![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172801447/rectangle_large_type_2_1034d74185b39f1d7047b1bcfeaef82c.jpg?width=1200)
映画を愛する君へ
1/30と今日(2/2)とフランス映画3本を観てきました。
1/30はジャン=ポール・ベルモンドの「ライオンと呼ばれた男」(クロード・ルルーシュ監督、フランシス・レイ音楽)、カトリーヌ・ドヌーブの「ベルナデット」(下高井戸シネマにて)、今日は、アルノー・デプレシャン監督「映画を愛する君へ」(UPLINK吉祥寺にて)です。
「ライオン」は、ジャン=ポール・ベルモンドが58歳の時の作品ということで、つい自分の年齢に引き付けて観てしまいました。ライオンを始めとする様々な、しかも獰猛な動物の数々の迫力のある映像にこころを奪われました。ストーリーとして、社会の大成功者が突然ドロップアウトしてヨットで大西洋横断の冒険に出て、その後世界を放浪して帰って来る流れが、「孤独」と強く結びついていて、人生における一つの哲学を提示しているようで感銘を覚えました。ジャン=ポール・ベルモンドというと「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」しか観たことが無かったので、別世界を垣間見る感じでした。この映画は「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選 GRAND FINALE グランドフィナーレ」の特集の中の一つの目玉作品として上映されていたものです。パンフレットを買ったら、野崎歓先生の文章が出ていて、やっぱりと言った感じでした。クロード・ルルーシュ監督フランシス・レイ音楽は、グルノーブル冬季オリンピックの記録映画「白い恋人たち」(原題 13 jours en France フランスでの13日間)のコンビです。昔グルノーブルに住んでいたので懐かしくなりました。
その時の音楽は、とても有名です。
「ベルナデット」は、カトリーヌ・ドヌーブがジャック・シラク元大統領の奥さんをコミカルに演じていて、ところどころで吹き出してしまいました。拒食症の娘さんが印象的に登場したり弱者目線のお話しが散りばめられた女性目線の映画です。しっかりと時代感覚をアップデートしている心地よい作品でした。
「映画を愛する君へ」は、アルノー・デプレシャン監督の自伝的映画で、彼の映画への愛が溢れメイン・ストリームに吸収されることのない映画史の流れるような講義を観ているようで、伝えようのない没入感に陥りました。上映後映画監督・映画評論家の樋口尚文さんのトークイベントが行われ、映画や映画館にまつわる楽しいお話しを聞くことが出来ました。デプレシャン監督が 取り上げている50の映画について全て著作権上の許可を取っているとのことを樋口さんから聞いてびっくりしました。映画のワンカットを使っているだけのものについてまでだそうです。アメリカ映画なら、「引用」として無許可で使うのに、と樋口さんは紹介されていました。また、彼は日大芸術学部で教鞭を執られていますが、学生たちが昔に比べて参考にすべき作品を鑑賞しなくなったとも仰られていました。多様性が重視される現在、このように自らが観る範囲を狭めてしまうのは残念だと仰り、だからこそ現在にはこういう映画が必要だとのことでした。
とても良い3本でした。