「心遣いと気遣い」おもてなしの特質
何気なくさり気ない「心遣い」と「気遣い」
日本独自の文化のおもてなしは、
自然さ、何気なさ、さり気なさ
と言ったことをとても重視します。
同時に、おもてなしは付加価値の一つ
であり、とても心温まる洗練された
日本の独自の美意識の文化とも言えます。
それには、
温かい人の心が通い合うさり気ない
気配り、気遣い、心遣いが大切です。
其の一つに、
臨機応変な応対、対処のがあります。
それは
お客様の意向・状況・雰囲気を
細かく一早く察知し(掴み)
「其の場造り」をすることです。
👆【≒一座建立】
暫く前のテレビ番組「田舎に泊まろう」
でよく見られたようにお見え頂いた
初対面のお客様をもてなす側に立つ
主人や奥様は、手伝いに来た人達を
上手に動かし、主人やお客様を
含めた人の動きの流れをそっと
見守っているなどの姿も見られました。
また、
来客に失礼や不行き届きなどが
あってはならないと考え行動し、
お土産を持たせる場合はそれを
忘れてはいけないなどと、
色々な気配りをしていました。
その客人とゆっくり話し込んだり
接するすることも出来なくても、
もてなす心は人一倍忘れないで
目立たぬように行動すると言う
おもてなしの場面も見られました。
同時に、
気を遣っていると相手に感じさせる
ような気の遣い方はいけないと考え
人手が足りない状況でもお客様に
心かに寛いで頂けることに気遣いし、
それだけを考え走り廻る姿も見られました。
訪問した客人が、帰る道すがら
「あぁ何と心の和むもてなしだった」
「また、此処に来たいなぁ・・・」
と感じて頂けるさり気なさがある
心の通うおもてなしはとても大事です。
常に相手の身になり想い考え、
相手に要らぬ気遣いをさせない
独自の文化が「日本のおもてなし」
お客様に対する会話、思い遣り、
ユーモアのセンスや共感の態度
にその人の人柄が表れます。
人柄の表わすには、もてなす人の
心の温かさが何より大切であり、
それは相手の立場になり想い巡らす
ことで幾らでも補えると思います。
例えば宴会の場合、
どういう趣旨や目的であるのか、
例えば誰かを励ます会なのか、
お見合いや御縁結びの席か、
どなたかのおめでたいお祝い、
或いは。高齢者の喜寿の祝いか、
そう言ったことを観察し一早く
察知すること心身の活動が大切です。
励ます会であれば
主人公の気分が高揚するように
神経を配り、お見合いの席であれば
本人同士が相手に良く映るように
気遣う、喜寿の祝いであればお肉料理
などにお年寄りが食べ易く配慮し
お肉に包丁を入れるよう調理場に
伝達する。と言ったことでおもてなし
と接客サービスは類似点は有りますが
おもてなしは全く別のサービス行為
=心を通わす行為と考えます。
また、
おもてなしに大切なことはお客様や
相手を待たせないことと思います。
お待たせすると、お客様や相手は
徐々にネガティブな意識を持ちます。
要は、
待たせることでお客様をどんどん
(-)要因に導かないようにすることです。
そのためには、出来る限りの知恵を
絞って要領良く敏速に提供すること、
即ち一挙手一投足の仕草(所作)の中に、
自然で、繊細な気遣いと、ある種の
日本ならではさり気なさが求められます。
その一つにお客様(客席)と調理場との
パイプ役を果たすことがあります。
今、お客様は挨拶をされているとか、
会話が深刻になっているから料理を
提供するのはもう少し出すのを控えて
欲しいなどの報告や連絡を調理場に
入れお客様への配慮に心掛けることです。
また、
お客様同士が密談や込み入った会話
をしている時と思われる時などには、
料理になかなか手をつけません。
従って料理が溜り温かさ美味しさ
失われることになり兼ねません。
温かいものは温かい内に、
冷たいものは冷たい内に
というタイミングが重要です。
同時に
いつもお客様の前を整然と綺麗に
することを考えお客様の前に料理を
出す時は美しく出すことも大切です。
それは、
お客様が席を立たれた時などに、
テーブル上を美しく整然として
置く何気なさ、床が食物や飲物が
落ちて汚れていたらサッと拭き取って
おく気配り、お荷物が汚れないように
カバーをかけて置くなどの気遣いの
行動を手早く、さり気なくしておく
こと配慮が肝要です。
また、
お水を沢山飲まれる方へはデカンタを
そっとさり気なく置いておくことも
お客様への気配り・気遣いの行動です。
入店時・立席時の別なおもてなしの
事例として靴やコートが濡れていたり、
汚れている時は、さり気なく手入れを
して置くと言ったもてなす側の心遣いは、
お客様の心にとても温かな余韻を与えます。
美しく素敵な仕草は、お膳の持ち方、
グラスの置き方、ボトルや瓶の持ち方、
お酒やワインの注ぎ方、その際の手と
指先の向きや添え方差し出す角度など
と言った身のこなし方と言うことが
自然に流れるような流暢さから生まれます。
あるお店では、
食事提供マナーに決められた通りではなく、
場面に応じて飲物も食事も全てお客様の
右側から出して食べ終えてないお料理を
左の方に寄せていくという方法を徹底し
おもてなし・接客サービスをするお店があります。
マナー違反と言われる方もいると
思いますがそのお店では自然な形
を重んじ整然と見た目に綺麗にする
と良いということで実施しています。
あちらこちらに、料理やお飲物を
置かないよう客席の美しさ気配りし、
また、お客様の体に当たらないように、
テーブル上は一定の方向に流れる様に
して置くようにサービスをしています。
その時々の方法は、
客席(客室)の造りや状況、お席の都合(状況)
に合わせその都度変えてお客様の気持ちや
状況を考えおもてなしをしています。
このような事例から判るように、
自然な姿、さり気なさ、何気ない心遣いを
原点とする「日本のおもてなし」には、
相手や其の場に合わせた臨機応変さ
の心身の活動【応対】が求められます。