【イベント成功秘話】大阪髙島屋「昨日の自分より、ジブンらしく!」大阪髙島屋 企画宣伝部 袁正記さん
大阪髙島屋にて2022年8月24日(水)~9月6日(火)の2週間にわたり開催されたZ世代男女向けコスメイベント「昨日の自分より、ジブンらしく!」。ジェンダーレスな化粧品を多数揃えて展開し、「化粧品は女性のもの」という価値観が変わりつつある今の時代にふさわしいイベントとして大盛況のうちに幕を閉じました。
現場の様子はPROMOTION+Bでもレポートしましたが、今回はイベントを企画・運営した大阪髙島屋 企画宣伝部の袁正記さんにリアルイベントの成功の秘訣や裏話についてお話を伺いました。
身だしなみやお手入れもジェンダーレスの時代へ
―今回Z世代男女向けコスメイベント「昨日の自分より、ジブンらしく!」を企画した背景を教えていただけますか。
袁:もともと私は「男性だから、女性だから」という考え方に違和感があったのですが、百貨店として身だしなみを整えることを提唱するなかで、男性に対してヘアスタイルや顔のお手入れについては発信できていないのではと感じていました。私は今33歳なのですが、周りを見ると顔のお手入れを意識していたり、スキンケアが当たり前になってきたりしているので、これからの時代に向けて百貨店もこうした意識を取り入れなければいけないと思ったのがきっかけです。
また、百貨店のコスメカウンターは、以前から「興味があっても入りづらい」「女性が多くて緊張してしまう」という声が男性から寄せられていたので、そのイメージを取り除きたいという目標もありました。
―企画を提案した時、社内からはどのような反応がありましたか。
袁:一番多かったのが「わからない」という反応でした。「最近ニュースなどでこうしたジェンダーレスとか聞くけれど、本当に必要とされているのか?」と、直接的に言われなくてもそう感じることは結構ありましたね。ただ、女性の社員からは「こういうのは絶対必要」という声もいただきました。
―反対意見に対しては、どのように説得したのですか。
袁:もう「若さ」を武器にしました(笑)。これからの新しい百貨店には必要です! と。実際に百貨店は今後、次の世代のお客様を獲得していかなければ衰退してしまうので。
―では、企画が通ってからイベントに向けて、どのようなことをしたかを伺いたいと思います。例えば社内でチームを作って構成を練ったのですか。
袁:いえ、実はアイデア出しから構成から、すべて一人でやっていました。もちろん社内のいろいろな人に相談はしましたが。去年(2021年)の6月ごろから企画として本格的に考え始めて、会社からOKが出て正式にやることが決まったのが今年の1月だったので、じっくり取り組みました。
―ちなみにイベントの最終ゴールは何を目指していたのですか。
袁:ちょっと大きく出るのですが、一番大きいのは「世の中を変えたい」ということです。これをきっかけに男性も女性も、1人でも多くの人が平等にいられる世の中になってほしいと思っています。特に「モテたいから」というよりも、タイトルのとおり自分らしくいられるようにというのが大きな目標です。
イベントの成功にはこだわりが欠かせない
―イベントではメイクに対する悩みをポップにして展示していましたが、その悩みはどのように集めたのですか。
袁:大阪高島屋のSNSでお悩みを募集しました。「イベントを実施するので皆さんの悩みを教えてください」と。たくさん集まって、重複しているものもあったので、皆さん結構悩んでいたのだなと気づくこともできました。また、SNSでイベントのことを知ったという方にもたくさんご来店いただきました。
―ジェンダーレスなコスメブランドをたくさん取り扱っていて、メンズ美容のインフルエンサーも参加されていましたが、そういった情報は以前からお持ちだったのでしょうか。
袁:以前から興味があったので雑誌やネットで情報を集めていたのですが、イベントに向けて実際にいろいろなアイテムを使って比べるなどあらためて勉強もしました。今回扱ったブランドは、8割が新規にお取引するところだったのですが、使い心地や価格帯にもこだわりぬきましたね。
