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初めての親友は、緘黙だった。

今日は、小学校で初めて自分から作った友達が実は場面緘黙症だった、
というお話です。
・・・が、途中ちょっとグロテスクな場面があるので、苦手な人はうさぎ小屋の話が出てきたら回れ右してくださいね。
もしくは、目次で華麗にジャンプしてください。


小学1~3年生までは、友だち、と言える子はいませんでした。
男の子と外で走り回って遊んだり、近所の子に呼ばれてなんとなく一緒に遊んだりとかはありましたけど。

うさぎ小屋に閉じ込められた


小4の時、ひとりでいた私をとある女子グループが標的にしました。
教科書を隠されたり、うさぎ小屋に閉じ込められたり(しかも死骸だらけの時に)。
小学校でうさぎの多頭飼育をしていたのですが、ある時、登校したら小屋が赤ちゃんうさぎの死骸だらけになっていました。。。
恐ろしい。
なんらかの理由で、おそらく他のうさぎが傷つけてしまったのだろうとは思いますが。。
たまたま、その時うさぎ小屋の掃除当番だったんです。
で、同じ掃除の班の女子が、騒いでたと思ったら・・・
なぜか外から鍵をかけられました。

・・・・・・・・。
なんで?

「ちょっと!」
と声をあげても笑いながら去っていく彼女たち。

はて、どうしようかと。
もう周りに子どもも先生もいません。
ここから叫んでも、声は届きそうにない。
5時間目のチャイムも鳴ったし。
・・・いや、私が急にいなくなってたら先生が探しに来るか。
と思って黙って待ってたら、
またへらへらと笑いながら女子たちが戻ってきました。
「あ、ごめーん。気が付かなかった~」

真っ赤な嘘。
よく言うよ。こっち見て笑ってたくせに。

まあ、このままだと先生に咎められるのは自分たちだと察したんでしょうね。また担任の先生が、当時の子どもの目からみても判るくらいの
えこひいきをする先生だったんですけどね。。

友だちを作ろう!


そんな日々を母に話していたら、
「もう。誰か、友だちになれそうな子とかいない?おんなじような一人の子。自分で声かけて作ってみたら?」と。

そこで、休み時間の教室を思い浮かべてみて思い当たったのが、一人の女の子。くりくりとした大きな瞳に長い睫毛。
癖の強い髪をひとつに括って、いつも休み時間は机に突っ伏してやり過ごしている子でした。

「おはよう」
次の日、思い切って声をかけてみました。
でも、あまり反応はなく。
でも、どうやらめげずにずっと挨拶をし続けたようです。
ようです、というのは私自身にもうその記憶はあまりなくて。
中学生になって、母からあの時はこうだったんだよ、と教えてもらいました。
毎日、毎日「おはよう」を言って、独りごとを彼女の机で言う、という休み時間の使い方をするようになりました。
「今日は、顔をあげてくれたよ」
「こっちを見てくれたよ」
と、まあそんな日々だったようです。

答えはなくても、頷いたり首を振るだけで答えられるような質問&確認の会話がメインです。
例えば、
「次、図工だね。一緒に行こう?」
(頷く)
「何作る? 私、お花にしようかなぁ」
(・・・・ちらりと見る)
みたいな感じでした。

そんなこんなで、ちょっと強引ですが友達関係が始まりました。
休み時間を一緒に過ごすようになりました。
しゃべらない彼女の意思を、私は目線や眉の動きで察知するようになりました。そんなある日、クラスの活発な男の子が
「なあ、お前そんなしゃべらんやつとおって楽しいん?」
と訊いてきました。彼女と一緒の時に。
「楽しいよ!」
と即座に返しました。
「声が出てないだけで、ちゃんと気持ちわかるもん」
うわあ。
子どもならではの、素直な言い切りの台詞・・・!
今の私なら、気持ちがわかる、なんて安易にいえないです(笑)

でも、こういうのが子どものいいところですよね。

その男の子は、ちょっと面食らった顔になって、
「ふ~ん」といって去っていきました。

その後、気づけば彼女はとてもとても小さな声ではありますが、
私に話してくれるようになりました。
無表情の中にも、小さな笑顔がのぞくことも増えていきました。

それから中学生になり、違う部活を選んだのですが小学生の間に培われた
彼女と私の関係は、とても強固なものでした。
本当に、友だち以上姉妹未満みたいな。

後から知ったのですが、
彼女が話さなくなったのは、両親の離婚がきっかけだったそうです。
家では、少し話すこともあったようなので、
いわゆる場面緘黙に相当するのだろうかと思います。

そんなことなんて、小学生の私は知る由もなく。
ただ、友だちになろうと思って、話しかけていただけなんですけれども。

昔の自分のことではあるんですが、
子ども同士のこういう関わりって、療育者や支援者にはなかなか真似できません。逆立ちしたって、無理な気がします。

こどもの力って、すごいですよね。

出会ってから30年以上経っていますが、
今でも、彼女とは一年に一回は会って話をしています。
きっと、これからもそうするのだろうと思います。

読んで頂き、ありがとうございました。
古い友人と、素敵な時間が過ごせますように。

















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