腱などの組織との滑走障害も可動域制限の要因の一つとして考えられるため、経過を追いながら抜釘を勧めることも必要と感じています。
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※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。