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【P+Bインタビュー】女子小中学生から絶大な人気を誇るYouTubeチャンネル「めるぷち」の舞台裏(後編)株式会社VAZ

Z世代の次にはα(アルファ)世代の時代が来る―。そう聞いたことがある人もいるのではないでしょうか? α世代とは2010年以降に生まれた、現在ローティーンの年齢にあたる世代を指す言葉で、Z世代ともまた異なる行動や考え方などがあるとして近年世界的に注目されつつあります。

現在30万人超えの登録者数を誇るYouTubeチャンネル「めるぷち」は、出演メンバーもターゲットもまさにα世代。これからのトレンドを左右するであろうα世代の心を動かすメディア運営について、めるぷちを運営する株式会社VAZの制作チームの方々にお話を伺いました。

後編の今回は、身近で見ていて気付いたα世代の傾向や接し方についてお聞きします。

▽前編の記事はこちら

30万人超えの登録者数を誇る「めるぷち」チャンネル https://www.youtube.com/@melpetite

次世代のタレントやスターの登竜門

―あらためて、めるぷちとMelTV、CulTVの違いについて教えてください。

弊社は芸能事務所でもあるので、めるぷちは次世代のタレントを育成するということを最も重視しています。インフルエンサープロダクションはTikTokなどのSNSでちょっと目立っている子やまだ事務所に入っていない子をスカウトしてやっていくということが多いのですが、それだけだとやはり将来立ち行かなくなると思い始めているのです。もともと自分のSNSにフォロワーやファンがついているクリエイターだと、事務所に育ててもらったというよりも自分の力でやってきたという感覚がどうしても強くなってしまうので、そこから脱却したいというのもあります。なのでめるぷちでは、自社で育成したうえで将来芸能の仕事ができるようにしていくことを目指しています。

MelTVはどちらかというと、既に人気のある女の子たちが集まるメディアとして価値をつけていくやり方をとっています。YouTubeは今レッドオーシャン化しているので、個人で戦うことはすごく難しくなっています。TikTokで頑張って100万フォロワーまでいってもYouTubeで個人のチャンネルを立ち上げても2万再生しかない、ということもよくあります。

個人ひとりでやれることの幅は狭くても、複数人でやることでエンターテイメントの質も上がってくると思うので、MelTVは人気のある子たちが複数人集まってどんな企画ができるかというのを重視しています。自社のクリエイターやタレントだけではなく、他の事務所の子もアサインしているのがめるぷちとの違いでもあります。

一方、CulTVは男女のグループとしてプロデュースする色が強いチャンネルです。メンバーの入れ替わりもあまりありません。

―そうするとめるぷちは、「育成」というところが特に大きく違うのですね。

はい。喧嘩の仲裁をしたりなど、学校の先生になったような気持ちです(笑)。

―小中学生の女の子は思春期の多感な時期でもあるので、大人数のメンバーをまとめたり指導するのは大変なのでは?

そうですね。言葉遣いはまだ本当に小中学生のレベルなので、思っていることを全部口に出してしまって相手を傷つけてしまうということもあります。そういったことがあると、動画にも影響が出てしまいます。

―しかもメンバーはまだ若いので、1年だけでも大きな変化があるのではと思いますが、いかがですか?

1週間でかなり垢抜ける子もいますよ。メイクも変わるし、髪型も変わるし、顔つきも変わる。先日新メンバー加入のために一般の子たちを対象にしたオーディションを行ったのですが、その短期間の間だけでもみんなすごく変わりました。

―人に見られている意識から変わっていくのかもしれませんね。

見た目もそうですが、言動も大きく変わるので、「中学生って伸びしろがあるんだな」と感じます。学んで全部吸収して全部出す、という感じです。そういうことがちゃんとできる子たちなので、成長もすごく楽しみなのですよ。

―踏み込んだアドバイスを厳しくすることもあるのですか?

結構言います。どうしても仲良しこよしというだけだと、カメラも意識しなくなったりダレてしまったりすることが往々にしてあるので。動画カメラの向こう側にいる視聴者を意識して喋るよう指摘します。バラエティーに出た時に自分の話だけしていても、絶対使われなくなってしまいます。人の話をちゃんと聞いて気の利いた繋ぎ方をしたり、面白い話を膨らませるように意識してみるようにさせたりして、細かく指導しています。

生まれた時からSNSが存在している、α世代の言動の傾向とは?

―では、めるぷちのファンはどんなタイプの子が多いですか。

今っぽいですが、推しを作ることを生きがいみたいにしているような子たちがすごく多いです。めるぷちも好きだしジャニーズも好き、みたいな。そういう子たちの熱量はやはり高いですよね。あとこれはα世代の特徴かもしれませんが、もう当たり前にみんなスマホで動画編集ができてしまうのですよ、今の子たちって。なので、めるぷちの動画を切り抜きして「ここが面白かった、かわいかった」と、自分のアカウントで上げてくれる子もたくさんいます。

―小学生からそれができてしまうというのは驚きですね。その流れでお聞きしたいのですが、Z世代の次に来るといわれるα世代とめるぷちを通して接する中で、α世代の言動や好みなどにはどのような傾向があると感じますか?

「ネッ友」という、ネットで出会った友達というのが普通だという感覚に驚きます。僕はミレニアム世代なのですが、まだ実際に会っていない人と仲良くなるのは怖いという感覚があります。今はもう本当にネット上で知り合って、顔も見たことがないのに、まるで親友かのようにコミュニティを作っているというのが大きな特徴だとは思います。オーディションを受けている子たちで「4人で仲良し」と言っていたので話を聞いてみると、住んでいるところはバラバラで今日初めて会ったのに親友と言っていて、びっくりしました。

―具体的にネットでどうやって出会うのでしょうかね。

一番多いのはインスタのDMのようです。自分のアップしたものに対しての反応で、そこからそのまま会話を続けることが当たり前になっているのです。

―気軽にインスタでDMして友達になる感覚なのですね。

はい。そのようです。

―ネットでの出会いは危ない、という感覚があまりないのでしょうか。

おそらく、ないと思います。基本的に全部位置情報を共有し合っていますし。誰々がここにいるからここに集合しよう、ということを普通に行っています。

―あまり自分のことを隠す感覚がなくて、共有しても構わないという感覚なのですね。

コロナもあったので、実際に人に直接会うということが少なくなったことも影響しているのかもしれません。ネット上でのコミュニケーションの障壁が、リアルと同じくらいの感覚になっているのかなと思いました。

―たしかにその影響はありそうですね。本日はありがとうございました!

めるぷち運営を通して感じたα世代の傾向

① ネットで仲良くなった子とは、リアルの友達と同じくらい仲良くなれる
② スマホで動画や画像の編集をする技術が自然と身についている子が多い
③ 仲が良い友達同士なら位置共有も抵抗がない

Z世代以上にデジタルリテラシーが高いα世代ならではの傾向が見えましたね。ローティーンでいかようにも変われる伸びしろがある分、まだまだ未知の部分がありますが、学生時代からスマホに触れているミレニアル世代を親に持つα世代は今のうちから要注目です。Z世代だけでなくα世代も注視していきましょう。


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