第45回 『文化心理学』から勝手に考察するジャニーズ問題②by心理士の卵
前回の投稿から約一ヶ月…
随分と間が空いてしまいましたが、その間にこの問題におけるたくさんの情報が明るみに出ると同時に、大変悲しい出来事も起こってしまいました。ご遺族の皆さまには謹んでお悔やみ申し上げます。
改めまして、なぜこんなに多くの日本の少年たちが我慢し、苦しみ、声を上げることができなかったのかを、『文化心理学』を背景として、私なりに考察していきたいと思います。まず、動機づけと文化差ということについて考えてみましょう。
「あなたはなぜ、その行動をとったのですか」
と、誰かにたずねられた時、私たちはその行動の理由を答えることになります。その行動を起こさせ、目標に向かわせる過程と機能には主に二つ、それが“内発的動機付け”と”外発的動機付け”です。分かりやすく説明すると”内発的動機づけ”とは、その活動がしたいからするということ。つまり行動の理由が自分の内側にあるということです。一方、”外発的動機付け”とは、何かのために行動するということで、何か外的な影響による理由のもとに行動する。
https://ameblo.jp/vic2naoton666/entry-12798661578.html
例をあげてみましょう。
内発的動機付けでは、
🔵その行動がしたかったから
🔵それをする必要があったから
🔵それは私にとって重要なことだから
🔵それは私がしないといけないことだったから
これらは個人の価値観や好み、個人的なニーズや目標に伴う理由であり、楽しく、質が高く、持続することが多い。そしてこの内発的動機により行動を起こした人は、自分から何かを働きかけて周りに影響を与えることで、うまくやろうとする。唯一無二のユニークな自分を尊重し、自分の理想通りの環境をつくり、自分の望む通りの選択をし、自らの手で何かを実現していく行動をとる。まさにこれが「自己実現」の姿であり、欧米人に多く見られる傾向です。
それでは次に、外発的動機付けでは、
🔴みんながやっていることだから
🔴適切なことだから
🔴するべきと期待されていることだから
という理由となり、家族や友達との関係性由来であったり、適切だと思われることによる行動ということとなり、この場合、活動それ自体を楽しむのではなく、何かのために活動するということになり、周囲の物や人に自分の行動を合わせていくことでうまくやろうとする。周りの状況を考慮し、理想や期待に応えるだけではまだしも、義務や責任を果たすために自分の方を周囲に合わせていくという行動をする。このような調整ありきの行動は、私たち日本人の特徴です。
どうでしょうか…
ジャニー喜多川氏から性加害を受けた少年たちは、なんだかおかしいし、つらいし、悲しいし、気持ち悪いけど、周りの先輩やマネージャーはそんな素振りも見せず、それが普通のことの様にふるまっている。自分はこのことを誰にも言わない方が、多分この場はうまくいく。そして自分の息子がジャニーズの一員となったことを喜んでいる家族に嫌な思いはさせたくない。ここにいる多くの先輩やメンバーたちと、同じ行動をするべきなんだ…と思い込もうとしていたとは考えられないでしょうか?
私はこの問題が欧米で起こっていたとしたら、こんなに長い期間、こんなにたくさんの少年たちが苦しむことはなかったと思えてなりません。まぁ色々と背景はあったと思ってはいますが、この問題が明るみに出る大きなきっかけを作ったのは、日系ブラジル人であるカウアン岡本さんです。彼が生粋の日本人ではないということも幸いしたと感じているのは、私だけではないはずです。
ジャニー喜多川氏は、自分の好みの少年を事務所に所属させ、近くに置いたと言われています。その中には、外国人やダブル(ハーフ)の少年は長くいなかったように思います。彼は日本人の少年を好んだ。本人は米国との縁が深く様々な情報が飛び交っていますが、次回は『文化心理学』というよりは『人格心理学』の知識から、ジャニー喜多川氏を考察してみようと思います。
『プロコナオコ★カウンセリングルーム』https://casadelpapa.net/
To be continued.