四季(冬)草子
11月中頃。
例に漏れず深夜に書いている。
近頃冬をよく感じる。澄んだ空。肌に触れる風の温度。喉に刺さる乾いた空気。冬は嫌いだ。
厚着をしなければ外に出るのも億劫になる。長袖のインナーを着て、上からTシャツにスウェット、そして最後に着るアウター。厚着することがそもそも外出する足を止める一因になりうる。朝も布団から出ることが出来なくなるし、いやこれは誇大表現では決してないが布団から出ることが実際出来ない。決死の覚悟を振り絞らねば、多大なエネルギーを消費しなければ布団から身を起こすことが出来ないのだ。
日光の減少によりセロトニンの分泌量も減り活動量も減少してしまう。日中は気怠く、いよいよ体が温まってきたと思えばすぐに日は沈み夜に包まれる。温まっていた体も冷めていく一方である。冬が嫌いだ。
夜になると街中が電飾で彩られて眩しい。店内に入ればどこも同じような曲ばかり。外に出れば大きな大木にLEDライトが巻かれているか、壁一面の電飾がピカピカ光る。それもこれも冬の一大行事のクリスマスが近づくからだ。世間はどの季節よりも浮き足立っている。現在はまだ11月20日。クリスマスまで約35日。おいおい気が早くはないか? そのクリスマスが終われば賺さず1週間後に控える新年のカウントダウンに向けて街は再び様相を変える。12月終盤の忙しなさが嫌いだ。
新しい年が明ける。真夜中に関わらず外には輩が、中には子供を連れて寒空の下歩いている人々を見る。神社や寺に向かえばそこにはテーマパーク顔負けの長蛇の列ができている。寒い寒い夜の日に、面倒臭い工程を経て厚着して、何をするかと思えば長蛇の列を作るのだ。その先にあるのは大きな募金箱とまた大きな鈴。そして御神籤。どうやら人々は元旦になると頭のネジが少し緩むらしい。なんだこの苦行は。やはり冬は嫌いである。
しかし、寒い中飲むホットコーヒーは酷暑の中のアイスコーヒーに勝るし、炬燵は人類の発明の中で1位2位を争うくらいに素晴らしい。人と触れ合うことは夏真っ最中の暑苦しさは消え失せ、互いの温もりにホッとする。 人の優しさは何故だかいつもより胸にしみるし、笑顔が増える。
色々足し引きしてもやはり、冬は苦手だ。
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