光文社古典新訳文庫読書会・永田千奈さんの会に参加して
この読書会の正式名称は、紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#93
文学の魔術師ゴーティエによる「妖しい恋」のテクニックについて
『死霊の恋/化身 ゴーティエ恋愛奇譚集』の訳者・永田千奈さんを迎えて
です。
光文社古典新訳文庫読書会、毎回無料の上、開催当日に課題本を電子書籍で購入すると、実質無料に。あり得ないような設定に感謝です。
とてもありが大変ありがたいイベントが毎月末の18時半〜20時まで開催されています。毎回チェックはしていますが、やはり興味のある回のみの参加になってしまいます。今日は、ぼくの好きな翻訳者の永田千奈さん!いくつもの作品を読んでいます。今日の課題本はまだでした。電子書籍で入手したので、早めに読みたいと思います。
話の筋や内容はともかく、テオフィール・ゴーティエのことを少し。彼の名を知るきっかけは、ビクトル・セガレンというエグゾティズムの理論家が慕っていたからです。ぼくは、2017年にセガレンについて、短い論考を書きました。ゴーティエは、セガレンに東方の夢を与えたのでした。フランスないしはヨーロッパの考え方は、がんじがらめで良くない、本当の自由な考え方は東洋にあるというのです。既にエグゾティズムの考え方が提示されていたのです。また、ゴーティエは、幅広い引用を用いています。ゴーティエの作品は、神話や伝説を大々的に取り入れていて、 ファンタジーを作り出しているとのことです。どこの文章がどこから取って来たものか探すのも面白そうです。
池澤夏樹さんが、「創作は常に先行するあまたの作品の上に成立するものであり、 実はその依存の度は我々がふだん考えているよりずっと大きい。 敢えて言えば、すべての創作は本歌取りであって、このシステムの全体を伝統と呼ぶのだ。 創作において個人の才能の寄与はまことに限定的である。 独創的とか個性的とか、そんなものは表面の意匠にすぎない」(『翻訳と文学』p10)と言っていますが、それを感じさせられました。今日のゴーティエ作品が、 神話のアダプテーションと捉えることが出来て興味深いです。