<定期購読マガジン特典映像> 【正しい ワンポイント・メカ解説編-第9回】"アライメント・チェックとメンテナンス”は必要なのか…?
今回は”アライメント・チェックとメンテナンス”について解説をします。
「いつも販売店で定期点検しているから、私のクルマはアライメント大丈夫、チェックや修正は必要ない…!」と思われている方は多いと思います。
本当にそうでしょうか…?
「タイヤ交換の時、内側が減って偏摩耗していた」 とか「なんとなくクルマが片側に流れる」、「高速で路面によっては少しフラつく」などの経験はありませんか…? そして「クルマは皆こんなもの、しょうがない」と思い込んでいませんか?
少し解説します…
自動車で言うアライメントには、サスペンション関係やエンジン&ミッションなどのパワートレイン系の取り付け精度なども含まれますが、今回は一般に街で言われる、サスペンション4項目のアライメント・メンテナンスについて解説します。
<サスペンション4項目のアライメント>
① トー :車を上から見た時の、進行方向に対するタイヤ回転方向の角度
発生不具合➪ 直進性不良(片流れ)、タイヤの偏摩耗、ブレーキ時フラツキ
② キャンバー :車を前から見た時の、タイヤと地面の垂直方向の角度
発生不具合➪ タイヤの偏摩耗とグリップダウン、偏発熱とショルダー破損
➂ キャスター :車を横から見た時の、操舵回転軸の前後方向の傾斜角度
発生不具合➪ 直進性不良(片流れ)、旋回時の左右差、タイヤの偏摩耗
➃ ホイールベース :前輪と後輪の間の長さ
発生不具合➪ 直進性不良(片流れ)、旋回の左右差、不正振動
アライメントの測定とメンテナンスはなぜ必要なのか…?
皆さんは「サーキットは走らないし、事故も起こしていないし、縁石などにも当ててないから必要ない」 と思っているのではないでしょうか…
「クルマの走行距離が多くなって、古くなってきたから…ハンドルが多少フラ付いたりブレーキで振られたりするのはしょうがない…」などとも思っていませんか? これらは全て、あいまいな知識による勘違いです。
生活道路100Km/h、高速道路130Km/h~無制限、そして耐用年数や走行距離の長いヨーロッパでは、直進安定性や旋回&ブレーキ性能、タイヤの摩耗等にユーザーは敏感で、殆どの販売店や修理工場は「アライメントテスター」を設置し、日本製の車も含め当たり前に日常整備として顧客の依頼で点検整備をしています。
一方、殆どの日本の販売店は、スポーツタイヤを履く高性能車を販売して、スポーツ走行ユーザーがいるにも拘わらず、アライメントテスターの設置はありません!!
遥か昔に決められた法律(保安基準)で車検の点検項目に規定されている、「トーの測定と修正」のみです。しかも法律で規定している管理値は、現在の様な高性能タイヤやECOタイヤが出現する以前に決められた「設定中央値±3」で、高性能スポーツ仕様車からトラックまで同じです。
このトラックと同じ規定値のトー・チェックも、原則として車検整備以外は点検しません。皆さんが日常やる定期点検等でも顧客からの依頼がない場合はやっていません。ヨーロッパのように「クルマの操縦安定性や、タイヤの安全や耐摩耗性」を良くするためというより、車検整備だから…程度の認識が殆どです。
更に、日本ではアライメントテスターを使ったメンテナンスをする場合、販売会社ではなく専門店に車を持ち込む必要があります。 この為に日本のユーザーは車のアライメントに関心が薄く「走りマニア向けの整備、又は事故車の点検」と思われていると推定されます。
参考ですが…
〖 R35GT-Rの販売では”日産パフォーマンスセンター”を作り、アライメントテスターの設置と使用法の訓練を行い、更に規定値もレース車以上に厳しいR35GT-R専用の管理値に設定しました 。また、アライメント・メンテナンスを走行距離に応じて定期点検項目として規定しました。〗
どんな車でも工場から出荷された状態から走行をしていくと、必ずバネやショックアブソバ―、サスペンション部品などの組付け状態は変化します。
今回は、なぜどんなクルマでもアライメントの変化が出るのか? そのメカニズムやそれを知る方法、そしてどの様な時にアライメントの点検と修正が要るのか? 等について解説します。
ここから先は、ジャーナリストの永田恵一さんに皆さんの代表になってもらい、クルマを観ながら解り易く動画で説明します。
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