第42回 わんにゃんパワーを侮るなかれ!心理学実験でも明らかにされた動物のエネルギー♡後編
1991年、ボストン大学教授のカレンN.アレンらによって行われた心理学実験についてご紹介しましょう。犬を飼っている27~55歳の女性45人に算数の暗算を解いてもらい、その時の心拍数、血圧、手のひらの汗と正答数を記録しておきます。そして2週間後に再び、同じ算数の暗算問題に挑戦してもらうのですが、その際には3パターンの状況設定があり、実験室には、
①被験者、実験者、友達(同性)
②被験者、実験者、飼っている犬
③被験者、実験者
で入室し、作業を行うというものです。
その結果はどうだったのでしょうか?気になる①と②については、
①心拍数や血圧、手のひらの汗が多く、正答数が減った ⇨ 余計にストレス
②心拍数や血圧、手のひらの汗が少なかった ⇨ よりリラックス
ということでした。
友達ですよ!友達!友達ということは信頼関係が成立していて、今回の実験について、正答数が上がるよう応援して、見守ってくれているわけですからね、一応…(笑)
でも被験者はこう感じるようです。ちゃんと暗算ができるか評価されるのでは…とね。なので、普通でもストレスを感じる状態で、これが又暗算に自信がない場合は、その友達は応援者ではなく脅威に感じてしまうということなのです。人は誰しも、自分を評価せずにはいられない。ということは、人も自分に対してそうしていると考えるわけです。
一方動物は、暗算の出来を評価しませんよね。だって、暗算なんて分かりませんもん(笑)。応援もしない、期待もしない、ただそばにいて見守っている、それだけで、まずストレスが軽減されるのです。そして自分が飼っている犬ですから、その間には信頼関係があり、愛犬はいつも自分の味方です。自分を無条件に肯定、受容してくれる相手なのです。
結論として家庭動物は、私達を評価しない、好意を拒まない、ここに飼い主とペットの愛着があるわけです。
さて私達人間は、人からの評価を気にする生き物であり、常に人の目を意識し、自分の行動が人の目にどう映るか、どう思われるかということを考えています。動物にとっては、当たり前ですが、若いとか、裕福であるか貧しい育ちであるかどうかとかは関係なく、私達の性格についても何も知らず何も偏見がない。とにかく、ありのままなのです。
だからこそ家庭動物は無条件で可愛いく、世話をしている間に、愛着と信頼関係が形成されるということですね。私達人間は、自分を評価しない人の前ではリラックスできるのです。まさにペット達は、私達人間に“無償の愛”を与えてくれていると言えるでしょう。
知らない間に私達をリラックスさせてくれ、安心させてくれる子達(家庭動物)は、まさに愛されるべき存在です。しかし動物を飼うことには、光と影があるということも忘れてはなりません。それは又の機会に、お話させていただくことにいたしましょう。