ひとりぼっち その1
わたしが中学生になった時から母親は仕事を始めました。
母はすぐに仕事に夢中になり、家庭を顧みずに家にいる事も少なくなりました。
父はサラリーマンで、早朝に家を出て帰宅も夜遅く。
母の仕事は宝石を扱うお店の店員。当時かなりのお給料をもらっていたようです。
社員として仕事をしていましたが、わたしたち家族には何故かパートだと嘘をついていました。
仕事を始める前は母は専業主婦で生け花とお筝の習い事をしていました。家庭はとても平和でものすごく幸せでした。
仕事を始めてからの母は、シャネルの香水、宝石ジャラジャラ、高そうな洋服、ハイブランドのバッグ。そして会社の飲み会と言い夜遅くにお酒の匂いをさせて帰る母。
わたしはそんな母親が大嫌いでした。
香水も臭くて臭くて。
仕事で得たお金は全て自分で使っていました。
今でも許せない。
その頃から、父と母のケンカが始まりました。穏やかな父が怒るのだからそれ相応の事があったんです。わたしは両親のケンカを毎晩見聞きする事が嫌で、離婚して欲しかった。もちろん、父について行くつもりでした。
中学生の頃からわたしはひとりぼっちだった。友達はいたけれど、心はひとりぼっち。わたしの居場所はなかった。
家が大嫌いでした。
つづく