ほくろと私。

私の鼻の下には、ほくろがあります。

幼い時には、小さくてわからないくらいだったのですが
年をとるにつれて少しずつ大きくなりました。
異常な成長とかではないのでそのままにしています。

小学1年生の時、男の子に「鼻くそ」と言ってからかわれました。
名前も、顔ももう憶えてないですが、
からかわれて、胸が苦しくなって恥ずかしく思ったことを憶えています。

大人になった今なら、なんの気なしに言ったのだろうと思えます。
人は、「違う」ことに敏感な生き物ですから。
その、自分とは違う見た目が「おかしい」と単純に思ったんでしょう。
ただ、それだけ。

そのことで、母と担任の女の先生と３人で教室で話しました。
先生の手には、当時「ナンノ」と呼ばれ大人気アイドルだった南野陽子さんの写真がありました。
この人も、あごのところにほくろがあるよ、って。
だからほくろがあるのは別に変なことでもないし、恥ずかしいことじゃない。これは、チャームポイントよって。

からかわれた時の嫌な感じを払拭することはできませんでしたが、
それでも、私を思ってくれる先生や母の気持ちは伝わりました。

私のほくろは、母譲りです。
母にも同じような場所に、ほくろがあったそうですが、
大人になって皮膚科で切除したんだそうです。
でも、根深いので結局わかるくらいの黒い点で残っていました。

あの時の母の気持ちは、どんなだったんだろう。
自分のせいだ、って思ったのかな。

その後、からかわれることはなくなりましたが、
やはり特徴的で、目を引くことには変わりないので、「はじめまして」な
季節にはちょっと視線を感じることが多かったです。

・・・そういえば、最近そういう視線を感じることが増えたような気がします。なんだろう。別に何か言われるわけではないのですが、
「変なの」みたいな気持ちが視線に乗っかってる感じです。

数年前までは、そうじゃありませんでした。
世の中的な「普通」の範囲が狭まってきているのか、
それとも
ルッキズムから、私のほくろははみ出てしまうのか。

小学生の時、ほくろを取る？
と母に聞かれた時もありました。
でも、
母と二人で鏡の前に立って、ほくろを隠した自分を見た時。

なんか、違う。
と思ったんです。
なんか、もの足りないって。

私だけど、私じゃないような。

「やっぱり、そのままの〇〇ちゃんがかわいいよ」と母は言いました。
「〇〇ちゃんの、しるしだね」って。

旗当番をしていても、街を歩いていても、たまに
こそこそと、「ねえ、あの人みて」みたいに囁かれることがあります。
「おかしいね」って。
そういう時、
大人になっていても、やっぱりちょっと傷つきます。

でも今は、コンプレックスであると同時に
亡き母がくれた私の”しるし”なのだという思いもあります。

それに、
ほくろがある人も、いるんだよって
いうのを知ってもらいたいような気持もあります。
そうしたら、同じような子どもさんが肩身の狭い思いをすることが少しでも減るかなって。
勝手な自己満足ですけど。

ほくろから、そんなことを思ったりしました。

読んで頂き、ありがとうございました。
人と「違う」ことも、ほんの少しおおらかに見守ってもらえますように。