🎌唯一無二日本のおもてなしの心

🗾日本のおもてなし－｢モノ｣と｢コト｣

日本のおもてなしを表し伝えるのは
リアルに姿形として目に見えるもの｢モノ｣
決して目に映ることのないバーチャルな心
や意識を指す｢コト｣の二つがあります。

日本のおもてなしは有形なあらゆる｢モノ｣
と、もてなす主人の心であるバーチャルな
｢コト｣で客人と心を通わせ、その時その場
限りの一期一会の心｣で触合いを共に味わい
成す利他の心身の活動の意味があります。

｢コト｣を表し伝える行為・態度は歌舞伎の
舞台で言う黒子の心を表現する心身の活動
を指しています。

詰り｢コト｣は､もてなす相手(客人)に接する
てきに、もてなされる側の気持ちを察して
思い配慮し、敬意、誠の心、思い遣りの心
でお世話や気配り、気遣いを客人に知られ
無いような自然でさり気なく影の様に行う
ことを言います。

大切な人や客人との触れ合いではもてなす
人に対し無私の心で敬意を払いお世話をし
思い遣りの心を何気ない所作で接する｢心｣
と言う点では、日本のおもてなしと欧米の
ホスピタリティは同様であると思われます。

この二つのの違いは、モノとコトを表す
行動様式にあります。

古からの仏教の教えに、感謝のありがとう
御礼と感謝を表すお陰様の気持ちを行動で
表し示す身近な実践方法として伝わる、
無財の七施と言う教えがあります。

それは、私達の日常生活に於いて喩えお金
がなくても物がなくても周りの人々に喜び
を与えて少しでも喜んで頂ける私心の無い
行為態度(意識と言行)であるとも解します。

🌈無財の七施

今年一年、あなたはこの七つの施し(意識含)
の心身の活動をどの程度出来ましたか❓

１.眼施 （げんせ）
　温かい眼差しで接する。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

２.和顔施（わげんせ）
又は和顔悦色施（わがんえつじきせ）
　明るい笑顔、優しい微笑の満ちた笑顔で人に接する。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

３.言辞施（ごんじせ）　
　心を込めた思い遣りの優しい言葉をかけて行く。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

４.身施（しんせ）
　人のため、社会のために肉体を使い働くこと。
　ボランティア活動(お世話・奉仕)。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

５.心施（しんせ）
　「ありがとう、お陰様で」などの感謝の表す
　言葉と態度、思い遣りの心を込めて接する。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

６.牀座施（しょうざせ）
　場所や席を譲り合う、譲り合いの心でする。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

７.房舎施（ぼうしゃせ）
　訪ねてくる人があれば一宿一飯の施しを与え、
　労を労う。転じて、温かなおもてなし。
出来た←３．２．１．0.→出来てない

この教えも日本のおもてなし文化の発展に
大きな影響を及ぼしていると思います。

日本独自のおもてなし

唯一無二の日本のおもてなしは、
リアルで何気なく自然に目に映る｢モノ｣
そのモノの持つ｢味わい｣と｢余韻｣｢風情｣
｢粋｣｢ﾑｼﾞｮｳ｣と言う心を大切にしています。

例えば、茶室などの建造物、庭園、盆栽、
置物や家具建具、食器、飾り物、飲食物、
接する人の立ち振舞い、身なり、独自に
演出された様々な芸(演芸)である芸人や
芸者による舞踊や音楽と各々の味わいや
それぞれの趣き、雅など、もてなす客人
を取り巻くリアルに目に映る全ての環境
におもてなしの心を表現しています。

また、
茶屋に何気なく飾られている季節の野の花、
もてなす客人の心やむ感性に合わせ配慮した
掛け軸やお香、様々な置物、茶道に於ける、
お点前に使う茶器や点心と言われるその場で
使う道具類や炭に至るまでの全ての｢モノ｣に
主人のおもてなしの心が込められています。
この心身の活動を｢一座建立｣と言います。

古来の懐石料理、茶懐石とでのお料理は、
観て食し主人の心を味わうことを通して、
もてなす人(主人)の心や素材、使われる器
の持つ様々な味わいとその全て環境＝風情、
粋むや雅、風流と食後の余韻を楽しむ日本
独自の文化おもてなしの心の表すものです。

このように日本のおもてなしは、
我国の各地方や日本の伝統文化である
芸道、武道、茶道、花道、香道、礼法、
建造物などの粋と味わいや趣きが
様々な｢モノ｣に込められております。

このモノの中に在る表に見えない裏にあるむ
｢コト｣＝『心』こそ､日本の心であり、
あらゆるおもてなしに最も重要であり
大切であると意識して置くことが肝要です。

同時に、もてなしは『表裏なし』､
詰り表裏のない心でもてなす人
を迎えることをも意味します。

このおもてなしは『裏表なし』と､
文字通りの『表なし』の二つの意味を持つ
と解釈出来るのです。

私たち日本人は『表なし』の心を備え持ち、
慎み深く、自然や地味さ風情を愛すると言う
とても几帳面な国民性があり、誰に対しても
自然に親切にする心や相手を優しく思い遣る
優しい心を備え持つ国民性と共に、一方では
人に不快感を与えない程度の距離を保ちつつ、
相手へのお世話や気遣いを気付かりぬように
表面には出さないよう何気なくさり気なくし、
良い人間関係を作ることを心情としています。