―セレクトも袁さんが行ったのですね。具体的にどのような軸で取り扱う商品を選んだのですか。
袁:ドラッグストアに置いてあるプチプラコスメ以上、デパコス以内という感じでしょうか。百貨店なのでデパコスレベルを揃えつつも、初めてコスメを手にする方もターゲットにしていたので、比較的価格帯の低いものも入れるようにしました。最終的に全10社、約200アイテムになりました。
―では、プロモーションとして、どのようなことを行ったのかも教えてください。
袁:ターゲットは明確にしつつも、絞りすぎないようにすることも心がけました。あまりメンズということを強調しすぎると嫌がられると思ったので、女性でも買えることやカップルやご夫婦でも使えるよということもアピールしました。はっきりと「ジェンダーレスですよ」と謳っているわけではなくても結果的に全体でそうなるように、その匙加減はギリギリまで意識しました。最終的に誰もが気軽にという環境にしてあげられるのが良いと思ったのです。
―そのために実際にどのようなことを行いましたか。
袁:固くなりすぎないようにしました。例えばイベントのビジュアルも、メンズっぽく黒とかにせず、あえてカラフルにしたとかですかね。あとはイベント名を日本語にしたのもよかったと思います。最初はそれっぽい英語のタイトルだったのですが、「日本語にするとどういう意味だっけ?」と思われてしまうのは嫌がれるかなと。
堅苦しくなりすぎないように、というのは、実際の現場でも意識しました。今回男性のスタッフを現場に揃えたのですが、前述のようにコスメカウンターに緊張感を感じている男性のお客様が多いことから、お客様に話しかける口調をあえて少し崩して会話をしやすく感じていただけるようにしたり、服装もスーツではなくカジュアルなTシャツにしたりしたのです。
―なるほど。徹底的に考えつくされていたのですね。実際にふたを開けてみて、どのようなイベントになりましたか?
袁:こういう売り場が欲しかったという声がたくさんありました。意外とありそうでなかった、と。コスメとかは百貨店じゃなくてもいろいろなところで買えるけれど、何をどう使えばいいかわからなくて買えないという悩みも多かったようなのです。
―品揃えが豊富でも、わからないから買えないということですね。
袁:なので、相談できるスタッフがいるというのも強みになりました。それを目的に来店された方もたくさんいましたが、たまたま立ち寄ってみて、スタッフと会話をするうちにお肌の悩みについて話しておすすめの商品を購入していくという方も結構いらっしゃったのです。
―そこはリアルならではの醍醐味と言えますね。イベントが終わった今、次につながる手ごたえはありましたか?
袁:はい。実はこのイベントが好評だったこともあり、紳士雑貨売場や化粧品売場で年末まで」継続販売が決まりました。
―それはすごいですね。今までこうした売り場がなかったことを考えると、「ある」と「ない」とでは大きな変化です。
袁:そうですね。あと、もちろん遊びでやっているわけではないので、お客様にはこれをきっかけに髙島屋で他の商品を購入していただいたり、レストランでお食事をしていただいたりすると良いなと思っています。コスメだけではなくトータルで身だしなみを整えたり、自信を持てるようなご提案をしていきたいです。
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今までやったことのないテーマのイベントを成功させるには、コンセプトをしっかり固めてどうしたらお客様に満足してもらえるかを考えるが大事なポイントといえるでしょう。また、アイテムを買うだけにとどまらないショッピング体験は、リアルだからこそ可能で、なおかつ楽しめることでもあります。ネットショッピングが定着しつつある中でも、実際に見て、触れて、会話する価値を感じられる場のニーズは確実にあり続けるはず。ぜひ参考にしていただければと思います。
袁さんに伺った、イベントで男性に売れた商品とは?
今回のイベントで売れ筋だったものを教えていただきました。
イベントを成功させるポイント
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