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子どもたちが「受験失敗→人生詰んだ!」と思い込まないようにするためには?

個別指導塾を経営・運営し、1600人の生徒をサポートした、プロ家庭教師の妻鹿潤です。
受験生の親は進路や成績を気になるあまり、子どもの「こころ」を見落としてしまうことがあります。受験は親が思っているよりも、子どもに大きな影響を与えます。特に親が見逃してしまいがちなのが、学校が受験を通じて生徒にどんな価値観を伝えているのか、という点です。
偏差値に偏った教育をする学校は未だにある
学校によって様々ではありますが、未だに偏差値重視の教育をする学校は多くあります。実際に、学校の先生が「国公立に入らないと、未来はないぞ」と言ったり、賢い生徒を敬うように言うなどの例は、いまだにあります。
典型的な1つの事例をご紹介します。
ある私立学校は、難関国公立大への進学実績を伸ばすため私大コースを廃止し、生徒全員に5教科を勉強させることにしました。難関国公立大への合格者数を増やすには、成績上位の生徒をきちんと合格まで持っていくことが必要です。そのため高校2年間で3年分のカリキュラムを終え、最後の1年は受験勉強という授業スタイルをとっていました。
さらに難関国立大に向けた進学相談、予備校講師を招いた授業などに力を入れる反面、成績が伸び悩んでいる中下位層向けのフォローは手薄でした。これだと、成績上位の生徒にはありがたくても、そうでない場合は大変です。
こうした仕組み設計から先生の言動までが、「成績が良くない生徒、国公立に行けなさそうな生徒は見捨てる」という無言のメッセージとなって、生徒たちに伝わっていました。子ども達もどこか、成績が良くないクラスメイトを見下す雰囲気になりました。
学校がこういう姿勢だと、苦手教科のある生徒たちは苦しみます。私大コースがある学校なら途中で変更すればいいのですが、学校では5教科をバッチリカバーするコースしかなく、苦手教科で欠点(赤点)をとると留年もあり得る環境。授業について行けない生徒は見下されフォローも手薄となると、子どもたちはどんどん疲弊していました。
上述の学校はやや極端な実例ではあります。しかし、難関大の合格実績は私立高のブランドを高め、翌年の志願者数を増やすものですから、似たような指導が行われている学校は少なくありません。
たとえば、成績上位コースは部活を禁止・制限したり、夜近くまでの勉強の時間割があったり、夏休みも10-14日しかない。反面、成績下位コースは緩やかで、指定校推薦や併設大学に誘導する、というような体制です。
問題は、中学生やその親がこういった点を見抜くのが難しいことです。
子どもがこうした教育を真に受けて「偏差値の高い学校に入らないと、落ちぶれる。人生詰んだ」「難関大に合格できなければ先生にも友達にも、親にもなんて言われるか分からない」と思い込んでしまったら悲惨です。
しかも地域コミュニティが弱まり、同じような価値観の人が集まりがちな現代、子どもたちは「こうじゃないといけない」と思い込みやすくなっています。子どもたちがタコツボの中で極端な価値観にとらわれてしまっていないか、親としても定期的に聞き出してあげることが大切になると感じます。

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