この心身の活動は歌舞伎の舞台で言う、
黒子の役割を果たす大切な心構えであり、
もてなす人への心を表に出さない態度で
隠れた『表なし』心こそ日本のおもてなし
と言えるのです。

また、日本のおもてなしは、
もてなしの｢コト｣に当たるもてなす人を
さり気なく慈しむ優しい心、、自然さ、
何気なさ、慎ましやかさ奥ゆかしさに重き
を置いていると体験からも受止めています。

一方、別の角度からみると、その場その時
の感動や感激より残り香と言える｢余韻｣を
重んじる傾向があります。
この点が欧米のホスピタリティと異なります。

普段の日常生活や対人関係の場で、
｢自分は優しい｣と言う人に本当の優しさ
を体感出来たことはありません。

そういう風に自分を表現する人には真の
優しい心を持った人は少ないとも思います。

「日本のおもてなし」も、
上記した優しさの表現と同様に、
こちらからおもてなしの心を
押し付けたり知らせるものでありません。

また、現在のように目に見える過度の演出
や無理のある作られた感動演出行為行動と
感じられるおもてなし❓所作で顧客満足を
無理に感じさせようとする行為・行動は、
真の日本のおもてなしではないと考えます。

日本のおもてなしやホスピタリティ何れに
おいても、顧客満足(Ｃ.Ｓ)は客人やその時
もてなされる側の方々が感じることであり、
与えるものではないと言うことです。

真のもてなしは、
もてなされる側の人々(客人)の心の中に、
自然に受容れられ感じられるものです。

また、「裏表なしの心」は飲食サービス業、
接客業・接遇サービスの仕事だけに限らず、
日常生活上の人との触合いや対人関係上の
多種多様なお付き合いにも当て嵌ります。

今の時代は、｢おもてなし｣の表と言える
有り余る情報や形の目に見える微笑や笑顔、
言葉遣い、お辞儀、姿勢、態度の情報など
をネットやコンサル、インストラクターと
言われる方々等を通して手軽に得られます、

しかしその人と成りに合致した所作(仕草)は
手軽に身に着けられません。

おもてなしをする個人の個性や感性、資質
にぴったりマッチしたおもてなしのコトの
伝達や表現のために不可欠なその人の心の
持ち方・意識や感性に至る迄学び知ること
は、他の人間からの知識や教え、情報だけ
では決して出来ません。

おもてなしの場に於いて、
もてなす側、もなされる側は十人十色で、
外見を始め、その時の内面の心・感情も、
常に一定でなく十人十色であり、同じ人
であっても感情があり変化します。

故に、
型通りマニュアルだけでは日々触合う人々、
大切な人、様々なお客様にピッタリ合った、
心の通い合う本物の日本のおもてなしの心
には到底出来ません。

この様な触合う相手の個性感性＝心に合った
おもてなしの仕方(心と所作)、接する人々に
見合ったおもてなしの表現や伝達が大切な人
やお客様の心を動かして心に残る素晴らしい
感動、感銘や余韻を与えられるのです。

現在の厳しく複雑な時勢を乗り越える為に、
この隠された裏の心である｢コト｣を自分の
周りの大切な人や触れ合うお客様に表し、
お伝えする思い遣りや感謝の心を自然に
感じて頂け人の真心の感じられる温かな
おもてなしと様々な要素から生まれ出る
余韻やもてなしを受けた感銘が心に残る
ことが大切であると思います。

優しい目線、柔和で温かな表情で
もてなす相手(客人)やお客様を確り観察し
察知するのみならず、常に相手やお客様
の立場に立ち配慮＝気遣いし相手の心や
感情をいち早く察知するアンテナを張り
何らかのアクションの前に、さり気なく
自然な形でお世話することはあなただけ
が出来る独自の日本のおもてなしです。

その為に日々触合う人々、
大切な人、お客様の心理を察するためにも、
ちょっとした仕草や僅かな表情の変化から、
相手やお客様の心を配慮察する鋭い察知力
を確りと身に付ける必要があります。

おもてなしの心の通い合いには、
この様な表に出ない影の役割を間違いなく
自分のうつわに見合って果たすことです。

「日本のおもてなし」は、
もてなす相手(客人)やお客様に思い遣りの心を､
｢モノ｣と裏表の無い心｢コト｣で表し伝え触合う
相手と心を一つにし誠実な態度、優しい奉仕の
心で一所懸命に行う心身の活動です。
これは､「一期一会の心」と全く同様です。

その時もてなす夫々の相手やお客様の個性に
合わせたもてなす側の目に見えない｢コト｣の
表現伝達の心身の活動が大切なお客様の心を
動かして､その時の相手と共感・体験・共有し
唯一無二の感動､感銘や余韻を与えるのです。

それは、もてなす相手やお客様を直き心(徳)で
敬い尊び＝リスペクトをしながら、もてなす側
の偽りのない真心を表し伝えることです。

触合い接する人やお客様に対し
お陰様で､有り難い､と思う感謝と礼の
裏の心で心の通うおもてなしの心身の
活動がもてなされる人の心に素敵な感動
や感銘を生み出し、いつまでも心に残る
心温かな余韻を与えます。

日本のおもてなしに於ける感動のメカニズムを
端的に表現していた世阿弥の短いフレーズ
「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず」
の言葉は、正しく日本のおもてなしの心です。